■首領

「われわれってさー、

考えてみると、同じ失敗を繰り返していて、

組織としての成長がないよね、成長が」

 

死神博士

「同感です。

怪人たちのやる気を引き出さなければいけないと思います。

先日、ティール組織っていう…」

 

首領

「あ、無理無理。うちはダメだと思うよ。

全員が頑張っていればティール組織もいいけど。

うちは、そこまでいってないでしょ?

なんで全員がやる気を出さないのかなー」

 

死神博士

「首領、それは評価制度がないからではないでしょうか。

評価されていなければ、

頑張っている者はバカバカしくなってしまい、

頑張っていない者は居心地が良いだけになってしまいます」

 

首領

「評価?」

 

死神博士

「そうです。

おまえたちは命がけで戦って当り前だ!

結果だけがすべてだ!

などと言われてしまうと、正直やはり

心から頑張ろうという気にはなれないものです」

 

首領

「厳しくすれば頑張るんじゃないの?」

 

死神博士

「いま、すぐ辞めちゃう時代なんですよ」

 

首領

「そうなの?」

 

死神博士

「外ではライダーに倒され、

アジトでは我々幹部からなんでできないのだ、

役立たず、

ごくつぶし、

いる価値がない、

となりのご主人こんど部長ですって、

お小遣い減らすわよ、

と言われていれば、

ストレスチェックの結果、

産業医の面談を受けることになる者が増えるのも無理ありません」

 

首領

「そうか、プロセスも見てやらないとやる気は出ないのかー。

昭和は遠くなりにけり、とも言っていられない。

じゃ、死神博士、評価制度を急いでつくって」

 

  =  =  =

 

怪人ラッコ男

「聞いた?今度、評価制度ができるらしいで」

 

怪人シマリス男

「あ、それ、リストラだべ。間違いないべ」

 

怪人パンダ男

「降格とか降給の理由づくりでしょ、絶対そうだ」

 

死神博士

「諸君、聞いてくれ。実は」

 

パンダ男

「えー、やですー」

シマリス男

「反対だべ」

ラッコ男

「怒るでしかし」

 

死神博士

「まだ、何も言ってなーーーい!

まず、聞いてから意見を言いなさい」

 

シマリス男

「それもそうだっぺ」

 

死神博士

「これまで、みんないろいろ頑張ってきた。

にも関わらず、

その頑張りぶりはまったく考慮されず、

いつも結果だけで判断されてきた」

 

ラッコ男

「たしかに。

わては、ライダーを今一歩というところまで追い詰めたけど、

最後の最後で息の根を止められへんかって、

首領にはエライ怒られたわ」

 

パンダ男

「自分は、作戦開始前にライダーにアジトを破壊されてしまったけれど、

始末書も書かされなかったっけ」

 

シマリス男

「たしかに、やってもやらなくても同じの今のままだったら、

やる気でないべ」

 

死神博士

「そのための評価制度だ。

結果だけで判断されるより、

プロセスも評価された方が、納得いくであろう。

どうだ、評価されたいか?」

 

3人

「されたいでーす」

 

  =  =  =

 

死神博士

「きみたち怪人職の評価項目は、以下の通りだ。

  • 計画性を持って進めたか
  • 責任感をもって臨んだか
  • 協調性をもって働いたか
  • 報告連絡相談を密にしたか
  • >コミュニケーションをとっているか
  • 自発的に取り組んだか
  • 戦闘員がのびのび働いたか

………などなど、実に50項目!

微に入り細に入り評価するから、

納得できて、きみたちのモチベーションも上がるはず!

 

そして、評価は5段階。

  • Sは、高度に実践できた
  • Aは、相当程度に実践できた
  • Bは、充分、実践できた
  • Cは、ほぼ実践できた
  • Dは、やや実践できなかった
なにか意見は?」
 
ラッコ男
「どういうところで評価されるかがわかるから、
やりやすいんちゃうか」
 
シマリス男
「誰が、この5段階の評価をつけるんだべ?」
 
死神博士
「もちろん、上司であるわたしだ」
 
パンダ男
「納得です。頑張りますー」
 
■というわけで、
評価制度が整備され、
みんなが納得して働き、
力を発揮してくれる組織になるはずでしたが…
 
その期末、死神博士による個別面談が行なわれ、
人事評価の結果がみんなにフィードバックされました。
 
「シマリス男は、総合でSね。
みんなをうまく巻き込んでやれる協調性があるのでS、
当然、コミュニケーションもS、
わたしにも報連相を密にしてくれたのでS、
だから、全体的にSですー」
 
