旧組織論の間違い 「職員が働き続ける前提」

旧組織論の間違い 「職員が働き続ける前提」

■「以前は、厳しく指導しても部下は着いてきた。

教えてもらえるうちが華だ、と言われてもいた。

しかし、いまの部下は感謝もしない」

といった声をよく聞きます。


そのため、

「職員のモチベーションを上げるにはどうしたら良いか?」

と悩まない経営者・管理職はほぼいないでしょう。

 

そこに関与するコンサルタントも、

その多くが、

以前と今ではモチベーションの性質が異なっていることを

知らないために、

有効なコンサルティングができていない、ということが多々あります。

 

■いまもまかり通っているほとんどの組織論は、

根本的に、旧組織論です。

 

働き続けていれば安泰だった時代の組織論なので、

「社員は働き続けるもの」

という前提でした。

 

実際、産業革命以降の雇用は、

貧困からの救いであり、

辞めることは飢え死にすることを意味していましたから、

おのずと、

「社員は働き続けるもの」

だったのです。

 

そうした旧組織論の中で、

「もっと効率を上げて働かせるにはどうしたらよいか?」

と考えるのが、

いまも主流となっている旧モチベーション理論だったのです。

 

したがって、永い間、モチベーション理論といえば、

「どのように報酬を与えれば、もっと働くか?」

「どのような報酬が効果が大きいのか?」

という報酬と労働の取引形態に関する議論の域を出なかったのです。

 

それはいわば、ニンジンの見せ方・与え方の話であり、

とても、社員に聞かせることのできないものでした。

 

また、

モチベーションといえば、

「どうすれば、1のモチベーションを3にできるか?」

「どうすれば、1の生産性を5倍にできるか?」

といった研究だったのです。

 

こうした

「働いている職員をもっと働かせる」

旧モチベーション理論が、今も世の中の主流をしめているのではないでしょうか。

 

■しかし、いまは、産業革命から、高度経済成長期を経て、

飽食の時代とさえ言われています。

 

政府が、例年恵方巻きが大量廃棄されていることに苦言する時代です。

 

つまり、働かなくても何かしら食べていける、死なない時代となりました。

 

働き続けても安泰ではなく、

働き続けなくてもそれなりに安泰です。

 

つまり、今や、

「社員は働き続けるもの」

ではなく、

「社員はいつでも辞めることができる自由なもの」

なのです。


なので、

「もっと効率を上げろと言われるなら、辞めます〜」

という反応が返ってくることが珍しくないため、

旧モチベーション理論の発想で、

「もっと効率を上げて働かせるにはどうしたらよいか?」

と考えても通用しません。

 

旧モチベーション理論の発想で、

「どのように報酬を与えれば、もっと働くか?」

「どのような報酬が効果が大きいのか?」

という報酬と労働の取引形態に関する議論をしても、

「そういう報酬が欲しいわけじゃない」

という職員たちと、まったく噛み合っていないのです。

 

つまり、必ずしもニンジンに魅力を感じない時代なのです。

 

こうした今の現実の中においては、

「どうすれば、1のモチベーションを3にできるか?」

「どうすれば、1の生産性を5倍にできるか?」

といった研究は、さして意味がなく、

モチベーションといえば、

「どうすれば、0のモチベーションを1にできるか?」

という研究こそ、必要となっているのです。


「どう働かせるか?」

以前に、社員本人たちには

「続けるか辞めるか」

があるのですから。

 

■旧組織論の時代のように、社員が

「ぜひこの職場で頑張りたい」

と考えている職場では、

SWOT分析であれ、

コミュニケーション研修であれ、

リーダーシップ研修であれ、

チーム間で競争させたり、

優秀チームを表彰したり、といった

旧モチベーション理論が、通用したことでしょう。

 

1のモチベーションが、3にも5にもなったことでしょう。

 

しかし、今のように、社員が

「辞めることも一つの選択肢だ」

と考えている職場では、

分析も研修も競争も表彰も、

社員にとっては、ただただ鬱陶しいだけです。

 

モチベーションが0のままのところへ、

アクセルを踏み込めば、

3や5になるどころか

拒絶反応を起こしてしまうだけとなってしまうのです。

 

■最近では、

職員同士のコミュニケーションが

職員のモチベーションを上げるはずだ、ということに

気づいた企業も見受けられるようになりました。

 

しかし、そこで提案されているのは、

職員の意識調査を定期的に行なって課題を見出す方法や、

社内SNSのようなコミュニケーションツールなどの手法です。

 

ところが、

そもそもモチベーションが乏しい職員にとっては、

定期的な意識調査も迷惑なだけであり、

社内SNSを見たくも書き込みたくもない無用の長物です。

 

■このように考えてみると、

世の中の組織改革のための施策、

モチベーション向上と称した施策のほぼ全てが、

旧組織論の発想を出ることができずにいることがお判りでしょう。

 

これからは、

「社員はいつでも辞めることができる自由なもの」

という前提に立った新組織論の観点から、

「0のモチベーションを1にするにはどうしたら良いか?」

を探究する新モチベーション理論を考えてゆかなければならないのです。

 

「仕事とはこうあるべき」

「働くとはこうすべきもの」

という考えは通用しません。

 

旧組織論の時代では、

「仕事だから」

とか

「働くのだから」

といった言葉は、誰もが

「それを言われたらつべこべ言わずにやるしかない」

と思う聖語だったかもしれませんが、

いまは、これらの言葉にそんな力はありません。

 

やりたいことをやった時、

結果的にそれが仕事と呼ばれたり、

働いていると呼ばれることがある、というだけなのです。

 

■つまり、新モチベーション理論とは、

仕事ありき・働くことありき、ではなく、

 

もっと根源的な、

その人の価値観から導き出されるモチベーションが

喚起されるものでなければならない、ということになります。

 

「本当はどうしたいのか?」

「本当は何が気にかかるのか?」

「本当は何ができそうなのか?」

といった

「本当は……」

というその人の価値観を引き出すことによって、

根源的なモチベーションを引き出すことこそが、

現在の新組織論のもとでは

必要となることでしょう。

 

■みなさんの現場では、職員のみなさんが、

「本当はどうしたいのか?」

「本当は何が気にかかるのか?」

「本当は何ができそうなのか?」

と、価値観を出し合っている声が聞こえてくるでしょうか?

 

本人たちに価値観を出す機会を与えることもせずに、

どんなに

SWOT分析や、

コミュニケーション研修や、

リーダーシップ研修や、

チーム間での競争や、

優秀チームの表彰を行なっても、

0のモチベーションが1になることはありません。

 

そのため、

患者サービス研究所では、

職員の価値観を出し合う機会を、定常的に設けることを

お勧めしています。

 

それが、

「HIT-Bit」

です。

 

■HIT-Bitについては、

現在、1Dayセミナーを実施しています。

 

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