■神戸の小学校での教師による教師に対するいじめ。

 

教師がやっていたというから、なおさら残念、

というより呆れています。

 

加害教師ももちろんですが、

とくにひどいのは校長です。

 

かねがね話は聞いていたとのことなので、

校長がすぐに

(1)介入して事実を把握し、

(2)当事者間の関係調整を

しなければいけなかったはずですが、

まったく動かなかったということです。

 

介入しなかったのは、

関係調整のイメージが持てなかったからではないか、と感じます。

 

■昨日のクローズアップ現代では、

小学生の娘が学校でいじめにあい、

学校に働きかけて解消に努めた母親までもが苦しんだ末、

「死にたい」とまで言っていた娘と

心中してしまった、という事件を扱っていました。

https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2019/08/0817.html?fbclid=IwAR2ZUrB4JLCHjC3VY_Hxk7odFRg1JjIYUWw2mXU2xT_yt5KfqpYCVh46AjU

 

学校の先生は、

いじめた子どもといじめられた娘を握手させて仲直りさせたとのことですが、

娘はそれが心の傷になったようで、

以降、登校できなくなってしまったとのことです。

 

その後、

母親がいじめた子ども側と話し合いたいと申し入れたものの、

学校は応じず、先延ばしにするばかりだったといいます。

 

■いま、

学校の教師に限らず、社会の多くの人たちに、

著しく関係調整能力がなくなってきていると感じられます。

 

対立構造の当事者同士の関係を調整する能力がないだけでなく、

もとより、

自分自身の人間関係においても、

他者との関係を調整することもできなくなっている気がします。

 

対立構造の当事者同士の関係調整においては、

おそらく、

単に「紛争」という不穏な状況しか見えず、

その根底に、

感情や思考の行き違いがあるからトラブルになっているのだ、

ということがわからないため、

 

「何をどうしたら良いか」

がわからないので、

介入もできない、という構造なのではないでしょうか。

 

なぜそうなってしまうのか?

 

自分自身の人間関係においても、

おそらく普段、

単に「紛争」という不穏な状況であるということしか認識せず、

それを解決するということをせずに、

単純にその関係性から身を引いたり、

相手を締め出すという方法で、

逃げてきた、という人が多いからではないでしょうか。

 

その結果、

今後接することがない相手であれば、

「どんなやり方で相手に不快感を与えても関係なし」

という発想が、いま珍しくありません。

 

その証拠が、最近話題の

「退職代行業者」

です。

 

辞めるとなったら、自分は動かず、

すべて業者任せにするビジネスが、

賛否あるものの、さして炎上することもなく、

ニュースで取り上げられる、ということは、

それを許容する世の中になりつつあるということの

現れに他なりません。

 

法的手続きだけをして退職する、という

最も感情的しこりが残るやり方であり、

これは、ある意味、

裁判に訴えるのと同じ最もドライな方法です。

 

たかが、自分が辞めるのに、です。

 

■今年、こんなこともありました。

 

ある協会で、会員同士の揉め事が起きました。

 

理事の一人が、理不尽なことを言い、罵詈雑言を浴びせましたが、その後は、その話から逃げるばかり。

 

被害を受けた会員の方は、

きちんと話し合う用意があるとのこと。

 

状況をつまびらかにして、

「協会には、公正に対処してほしい」

とのことでした。

 

果たして、その協会の責任者は、

双方の話を聞いたまでは良かったのですが、

結局は、自分で決められず、

理事会に諮りました。

 

当事者でもない理事たちは、

仲間の理事に非があることを感じたからか、

あるいは

仲間である理事に諫言する自信がなかったからか、

最後には、

「あなたはもう来ないでくれ」

と被害を受けた会員を締め出す結論を出しました。

 

■みなさんも、

職員間の問題について、

管理職が、介入する方法を知らないために、

「それは当事者同士で解決してくれ」

と投げ出し、

結局、職員が退職している、ということが起きている現場をご存知ではないでしょうか?

