「誤った人間観」が前提では、組織づくりはできない

「誤った人間観」が前提では、組織づくりはできない

■組織づくりにせよ、人材育成にせよ、
その他、さまざまなことにおいて、
思いがけずうまくいかないことに苦しむことがありますが、

たいてい、
「前提を間違っている」
ということが原因となっています。

人は、基本的に、
前提を誤っていることがおおいものです。

そして、その前提を誤ったままでは、
結果だけを変えようとすると、
対症療法となるので、
根本的な解決にならず、
むしろストレスが増大する、ということが多々あります。

■その前提の誤りの中でも、代表的なものが
「人間観」
です。

元来、組織をよくするためには、正しい
「人間観」
を持つことが重要です。

身体に対して正しい知識と理解がなければ、
適切な治療ができないのとまったく同じです。

しかし、得てして、
「正しい人間観とは何か?」
を振り返ることなく、
結果だけを変えようとすることが多く、

対症療法となるので、
根本的な解決にならず、
むしろストレスが増大する、ということがケースを
みなさんも数多く体験しているのではないでしょうか?

そもそも、
人間観の誤りは、多くの場合、
人間を贔屓目で見てしまうことから起こります。

やはり、自分自身に期待してしまうため、
自分を徹底して厳しく見ることができないからでしょう。

■アンガーマネジメントというテクニックがあります。

もっとも有名で、有効なのが
「6秒ルール」
です。

怒りを感じた時に、6秒待つことで、
衝動的な怒りを鎮静することができる、という方法です。

しかし、そもそも
人が人に対して抱く怒りのすべては、
「自分にとって重大なことに足しいて、
相手が自分ほど真剣に向き合ってくれていない」
ということから起こっている、
という心理構造があります。

そこには、
「わかってもらえて当然」
という誤った前提があることがおわかりでしょう。

さらにその前提には、
「わかってもらえるはず」
という勝手な人間観があることも明らかです。

この人間観を前提にして生きている以上、
「なぜ、会う人会う人わかってくれないのだ」
と驚き、悲しみ、失望する結果、
怒りを抱き続ける人生を送ることになるのです。

■しかし、考えてみれば、
そもそも、
人は異なる日時に、
異なる環境に生まれて、
異なる人生経験を積んできているので、
感じ方も考え方も違うのが当り前です。

したがって、
自分も他者を、他者も自分を
「わかってあげられないのが人間」
という人間観の方が正しいでしょう。

そして、
「人はわかってくれないもの」
という事実を前提にした方が、
客観的にも正しいのではないでしょうか。

なぜなら、もともと
「人はわかってくれないもの」
なので、
「なぜわかってくれないのだ」
と怒りを抱く理由がありません。

部下や後輩が、自分の大切な価値観を
半分でもわかってくれることがあれば、
「上出来だ」と思えます。

それどころか、
時として、とても心が通じる人と巡り会えた時には、
「奇跡だ!」
と心から喜ぶことができます。

■このように、
「人間はわかってくれるものだ」
という誤った人間観を前提にして、
会う人会う人に
「なぜわかってくれないのだ」
と驚き、悲しみ、失望し、
怒っては6秒、我慢する、という人生を続けるのか?

それとも、
「人間はなかなかわかってくれないものだ」
という人間観を前提にして、
時として判り合えた時には
「奇跡だ!」
と喜び、その相手を心から大切にしようと思える人生にするのか?

どちらが、根本的な解決になるでしょうか?

そして、
どちらが、ストレスが少なく、幸せな人生になるでしょうか?

■組織づくりにおいても、
正しい人間観と正しい前提を持つことが重要です。

組織開発や人材育成をする場合も、
教育・研修を行なう場合も、
正しい人間観を持ち、
正しい前提に立った取り組みをされ、

または、
正しい前提に立ったコンサルタントを選ばれることをお勧めします。