組織変革についての論説

「ジョン・コッターの変革の8段階」

 

それが、現実に実践され、効果を生み出すための

ポイントについて、

組織開発の実務の観点からポイントを解説しています。

 

>>>前回からのつづき


なお、本記事は、

組織変革が実効するために、

「患者サービス研究所ではこうしてきた」

「患者サービス研究所ならこうする」

という組織開発の実務の観点から

各ステップにおいて重要となるポイントについて述べたものであり、

コッターの理論を解説しなおしたものではありません。


【ステップ5:従業員の自発を促す】

 

■実はこれがもっとも問題。

 

トップがビジョンを示すことに対して

できる限り現場職員から抵抗や反発が生まれないようにする

方法について、述べましたが、

それは、まだ方針を伝えるに過ぎません。

 

本当に重要なのは、

そのビジョンを実現するために、

職員が発言し、行動することです。

 

しかし、わたしたち自身も同じですが、

発言や行動を求められるとなれば、

一段と理解が必要になってきます。

 

むしろ、この

「職員の自発を促すこと」

こそが、組織変革において、

最も重要な目標であり、

最も困難なテーマです。

 

■ではどうするか?

 

昭和の時代の発想では、

職員の自発を促すには、

「やはり研修だ」

ということになるのではないでしょうか?

 

そして、職員を集めて、

自発的な言動がいかに大切か?を学ばせる

ということになりそうです。

 

しかし、実は、

それ自体がまさに自発の正反対を促す

「押し付け」

に他なりません。

 

職員からすれば、

「頼んでもいないのに集められ、

頼んでもいないことを学ばされ、

あれこれ発言や行動を求められる」

のですから、

かえって自発性が損なわれてしまうというわけです。

 

しかし、昭和の発想からすれば、

「職場なのだから大変なことでも頑張るべき。

そこを頑張るのが仕事だ」

と言いたくなるところではないでしょうか。

 

また、多くの企業や病院の経営者・管理職からは

「何度でも訴えてゆくことだ」

「繰り返し教育することだ」

という言葉を聞きます。

 

しかし、職員からすれば

「また?」

「いい加減にしてほしい」

というのが本音であり、

組織が押し付ければ押し付けるほど、

ますます組織から心が離れてゆくだけになってしまうのです。

 

■こうして、

職員が自分らしさを前面に出してが活き活きと働くことと

正反対を追究してきたのが

昭和の発想であり、

それを180度切り替えない限りは、

組織変革をすることはできないのです。

 

そもそも、組織変革とは、

組織風土(組織体質、組織文化と言ってもよいでしょう)を

変革することに他なりません。

 

そして、組織風土とは、

上席者から指示や命令をされなくても

一定の価値観のもとで職員が発言し行動する状態です。

 

したがって、組織変革を実現するにあたっては、

実は、まさに、

教育・研修・指示・命令・指導・管理は

最も避けなければならないことなのです。

 

■では、何が必要か?

 

自発性を促すからには、

自発的に考え発言する機会が保証されていなければなりません。

 

なぜなら、自発的に考え発言する余地が与えられていなくて、

自発的な行動が生まれるはずがないからです。

 

医療界に限らず、

忙しい現場では、それが許されないことが多いのが実情です。

 

そこで、業務で忙しい中、

最少限度の自発的に考え発言する機会を保証するためには、

管理職の権限がどうしても必要となります。

 

管理職の強力なリーダーシップの下で、

「コミュニケーションのための機会を設ける」

としなければ、

職員の間から自然発生的に、コミュニケーションの機会が

生まれることはないからです。

 

だからこそ、自発性を引き出すには、

管理職がみずからのミッションを自覚していなければ

ならないのです。

 

■なお、

もう一つの大きな課題があります。

 

そして、これが組織変革にとっての最大の問題点です。

 

それは、

職員同士が自発的な言動を互いに阻害する

ブレーキになってしまうことです。

 

なぜなら、変革とは、現状否定でもあるので、

互いの遠慮や気兼ね働くと、まったく前進しません。

 

若手や新人が違和感を覚えた点が、

実は、上司や先輩が決めた結果であった場合には、

「叱られるのではないか?」

「余計なことは言わなくていい」

と叱られてしまうのではないか、と

職員が不安を感じて、

気がかりを口にすることをやめてしまう、ということが

珍しくないでしょう。

 

こうしてみると、

現場がみずから考え新しい意見を話し合えるためには、

職員同士がなんでも話せる安心安全な関係性が

なければならない、ということが明らかになります。

 

昭和の時代には説かれなかったことですが、

「職員間の安心安全な関係性を整備すること」

が、職員から自発的ん言動を引き出すための鉄則です。

 

ついては、

「職員同士がなんでも話せる安心安全な関係性をつくるには、

どうすれば良いか?」

また、

「管理職は、どのようにすればよいのか?」

が、重要になるでしょう。

 

その最もシンプルな方法が、

患者サービス研究所が提唱している

「HIT-Bit」

というコミュニケーション・モデルです。

 

■組織変革をすることは、

トップ・ダウンを極力排除し、

ボトム・アップを組織文化にすることが必要です。

 

そして、そのためには、

組織から職員への「IN-Put」を最小限にし、

職員からの「OUT-Put」を最大化することに徹することです。

 

みなさんの現場でも

それができるコミュニケーション・モデルを

導入することが必要ではないでしょうか。

 

>>>つづく