■今回、改めて知らされたことのうちの一つに、
「現場に任せることができる組織」
が、ますます必要な時代になってくる、ということです。

今後の、BCP策定においても、
地震や水害だけでなく、感染を想定することが必要となります。

その場合、
「うちは、こういう患者さんを受け入れる。そちらで、こんな患者さんを引き受ける」
といった、
医療機関や法人の枠を超えて、
役割分担をすることが前提となることが、わかりました。

つまり、日頃の通常の地域連携が、
いざという時のための関係性づくりとなるでしょう。

そうなれば、これまで以上に、
連携の在り方は、多様化・複雑化、スピードアップが必要となります。

それは、すなわち、これまで以上に、
「みずから気づき、考え、話し合い、行動できる自律進化組織」
であることが必要になってくることを意味すると考えられます。

■根本において、
「業務グリップ型経営から、組織グリップ型経営へ」
の転換があると考えられます。

「業務グリップ型」
とは、
「経営は、業務を掌握することだ」
という考え方、

「組織グリップ型」
とは、
「経営は、組織を掌握することだ」
という考え方です。

■つまり、
「業務グリップ型経営」
とは、まさに昭和の製造立国だった頃から、我が国においては常識となっている経営観です。

経営者は、
「業務がうまくいっているのかどうか?を管理するのが仕事」
という考え方なので、
最も関心を持つのは、
工場ならば製造量、営業なら販売高、の数字であり、

つねに現場からあがってくる日計表や月報を見ては、
業務がうまくいっているかどうかに一喜一憂することになります。

その結果、うまくいっていなければ、
「現場はどうなっているのだ?」
と気にかかった時には、現場におもむき、

「どんな道具を使っているのか?」
「どんな販売資料を持ってい歩いているのか?」
「どんなシフトを組んでいるのか?」
などと、
「業務をどうにかしよう」
とする傾向があります。

それは、業務の具体的なことについて、介入するという傾向にもなります。

ここまでで、みなさんも、
「この業務グリップ型経営では、
多様化・複雑化・変化が加速するこんにちの組織運営ができない」
ことにお気づきでしょう。

■一方、
「組織グリップ型経営」
とは、業務グリップ型経営の限界を超え、
しかも、トップや経営者が、楽になる経営観です。

すなわち、組織グリップ型経営においては、
経営者は、
「組織がうまくいっているのかどうか?を管理するのが仕事」
という考え方です。

つまり、
「職員が、明るく元気に楽しく働いているのか?を管理する」
ということです。

なので、
最も関心を持つのは、
「現場にどれだけ、職員の意欲・努力・姿勢・行動が生まれているのか?」
の数字です。

実際、
業務の結果数字に現れていない
職員の意欲・努力・姿勢・行動といった水面下のモチベーションが高いほど、
業務の結果も大きくなるはずです。

目先の業務の結果数字だけを見ていては、
組織の柔軟性や成長力を伸ばすことはできません。

そこで、トップ・管理職は、
つねに現場からあがってくる
「職員の意欲・努力・姿勢・行動の記録」を見ては、
組織が健全に活性化しているかどうかに一喜一憂することになります。

その結果、うまくいっていなければ、
「どうすれば、現場が活性化するのか?
「どうすれば、職員が元気になるのか?」
と気にかかった時には、

現場のリーダーを相談して、
「もっと、職員の価値観を解放できないか?」
「もっと、職員に任せてやれることはないか?」
などと、
「組織をどうにかしよう」
とすることとなります。

それは、業務の具体的なことについて、介入しないという傾向にもなります。

もはや、
業務の具体的なことについて、
トップや管理職が介入していてはキリがなく、
とても、運営することができない時代になってきているということです。

そして、
トップや管理職は、
みずから具体的なことに介入し、
業務そのものに拘泥するのではなく、

組織を活性化することに注力するということです。

実際、
職員がみずから気づき、考え、話し合い、行動し、
つねに現場に、
職員の意欲・努力・姿勢・行動といったモチベーションが充満していれば、
トップや管理職が介入するよりも、
はるかに現場に即した、より良い取組が生まれるはずです。

このように自律進化組織になれば、
トップや管理職が予期しなかった問題提起や改善提案が、
日々、現場から上がってくるのです。

職員一人ひとりが、
自分の視野と発想で考えて行動するのですから、
良くも悪くも、思いがけない発言や行動に、
トップ・管理職は、驚かされます。

むしろ、
現場から問題提起や改善提案が上がってこなければ、
恐ろしいことです。

このように、
「組織グリップ型経営にしなければ、
多様化・複雑化・変化が加速するこんにちの組織運営ができない」
ことを感じていただけることでしょう。

■業務グリップ型経営は、
トップ・管理職が業務を管理する責任をみずから負ってしまい、
負荷がかかり、
現場職員は指示・命令に従って働くので、
楽になります。

職員を、いわば機械のように扱うことでもあるので、
モチベーションが上がることもないので、
離職にもつながりやすく、
組織の生産性も上がりません。

一方、組織グリップ型経営は、
現場職員からの問題提起や改善提案を引き出すことに徹するので、
トップ・経営者は良い意味で楽になりますが、
それは、
現場職員の価値観や意思を尊重することになり、
上層部が職員の意欲・努力・姿勢・行動を掌握してくれるのですから、
こんなにモチベーションが上がることはないでしょう。

さらにトップや管理職は、
つねに日頃から、現場からの予期しなかった問題提起・改善提案に驚かされるのですから、
組織においては、
思いがけない展開が生まれるのが当り前となります。

■みなさんの現場のトップや管理職の経営スタイルは、
「業務グリップ型経営」
でしょうか?

それとも、
「組織グリップ型経営」
でしょうか?

また・・・、
日頃、トップ・管理職が気にしているのは、
生産数量や販売数量を報告する日計表や月報でしょうか?

それとも、
どれだけ職員の意欲・努力・姿勢・行動が旺盛かどうかの指標でしょうか?

また・・・、トップや管理職が、
「言われたことに責任を持って取り組め。余計なことはするな」
という組織でしょうか?

それとも、
「言われていないこと、余計なことをしなくて、楽しいのか?
もっと自分が気になること、やってみたいこと、信じることを大事にしろ」
という組織でしょうか?

■いよいよ、
時代はとてつもないスピードで、
多様化・複雑化が進み、ますます変化が速くなっており、
指示命令に従うだけの職員に任せていては、
時代の荒波を乗り越えることはできなくなってきました。

一日も早く、
「業務グリップ型経営」から「組織グリップ型経営」へと
切り替えられることをお勧めします。