■接遇と聞いて、
「ワクワクする!」
「心が明るくなる!」
という人はいるでしょうか?

では、どんなイメージでしょうか?

「大事ですよね、たいへんだけど」
「意識しているつもりですが、これ以上になにをしろと?」
「あのお辞儀とか笑顔とかですか?」
「できていない人たちが学ぶべき。なぜ私たちだけやらされるのか?」
「たいへんな中、それでもやる意味があるんですか?」
・・・といった声を(ときには声なき声も)聞きます。

たしかに、接遇を学んでも、
「患者さんから心から喜ばれた」
ということは、ほぼ聞くことがありません。

なので、なおさら、
「何のために?」
「そんなに必要なの?」
と思われてしまうわけです。

そもそも、いま私たちが想定する「接遇」とは、
あたかも接遇マナーのことのように思われています。

マナーで人の心に響くことはありませんから、
徒労感ばかりが残る、ということは、必然なのです。

■では、なぜ、そんな、医療現場の実情に合わないものが
「接遇」
という名前で、医療現場に蔓延しているのでしょうか?

それは、1990年代に
「医療もサービス業」の掛け声があったころに、
元航空会社の客室乗務員の方々がインストラクターを務める研修会社が、
それまで企業の新入職員研修でおしえていたビジネスマナー研修を
「医療従事者コース」
「医療機関向け研修」
と、タイトルだけをつけかえて、
ほぼそのまま、医療業界に持ち込んできたからなのです。

そのため、
「接遇=マナー」
「接遇=テクニック」
「接遇=形を学ぶこと」
という文化が浸透していったのです。

■しかし、医療従事者のみなさんならお分かりだと思いますが、
形の接遇こそ、患者さんが最も嫌う対応にほかなりません。

感じは良いけれど、信用はできない。

笑顔は綺麗だけれど、気持ちをわかってくれるわけではない。

つまり、慇懃無礼な対応にしかならないので
患者さんからも喜ばれず、報われないという結果になるのです。

こうなると、
「教わったことはきちんと現場で活かさなければ」
と医療従事者の方々が律儀に実践するほど、
報われない徒労感を覚えることになります。

その結果、冒頭で挙げたような、
「大事ですよね、たいへんだけど」
「意識しているつもりですが、これ以上になにをしろと?」
「あのお辞儀とか笑顔とかですか?」
「できていない人たちが学ぶべき。なぜ私たちだけやらされるのか?」
「たいへんな中、それでもやる意味があるんですか?」
という声が上がってくるのは、当然のことだと言えるでしょう。

■しかし、本当の接遇とは、一言で言えば、
「患者さんと良い関係性を創ること」
に他なりません。

「この人でよかった」
「この病院だからなんでも相談できる」
と思ってもらえるような関係性を創るということです。

そして、それが実現していれば、
当然、患者さんやご家族から、感謝の言葉をかけられますから、
医療従事者は、
「頑張って本当に良かった」
と心から思えるはずです。

そして、
「もっと頑張ろう」
「もっとしてあげられることはないか?」
と、より大きな元気と勇気を得ることができることでしょう。

つまり、本当に正しい接遇をしていれば、
医療従事者の方々には、
徒労感ではなく充実感がもたらされるものなのです。

患者さんから、
手を握って感謝されたり、
涙を流して喜ばれたりすれば、
どんな力が湧いてくることでしょうか!

■にも関わらず、接遇講師の中には、
「接遇の接とは、向き合うこと。
遇とは、もてなすということです」
などと、医療現場では求められていない話を、
もっともらしくする人がいるのが実態です。

医療現場で必要なのは、その「接遇」ではありません。

■ビジネスマナーは、時として
クレームにすらなることをみなさんならご存知でしょう。

長時間待たされた患者さんに、
優雅な身振りで対応をすれば、
当然クレームになるからです。

というのも、
待つのが嫌だから怒っている患者さんばかりではなく、
たとえば
「早く帰らなければ、
恒例の親のところに介護ヘルパーが来てしまうので、
どうしてもそれまでに帰りたかった」
といった、他者の都合にまで影響してしまうために
気を揉んでいる人もたくさんいるのです。

そんな人にとっては、対応が優雅で優しく
立ち居振る舞いが美しいことは、
「気を使って欲しいのは、そんなところじゃない」
というクレームの元にしかならないのは、火を見るより明らかでしょう。

そこで必要なのは、
なだめるテクニックではありません。

では、どんな対応が必要なのか?
を明確に解説してくれるコンサルタントを選ぶことをお勧めします。

■ともあれ、いま、医療現場では、
「接遇」
と聞いて、心が踊る人はまずいません。

「接遇という、もう一つの仕事」
というイメージを抱いている人がほとんどでしょう。

実際、
「接遇=ビジネスマナー」
と想起してしまうことが珍しくないでしょう。

そのため、接遇担当者も、
「接遇をさらに向上しましょう」
と言いにくい、という状況もよく聞きます。

■そこで、提案です。

「接遇」という名前を捨ててしまいませんか?

接遇=ビジネスマナーという
手段の話題として伝われば、
多忙な現場では、だれも楽しい話だとは感じません。

反対に、
職員に大きなやりがいと誇りをもたらし
「職員を元気にするため」
という目的が伝わる名称にした方が良いでしょう。

実際、医療従事者のうちのほぼすべての方々が、
「最も、
この仕事をやっていて良かった!と感じる瞬間は?」
と聞かれて、
「患者さんに喜ばれたとき」
「患者さんから感謝されたとき」
と答えています。

そして、
本来、接遇を通じて実現しようとしている努力は、
まさに、
「患者さんに喜ばれたとき」
「患者さんから感謝されたとき」
を創り出して、
その結果、
医療従事者のみなさんが、
最もやりがいと誇りを感じる瞬間を創り出すための努力なのですから。

■「接遇」という言葉を捨てて、
そのかわりに、

「職場活性化」
「やりがいと誇り創造」
「心に響く瞬間創り」
「患者さんの笑顔で私たちが元気になろう」
・・・などなどの名称にした方がよいのではないでしょうか?

そんな名前にすることで、
本来の目的に立ち返って、
「ワクワクする!」
「心が明るくなる!」
そんな職場を実現してゆかれることをお勧めします。