結果の質を変えるには、関係の質を変えよ(5)

結果の質を変えるには、関係の質を変えよ(5)

■結果の質を変えたいなら、行動の質が変わらなければならず、
そのためには、思考の質が変わらなければならならず、
そのためには、関係の質が変わらなければならない、
と、言われています。

では、どんな関係が
「質の良い関係」
なのか?

それは、
「お互いに何でも言える関係性」
だということができるでしょう。

■このように聞くと、
昭和の発想に毒されている私たちは、
つい、
「何でもかんでも言うのは、良くない」
「ネガティブなことを言う者も出てくるのではないか」
と心配しがちです。

しかし
一見、愚痴や不満のように見える発言が、
「では、変えてゆこう」
という業務改善の端緒となることもあります。

「パソコンで作業する仕事をしているのに、
絶対に、毎日出勤しなければいけないのでしょうか?」
と、半年前ならわがままのように受け止められた言葉も、
今となっては、
「その指摘、確かにその通り!
では、在宅ワークを原則にしよう!」
という思いがけない改善のための、貴重な意見だということもあるのです。

一概に、
「良い・悪い」
「必要・不要」
「うまくいく保証がある・ない」
「得・損」
などといったジャッジをするのは、意見を出し合った後で良いのです。

まずは、どんなことでも話に出してみなければ、
ジャッジのしようもないからです。

■では、職員同士が
「何でも話せる関係性」
すなわち
「質の良い関係」
を創るためには、どうすればよいか?

そもそも、わたしたちは、初めて会った瞬間から、
ある人と何でも話せるようになることはありません。

かならず、そうなるまでのプロセスが必要となります。

それが、冒頭の図です。

初めて会った時には、まずは、挨拶や社交辞令だけということもあるでしょう。

そして、次に会った時には、
少しだけ立ち入った話題になり、
①「こう思うんですよ」
と言ってみたところ、

相手が
②「そう思うんですね」
と受け止めてくれると、
「あ、大丈夫だった」
と、少しだけ、話しやすく感じることができるでしょう。

また次に会った時に、自分が
③「実は、こんなこだわりがあるんですよ」
と、さらに少しだけ個性を出してみた時にも、

相手が
④「そう思うのも、理解できますよ」
と受け止めてくれると、
「あ、また大丈夫だった。
この人には、自分の個性を出しやすいかもしれない」
と感じるでしょう。

さらに次に会った時に、自分が少し思い切って
⑤「このことだけは、譲れないんです」
と、アクの強いところを見せてみた時にも、

相手が、
⑥「そう思うのもわかります」
と受け止めてくれれば、
「あ、またまた大丈夫だった。
この人なら、大抵のことは話しても味方になって聞いてくれる」
と感じるでしょう。

こうして、
人と人が、何でも話せる関係性になるには、
「言ってみたら、大丈夫だった」
「また言ってみたら、大丈夫だった」
「またまた言ってみたら、大丈夫だった」
といった承認される体験を蓄積し、徐々に心を開くプロセスがあって初めて、

その延長上に、
⑦「あ、この人なら何でも話せる」
と感じることができるようになるのではないでしょうか?

逆に、こうしたプロセスがなければ、
「何でも話せる関係性」
「質の良い関係」
が突如として生まれることはあり得ないでしょう。

■では、職員同士が
「言ってみたら、大丈夫だった」
という承認される体験を蓄積するプロセスを、
すべての同僚の間に設けるには、
どうすれば良いでしょうか?

仕事の合間に、
職場のあちこちで、
親しい者同士も親しくない者同士も、
日常の中で、
承認される体験を蓄積することができるでしょうか?

「お互いに承認しあう対話をしなさい」
と、上司から指示・命令をしたところで、
現場でこうした対話が行なわれることはない、
・・・ということは、
みなさんもご存知でしょう。

「対話しろと言っても対話しない」
では、
「何でも話せる関係性」
「質の良い関係」
を創り出すことはできませんから、
「結果を変える」
ということは、永遠にできないということになってしまいます。

■では、どうすれば良いか?
その具体的な方法は、次回お伝えします。