「(完全にイメージでつけられてるけど…)
ありがとうございますっぺ」
 
「ラッコ男は、総合判定はAになりました。
計画性があってSだと思うけど、
ちょっと詰めが甘いところがあって、でもいつも一生懸命やってくれているので、責任感はBかなって。
戦闘員も、まあまあのびのびしている気がするので、
結局Aにしました」
 
「(詰めが甘かったことなんてあれへんがな。
ちゃんと見てへんのとちがうか。
でも逆らって怒られたら恐いから)
わ、わかりましたー。おおきに」
 
「パンダ男は、総合でBね。
もっと自発的になってほしいなぁーと思って。
でもポテンシャルはあるんだから、自信持って。
来季への期待も込めてBね」
 
「(完全に良くないイメージもたれてるみたいだけど…、まあ仕方ないか)
わかりましたー。頑張りますー」
 
■……と、
せっかく評価項目を定めても、
なにをもって各項目の評価について
Sか、Aか、Bか、Cか、Dをつけるのか、のあてはめ基準がないので、
結局、上司のイメージで評価をつける、ということに
なってしまい、
怪人控え室では、
 
シマリス男
「なんの基準もなかった以前よりはましだっぺ」
 
ラッコ男
「いや、いかにも評価しているようで、結局、主観やな」
 
パンダ男
「事実上、上司のイメージで評価されてて、
あーあ、もうやる気でーないー」
 
と、モチベーションが上がることはありませんでした。
 
■そんなある日、朝出勤してみると、
「はい、みんな集合!」
 
そこには、死神博士の姿はなく、代わりに地獄大使が。
 
「えー、死神博士は、転勤になり、
今日からわたしがみなさんの上司になりました。
1日も早くみなさんの顔と名前を覚えて、
楽しくやりがいのある組織をつくっていきたいな、と思っていますので、
よろしくお願いします。
そのためにも、やっている人はやっているなりに、
そうでない人はそうでないなりに、
厳しい目で見まーーす!」
 
「(顔と名前、わてら一目瞭然やねんけど…)」
 
そして、また期末が訪れ、人事評価のフィードバックの季節。
 
「シマリス男は、Aね。
ずっと見てたけど、いくつかの項目がSという感じじゃないから」
 
「ラッコ男は、Bですー。
Aに近いBって感じかな。
上の下の中の下っていう感じです」
 
「パンダ男は、S。
いくつかの項目がAだけど、Sっていう感じだから」
 
怪人控え室では、
「なにがどう良くなって、悪くなったのか、わからないっぺ」
「どこがどうなったら評価が上がるのか・下がるのか、
基準がないから、結局イメージで評価されてまうねんな」
「そうそう、あてはめの基準がないから、上司同士で引継ぎもないってことだね」
 「結局、50項目あるけど、事実上は良い悪いの1項目やんけ」
 
■というわけで、
人事評価制度には、
評価項目が50も設けられているけれど、
具体的な言動の何をもって
「高度・相当・充分・ほぼ・やや」をつけるのか?
S・A・B・C・Dの判定のあてはめ基準がないために、
 
結局、事実上、
「総合評価」
という名前の
「上司の主観によるイメージ評価」
になってしまっている、というケースが多々あります。
 
「いつの、どの言動が素晴らしかったのでA」
などの判定の具体的なあてはめ基準が蓄積されていなければ、
前任の上司から後任の上司へと、
これまでの評価のものさしが引き継がれることもありません。
 
部下たちにとっては、
「何をどう頑張れば良いのか?
何よりも何が優先するのか?」
価値基準が見えないので、
底力を発揮することもできず、
 
納得感を高め、部下のやる気を引き出すために
評価制度を整えたにも関わらず、
これでは、
やる気が出るどころか、
モチベーションはむしろ下がるということになるのです。
 
「評価基準は微細に定めたものの、
判定のあてはめ基準は管理職の主観任せ」
 
これでは、評価項目を定めた意味もありません。
 
しかし、世の中で最も多いのが、このパターンでしょう。
 
みなさんの現場では、
評価制度を設けているでしょうか?
 
そして、事例を蓄積して、あてはめ基準を築いているでしょうか?
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。