■なぜ、自律進化しないのか?

 

それは、上層部・上司が、

部下職員がするべきところを、わざわざみずから責任を引き受けてしまう

「負責病」

になっており、その結果、部下職員が

「依存病」

になっているから、にほかなりません。

 

■たとえば、最も象徴的な例が、

「職員満足度」

というテーマです。

 

多くの組織(特に医療機関)では、

職員のメンタル不調、

退職、

採用難などの問題を抱えているために、

以前から、

「職員満足度を向上するべきだ」

と考えられ、さまざまな取り組みがなされています。

 

病院・組織では、

職員満足度調査を行なって、

その結果から職員の要望を叶えてみるということをしてきました。

 

世間でも、

「ワークライフバランスが大事だ」

と言って、残業を減らしたり、有給休暇を取りやすくしたり、といった

取組が推奨されたこともあります。

 

また、一定の条件に当てはまる病院・組織では、

「ストレスチェック」

が義務づけられ、メンタル不調の早期発見が勧奨されるようになっています。

 

さらに最近では、

「働き方改革」

の名の下に、就業時間や労働条件の改善が叫ばれています。

 

職員満足度調査では、

リサーチ会社が進めるままに調査をするので、

「給与は満足か?」

「休みは満足か?」

「福利厚生は満足か?」

「綺麗な職員寮があった方が良いか?」

「保育所があった方が良いか?」

などの項目も含めた、全項目を網羅的に聞くものが出回っていました。

 

■ここまででお気づきの通り、

「職員満足度を向上しなければならない」

と考えるあまり、

「職員のご機嫌伺い」

ばかりをしているというわけです。

 

「休みは?」「給与は?」

と聞かれれば、

「もう充分。これ以上は要らない」

と答える人は、なかなかいません。

 

「福利厚生は?」

と問われれば、

「こんなに恵まれていては、迷惑だ」

という人はいません。

 

つまり、職員に聞けば聞くほど、

より充実した制度設計をしなければならなくなっている、という状況です。

 

■ところが、ご存知の通り、

職員の離職原因は、待遇ではなく、

「人間関係に悩んで」

「やりがいが感じられなくて」

がワースト1・2です。

 

「待遇が悪いから」

という理由で辞める人もいますが、

待遇は入職時にわかっていることであり、

本音を正確に言えば、

「この職場で働くには、この給与では見合わないから」

ということだと考えられます。

 

つまり、病院組織は、

「本当の原因」

については目を向けず、

「待遇面の制度設計ばかりを進めている」

という、

的外れな対症療法が進められている、というわけです。

 

■これは、

「決まりを作って現場をコントロールするのは上の役割」

と、上層部や上司が、わざわざ責任を負う

負責病にかかっているからに他なりません。

 

これは、

「上が決めたことに、下が従う」

という指示命令体質の現れそのものです。

 

こうした視点からは、

「アンケート調査をして、

そこで上がった不満項目を変えるための

制度設計をすれば良い」

という発想になりがちです。

 

しかし、自律進化体質のもとであれば、

「自分たちの職場環境は自分たちで改善してゆく」

ことが前提となります。

 

この視点に立てば、

「組織上層部が職員満足度調査をもとに制度設計をする」

といった的外れな対症療法ではなく、

「最大の離職原因である人間関係を、自分たちで良くしよう」

という根治療法が生まれてきます。

 

■職員間の人間関係こそ、

教育や制度によって、どうにかなるものではありません。

 

職員一人ひとりが

「自分の職場環境は自分が作るのだ」

と、自律的に臨まなければ、絶対に変わらないからです。

 

と聞いても、

「職員が、人間関係を良くすることなんてできるのか?」

という人もいるでしょう。

 

しかし、子供には、

「みんなと仲良くしましょう」

「相手の身になって考えましょう」

「困っている人には優しくしましょう」

と、大人は教えているではありませんか。

 

そして、本人たちが人間関係を変えなくて、

誰が変えてくれると言うのでしょうか?

 

親子であれ、夫婦であれ、上司部下であれ、

教師と生徒、恋人同士、隣人同士、

友人知人などといった人間関係を、

介入して変えてくれる第三者が世の中にいたら、

誰も人間関係で悩まないでしょう。

 

人間関係こそ、

一人ひとりが、みずから気づき考え改善するより他ないのです。

 

こうしてみると、

そもそも組織が

「職員満足度を上げてあげよう」

と負責病の視点、指示命令体質の発想から考えること自体が、

おのずと限界をはらんでいると言えるでしょう。

 

反対に、

「自分たちの満足は自分たちで創ろう」

と自律進化体質の発想から考えれば、

どんなに風通しが良く、

言いたいことが言えてやりたいことのやれる

やりがいと誇りに満ちた現場を実現できることでしょうか。

 

■しかし、

「職員同士の関係性を良くする方法があるのか?

本人たち次第ではないのか?」

と考える人もいるでしょう。

 

患者サービス研究所のHIT-Bitでは、

日々のコミュニケーション・モデルによって、

現場の風通しが良くなるので、

お互いに予期しなかった意見が交わされるようになり、

まもなく、

上司が想像もしなかった問題提起や改善提案が上がるのが

当たり前の現場になってゆきます。

 

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