■決定権者が多数いると、

組織のフットワークが重くなり硬直化することは

ご存知の通りです。

 

病院や施設の多数を有しているある組合では、

理事が40人もいるとのことです。

 

40人もいたら、

「何かが決まる方が凄い!」

のではないでしょうか?

 

そんな大勢の意見が一致することの方が難しいのですから。

 

■そもそも、どんな議題を通そうとする場合でも、

その議題を上げる担当者が最も関心が高く、

それ以外の人は、関心がそこまで高くありません。

 

だからこそ、それ以外の人は発議しなかったのですから。

 

そして、

そこまで関心が高くなく、

また言えている情報が少なければ、

「その話、初めて聞いた!」

という人たちは、

おのずと、

時間や手間や費用のリスクを負うことは自然と賛成しにくくなるものです。

 

「よくわからないけど、費用や手間をかけてやってみましょうよ!」

などという、無駄になるかもしれないことに

他のメンバーを巻き込むようなことは、

気が引けて、賛成できないからです。

 

特に日本人は、

「他者からどう思われるか?

密かに嫌われたりはしないか?」

をとても気にするので、

自分から余計なことは言わない傾向があります。

 

「あの時、あなたが賛成したから、こんなことになった」

と言われるのは、

日本人はとても嫌うものです。

 

「最後は自分でも賛成したでしょう?

各自の意思表示は各自の自己責任なはずです!」

が通用しにくいおかしな文化です。

 

そしてそんな人たちが集まっているので、

お互いに牽制が働いてしまい、

「みんなが賛成しないなら、わたしも賛成しない」

というすっとこどっこいな事態が、

大の大人が集まって真剣に議論している場で、

しばしば起こっているのが実情でしょう。

 

新しいことには、

必ず成功するとは限らないというリスクもありますが、

愚かしいのは、

「みんながどんな不平を言いだすかわからない」

というリスクもあるということです。

 

なので、

お互いに空気を読んで、

全体が賛同的であれば、自分も手を挙げることができるが、

みんなの反対を押し切ってまで、

リスクを伴う取り組みを後押しする勇気はまずないのです。

 

そもそも、

発議した人ほどの情報も関心も少ないのだから

「ぜひやりましょうよ!」

というほどの自信もないのですから、

賛成の意思表示をできないのは当り前です。

 

■大抵の場合、

このような構造下にあるので、

それぞれの役員がこれは大事だと思ったことを提案しても、

得てして、

却下されるのが自然の成り行きとなってしまう、ということです。

 

発議した人以外のみんなが、

情報もなく関心もないのですから、

ドラスティックなことは絶対に生まれません。

 

多くの組織が、

茹でガエルになり、

抜本的な改革が生まれないのは、

役員の意思決定プロセスがこのような構造にあるからです。

 

■このように見てみると、

「なぜ、組織が硬直化してしまうのか?」

ではなく、

「むしろなるべくしてなっている」

と感じられるのではないでしょうか?

 

このような組織の硬直化はどこでも起きていますが、

テレビドラマなら、

見識のあるトップがいて、

守旧派が驚くような改革をしようとする主人公の人柄を見込んで

肩を持ってくれて、

「やらせてみようじゃないか」

と英断を下してくれる、という

ドラマチックな展開があります。

 

が、実際にはそんなことはありません。

 

そんな理解のあるトップがいたら、

そもそもそんな守旧派も一掃されているからです。

 

■では、現実の現場では、どうすれば良いか?

 

それは、

「発議者1人 vs その他」

という構造を変えることです。

 

発議者側一人が、

大して関心のないその他全員を引っ張って行くことは不可能です。

 

ということは、誰かが発議した時には、

「そのことに関与し、関心を持っている人が他にもいる」

という状態にしておくということです。

 

具体的には、

「役員は、一つの領域を担当するのではなく、

一つの課題について、複数の役員が取り組む」

ことにする、ということです。

 

マーケティングはA理事、

商品開発はB理事、

海外展開はC理事

……などと、

「一領域に一役員が担当」

となっていることが多いでしょう。

 

これを、

主担当理事の他に副担当をつけるなどして、

一領域の課題について、

普段から数名の理事が関与するようにさせておく、

ということです。

 

役員会議に発議される場合には、

すでに3~4名の役員が当事者として関わってきていた、

という状態であれば、

「発議者の主観的・個人的な意見だ」

という目で見られることはありませんから、

より説得力も強くなります。

 

また、

発議された時点で当事者が複数いるということは、

「決済が降りた後、

実動部隊となる人もそれだけいる」

ということなので、

他のメンバーも賛成しやすくなります。

 

このように、発議するときには、

建設的な話し合いができるような関係性を構築しておいてから

会議に臨むようにすることです。

 

でなければ、

本質的で大胆な施策ほど、

全員が賛同することに躊躇してしまい、

決裁が下されず、

本当に必要な改革ができない組織を

いつまでも卒業することができないのです。

 

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