感情物理 実践編 「心は感情が湧き出る器」

感情物理 実践編 「心は感情が湧き出る器」

■「人間は、わかってもらいたい生き物」

だと聞いて、反対する人はいないでしょう。

 

その反対する気持ちすら、わかって欲しいはずです(笑)。

 

たとえば、街で偶然タレントに会ったら、

何の利益にもならないのに、

そのことを、

きっと誰かに話したくなるのではないでしょうか。

 

あるいは、職場で腹の立つことがあった日には、

家に帰って、

まったく職場の事情を知らないお母さんや恋人に、

わざわざ電話をかけて愚痴を聞いてもらったりすることもあるでしょう。

 

嬉しいことでも、

悲しいことでも、

自分をわかって欲しいのが、人間の性質だと考えられるでしょう。

 

■人間は、

時々刻々、さまざまな情報や刺激というエネルギーを

外界から受けて、

それによって生まれる感情のエネルギーが、

「こんこんと湧き続ける器のようなもの」

だと言えます。

 

それはあたかも、

植物が、

水や太陽の光や二酸化炭素や栄養分を吸収しては、

酸素を排出したり、

葉や実をつけては落としてゆくのと同じです。

 

あるいは、

人間の身体が、

食物や酸素を摂取しては、

汗や老廃物を捨ててゆくのと同じです。

 

生きているということは、

植物や身体という物理的存在においては、

常に構成組織が新陳代謝していることであり、

心においては、

常に情報や刺激を受けては

感情のエネルギーを発散していること、と言えるのではないでしょうか。

 

そのため、

時々刻々、さまざまな情報や刺激を受けている以上、

わたしたちという器からは、

常にわかって欲しいことが溢れ出てくるのです。

 

■働いていれば、

苦労を感じることも少なくないので、

1日働いた後は、そのわき出す感情を、

人に聞いてもらって、発散したり、

それができない場合には、

身体を動かしたり美味しいものを食べるなどの別の形で

エネルギーを発散することもあります。

 

したがって、

もし、みなさんが、部下職員にわかって欲しいことがあり、

何かを伝えようとしても、

それは例えて言えば、

こんこんと水が湧き出てくる器に、

その上から、新たな水を注ぎ込もうとするようなもので、

入ってゆくはずもありません。

 

もし、注ぎ込みたいものがあるならば、

その容積と同じだけの水を、

まず器の中かあら吐き出させることが必要となります。

 

つまり、こちらから、わかって欲しいことがあるならば、

それと同じだけ、

まず相手の心の中にある「わかって欲しい感情」を

吐き出させることが必要ということになるでしょう。

 

■実際、わたし自身も、

「おい、あの件の期限、過ぎてるじゃないか」

と頭ごなしに注意されてしまうと、

心の中では、

「たしかに、ご指摘はその通り。自分が悪い」

と思いつつも、

「最近の状況を理解してくれていれば、

そんなキツイ言い方にはならないんじゃないですか?」

と言いたくなるのを

やっと飲み込むことになるのではないでしょうか?

 

これは、

「自分なりにやっているのだ(わかって欲しい)」

という感情が器から湧き出ているので、

その上から、勢いよく

「あの件をちゃんとやってくれ」

という情報や刺激を注ぎ込もうとしても、

あふれる感情に弾かれてしまう、という状態と言えます。

 

というわけで、

10の伝えたいことがあるならば、

その前に、

10の感情エネルギーを吐き出させることが大切です。

 

何をもって

10吐き出させることができたか?

7しか吐き出させることができていないか?

とするかは一概に言えませんが、

たとえば、

時間をものさしにしてみることも一つのものさしになるかもしれません。

 

つまり、

10分かけて話をして理解をしてもらうためには、

少なくとも、

10分は相手の話したいことを聞き、

胸の内にある感情を吐き出させてあげておくようにする、ということです。

 

■そうした理由で、

患者サービス研究所は、

病院などから職員研修を依頼される時でも、

まず最初に

「職員の方々が、学びたいと思っているのか?

その前に吐き出したいことがあるのではないか?」

ということを気にしています。

 

研修開始時に、集まった職員の方々が、

「こんな研修を聞くよりも、

もっとわかって欲しいことがある」

と不満を抱えていたら、

研修内容もその職員の方々に届かないばかりか、

職員から病院に対する不満や不信を増長することになってしまうからです。

 

コンサルティングに入る時にも、

最初に講演をするのではなく、

最初に

「職員の方々に吐き出したいことはないか?」

「もっとわかってもらいたい、という感情エネルギーが鬱積していないか?」

を感じ取るようにしており、

必要とあれば、

職員の方々を対象とした面談や、

ざっくばらんな座談会をして、

感情エネルギーを吐き出しやすい関係性を築くことから始めるようにしています。

 

私たち自身も、

「この人は聞いてくれる」

「わかってくれる」

と感じられる相手の話なら、

「自分も聞こう」

と思えるのではないでしょうか。

 

そのためには、

日頃から

周囲の人が感情を吐き出しやすい存在になっておくことが大切になります。

 

誰かと話をした時、

その時間のうち、

自分が話している時間の方が長かったでしょうか?

相手が話している時間の方が長かったでしょうか?

 

もしかしたら、

話している時間が長かった方だけが、

感情を吐き出せてスッキリしているのかもしれません。

 

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