 

このような

管理職が組織管理を放棄する事例は、

他の職員にも多大な悪影響をもたらします。

 

というのも、こうした職場は、

「悪いことは悪い」

と誰も言ってくれない職場だからです。

 

理不尽がまかり通り、

良いことをしても非難されたり、

やっていない人が野放しになることにもなります。

 

「臭いものには蓋をする」

というやり方は、

病巣を温存するだけなので、

その後の理不尽を生み出す温床となるからです。

 

こう考えると、上述の

「無理やり握手させた」

のは、介入しただけ、ましかもしれません。

 

■こうしてみると、

部下と部下の関係調整能力がない上司が多くなってきていることが感じられるのではないでしょうか。

 

関係調整とは、

互いの言い分を聞き、

「良いことは良い、悪いことは悪い」

という軸に基づいて、

「お互いに話し合って妥結点を見出しなさい」

と指導したり、

「妥結できなくても、折り合う努力をしましょう」

と歩み寄らせるなどして

さばいてゆくことです。

 

しかし、実際には、

そうしたプロセスを

イメージできる人がどうやらいない時代にになっているということでしょう。

 

■昨今は、コーチングを学んで、

あたかもコミュニケーションの専門家らしき人が増えてきているが、

流行っているほどに職場の人間関係が良くなっているとも聞きません。

 

コーチングを学ぶ人の中には、

人間関係で自分自身が苦しんだり、

そのために病んできたという人も一定数あり

(だからこそ、コミュニケーションを学びたいと切実に悩み、

コーチングを習いに来るということもあるのでしょう)、

学んだ人すべてが

それを職場で活かせるわけでもない模様です。

 

「とても人の関係調整どころじゃない」

という人もあります。

 

こんなことでは、職場で人間関係トラブルが起きるのは当り前でしょう。

 

言いたいことが言えず、

吐き出せないなら、

折り合いがつくこともありません。

 

そこで、関係調整能力がない管理職は、

配置換えを行なって、

それとなくお互いを引き離す方法をとるという対症療法を選ぶことも多々あります。

 

配置換えをする口実がない場合には、

強制的に一方を締め出すことになります。

 

締め出された方は納得できませんから

こうしたやり方を安易に選ぶのは最悪の管理職です。

 

■更に言えば、

(関係調整能力という技能の問題以前に、

気持ちを汲み取ることができるというマインドの問題で)

当事者の心に寄り添うこともできない人も多く、

そうした人は、

話を傾聴(という手順は実践)しますが、

それ以上介入しない、という傾向があります。

 

そういうタイプの人かどうかは、

行動を見れば一目瞭然です。

 

口では

「わかってあげたい」

と言いつつ(それすら言わない人も多いですが)、

そういうタイプの人は、

その場を見に来ることもありません。

 

また、当事者同士の

「話し合いを設けよう」

と提案することもなければ、

「その場に立ち会うよ」

とこともない。

 

逃げの姿勢では、かえって傷つくだけで、

時間と労力の無駄になる。

 

もし一見解決したに見えても、本心はわからないのだから、

その後どうなった?

大丈夫か?

いつでも話を聞くからな

誤魔化すなよ。

一緒に頑張ろう

と支援することもありません。

 

また、

表面的に解決したように見えたら、

それ以降は、

「その後どうだ?」

「なにかあったらなんでも言ってこいよ」

と、後々までフォローのアプローチをするという発想がありません。

 

根本的に、

「なんとかしてやりたい」

という思いがなければ、

関わり方が雑になり、

フォローが希薄になるのは、必然とも言えるでしょう。

 

神戸の小学校の校長がそれができる人だったら、

今回の事件は防止できたでしょう。

 

いじめで親子が亡くなった事件も、

教員にそれができていたら、いくらでももっと相談できたはずです。

 

■今回、教師の関係調整能力の無さと

それによる介入力の無さが浮き彫りになりましたが、

これは教師に限ることではなく、

いまや、あらゆる管理職にとっても、

大きな課題ともなっています。

 

医療現場では

「コミュニケーションが大事」

「連携を密に」

と言われており、

「そんなこと大事じゃない」

と思っている職員は一人もいません。

 

それでも現場によってはうまくいかないのは、

まさに管理職の部署自治力が足りないから、

という他ありません。

 

職員同士の関係調整力や、

介入力は、

部署を自治するための初歩です。

 

しかしながら、医療現場の管理職研修で、

関係調整力を教えているでしょうか?

 

フォローする方法を教えているでしょうか?

 

そして、

そもそも、

「部下同士の関係を調整することが管理職の仕事だ」

と、伝えているでしょうか?

 

もし、職員のメンタル疾患や、それによる休職や、

さらには職員の離職を防止したければ、

なによりもまず、

管理職が関係調整力を身につけなければなりません。

 

■ただし、

コーチングや、

アサーション、

NLP、

マインドフルネス、

話し方教室といったテクニックではありません。

 

アドラー心理学や

7つの習慣といった思想でもありません。

 

「人間関係をどのように築けば良いのか?」

について、

人間の心理構造を基礎にした

「人間関係を設計する方法」

を学ぶことが必要でしょう。