■社員が辞めないようにするためにはこんな方法がある

との記事がありました。

 

それは、

社員を集めて、何度か研修の場を設けて、話し合わせて進めてゆくのだそうです。

 

(1)まず、

「自分たちの商品が、誰のどんな要望を叶えるものか?」

を考える。

(2)さらに、

「顧客の本当のニーズは何か」

を考える。

(3)そして、
「他社に負けない、自社の強みは何か?」

を考える。

(4)そのうえで、

「その強みが伝わるよう、どんな行動をするのか?」

を考える。

(5)最後に、

「行動の結果として、顧客からどのように支持されたいか」

を考える。

これらの研修の中で挙がった大事な単語をもとにして、今後の自社の方向性を決めてゆく。

 

……という方法だそうです。

 

■このブログをご覧くださっているみなさんは、

すでにお気づきでしょう。

 

「この方法で、本当に社員のモチベーションが上がることはない」

と。

 

というのも、このプログラムは、社員が、

「この仕事をやってゆきたい」

という価値観を持っていることが大前提となっているからです。

 

そもそも、

「ぜひ、この仕事をやっていきたい!」

というコミットがなければ、このプログラムはすべてが苦痛以外の何ものでもないでしょう。

 

その場合、このプログラムをすればするほどモチベーションが下がってしまい、

辞めるのを防止するどころか、

むしろ、ますます辞めたくなってしまうということです。

 

このプログラムは、

今の職場で働き続けたい人がやる気を出すことには繋がるかもしれませんが、

辞めたい人に対しては、離職へと背中を押す効果しかない、

ということが明らかでしょう。

 

■ちょうど、お世話になっている人の家を訪ねた時に、

その、生まれたばかりのお孫さんのVTRを延々と見せられたり、

お孫さんの将来について、あれこれと相談されるようなものです。

 

まったく興味がないことにいつまでも向き合わされることほど苦痛なことはありません。

 

さらに、会社のプログラムでは、

「こういうことなら、きみはやれるのか?約束できるのか?」

と迫られるのですから、逃げ出したくなるのも、想像にやすいことでしょう。

 

■なぜ、このようなプログラムが、あたかも「社員が辞めなくなる」方法として、

まことしやかに世間に出回るのでしょうか?

 

それは、社会にも、会社にも、

経営者から、管理職、部下職員にいたるまで、

指示命令体質がしみついているからです。

 

既存の組織論は、いずれも、

大量生産の時代の高度経済成長期に、

トップダウンが当り前の社会風土の中でつくられてきたものばかりだから、

どうしても指示命令体質となっています。

そして、トップダウンが当り前の風土の中では、

人間の心理構造を探究する必要がないのですから、

「社員がこの仕事やこの職場にコミットしているか」

といった社員の本心を忖度することなどありません。

 

そのため、

ほぼすべての組織論が、

「経営者側にとって大事なことを社員に考えさせれば、

社員には当事者意識が高まり、やる気が出る」

という安易な発想になってしまうのは、必然です。

 

このような価値観の押し付けを続けている組織には、

辞めたい社員の価値観を感知することはできません。

 

会社の価値観を浴びせるようなプログラムで、辞めないようにすることは不可能でしょう。

 

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