■経営者・管理職に「迷い」があれば、部下はついてゆけないものです。

その影響は甚大なのですが、意外に世の中ではそんな実態が多くの組織のいたるところで見受けられる傾向があります。

しかし、経営者・管理職に「迷い」という自覚がないから余計にひどいことになっています。

「迷い」というより、「自己不一致」を抱えているといえるでしょう。

その結果、部下からすれば、
「グラグラしている」
「一貫性がない」
……と感じられる「ソフト・ポリシー(軟性思考)」となります。

本来は、部下からは、
「あの上司が言うことは、揺るぎない考えに基づいている」
……と感じられる「ハード・ポリシー(硬性思考)」でなければなりません。

とは言うものの、
かく言うわたしたち自身の中にも、
「前向きに成長して頑張りたい」
という天使の言葉と
「そこまではやれないよね〜」
という悪魔のささやきが
つねに交錯しているものだということを、みなさんもご存知でしょう。

そして、
「天使だけだったら、今頃、
どんなに強く賢く愛情深い素晴らしい人間になっていただろうか」
と思う人も少なくないはずです。

これは、ほぼすべての人間に言えることでしょう。

そして、ほぼ全ての人間がそうなれたら理想ですね。

■しかし、
もったいないことに、世の中の多くの経営者や管理職にも
やはりその傾向は見られます。

それは、部下に惑いをもたらし、
組織のポテンシャルを、台無しにしてしまうことにつながります。

たとえば、
身近な医療現場で代表的なのは、こんなパターンです。

上層部から、
「前回の患者満足度調査でも待ち時間が長いという苦情が多い。
安全・正確を除けば、迅速第一だ」
と言われていて、

現場は、
効率・効率と頑張ってきたのに

ある時、
「職員の態度が悪い」
とクレームが投書されれば、途端に今度は、

「効率なんか、クレームを招いたら何の意味もない。
丁寧な対応こそが重要だ」
と呼びかけられ、

現場が、
丁寧・丁寧と頑張ってみるのですが、

またまた、
「待ち時間が長い」
という患者さんの声が上層部に届くと、

「とにかく待たせることが患者に苦痛を与えてしまう。
なんとかしてスピードを上げなさい」

またまた現場が、
スピード・スピードと頑張っているとl、やがてまたまた

……と、このように経営者・管理職が
右に左にとグラグラしていると、
そのたびに全力で従っている部下には、
とてつもないストレスを与えてしまいます。

経営者・管理職は、
「どちらがどの程度大事だ」とか、
「どんな条件の元では、どちらが優先だ」といった
ものさしの目安や考え方を与えなければなりません。

でなければ、現場の部下職員は、
「いつどのように舵取りが変わるのか分からない」
ので、誰もついて来れないのです。

■こうしたことが、珍しくないでしょう。

安全重視だ、いや経費節減だ

売り上げだ、いや粗利だ

生産性だ、いや職員満足だ

新規開拓だ、いや既存深掘りだ

品質第一だ、いやスピード重視だ

今月何としても結果を出せ、といったと思ったら
来月にればなったで「今月も何としても結果を出せ」

もっと正確に細かく情報を揃えろ、いやもっと簡潔にできないか

……などなど、みなさんにも思い当たることが多々あるでしょう。

こうした経営者・管理職の「ソフト・ポリシー」で現場が困ったり悩んだりしている事例は、
枚挙にいとまがありません。

そして、
こうした経営者・管理職の自己不一致がない組織が、
実に羨ましい気もします。

しかし、経営者・管理職が揺るぎない「ハード・ポリシー」を持っている
明快な職場は実に稀で、
世の中のほとんどの組織においては、「ソフト・ポリシー」による摩擦が常に現場にあることでしょう。

それだけ、
世の中のほとんどの組織において、起きていることです。

しかし、どれだけ生産性を下げ、不毛なことをしていることか。

この問題は、
もっともっと意識的に取り組んで、
変えてゆかなければならないでしょう。

というのも、
ほぼ全ての経営者・管理職に言えることであり、
その結果、
ほぼすべての組織において、そのポテンシャルを台無しにしているからです。

■それは、
ストレスがあるから避けたほうが良い、という程度の軽傷ではありません。

経営者・管理職の自己不一致があると、
現場職員に不愉快をもたらすだけではなく、
なだけではなく、
組織の致命傷にもなりかねません。

■そうした、経営者・管理職がグラグラしている
「ソフト・ポリシー」の下では、以下のようになります。

  • 上司に迷いがあれば、部下はついてゆけない。
  • 部下は無駄をさせられる。
  • すると、「無駄をさせられるのではないか」という不安によって、組織のすべてに対するモチベーションが下がる。
  • 組織不信が、生産力を下げる。
  • 上司からの指示・命令に安心して従えないために、職員がそれぞれの解釈で働くようになる。
  • その結果、独善的な言動が生まれる。
  • そこから、部下間においても摩擦が生まれる。
  • 快適な環境ではないので、退職にもつながる。
  • また、業務のゴールがブレるので、頑張っても適正に評価されるという安心感がない。
  • そのため、職員は無駄や損をしたくないので、楽を選び怠慢に陥りがちになる。
  • 職員同士、業務においても、非協力的になったり、さらには仕事の押し付け合いになる。
  • こうした状況が続くことで、組織が空中分解する。

一方、経営者・管理職が
揺るぎない「ハード・ポリシー」に基づいて組織を運営していれば、以下のようになります。

  • 余計なことをさせられるという不安がなく、やると決めたことに職員誰もが全力を集中できる。
  • 集中して取り組めることによって精度が高く、効率の良い働きができる。
  • 底力を発揮できることで大きな成果が得られる。
  • それが、やりがいと誇りにつながる。
  • 部下は、そうした機会を与えてくれている組織や上司へ感謝することができ、感謝するからこそ、次もさらに貢献したいと思える。
  • 生産性が高まり続ける好循環となる。
  • 部下同士も足並みが揃う。
  • お互いの認め合えるので、勇気と元気が得られ、ますます頑張れる。
  • 根拠の下に方針が決められていることが明らかなので、業務の割り振りや、それに対する評価が公平・公正であると安心できる。
  • 納得感があり、過小評価される不安がないので、積極的にお互いに協力し合える。
  • そのため、組織全体においても生産性が飛躍的に向上する。

■一貫性が、いかに重要か、痛感させられます。

しかし、医療現場では、
人事評価がない、
目標管理もない、
上司の言うことも変わる、
誰が自分を評価するのかもわからない、
というより、誰が自分を悪く言うかわからないので意見を言いにくい、
……といったことも聞かれます。

これでは、組織運営をしているとはとても言えません。

まずは。経営者・管理職が、毅然とした態度で、
「良いものは良い、悪いものは悪い」
「良かれと思ってしてくれた人は、必ずわたしが守る」
といった意思表示をすることから始めると良いでしょう。

そして、
揺るぎない「ハード・ポリシー」を打ち出して、
部下が安心して全力を発揮できる組織を実現されることをお勧めします。