■さまざまな点で、
心と体はパラレルだということはご存知でしょう。

たとえば、
心に無理がかかり、それを発散できない時、
人は、それを身体に発散するので、
病気が起こる、というメカニズムも、
改めて言うまでもないでしょう。

あるいは、
時間をかけて悪くなったものは、
治るのにも時間がかかるという性質は、
身体における生活習慣病も、
心における鬱病も、
共通した傾向であることも明らかです。

■したがって、
組織づくりをするためには、
そこにいる職員の心にアプローチすることが
必要となりますが、

もし、
心理構造が見えにくく
「心はわかりにくい」
と感じる場合、
身体になぞらえて考えてみれば、
すっきりと見えてくると言うことがあります。

■とくに、普段痛感するのは、
研修や
人事管理制度の導入、
目標管理制度の導入、
組織改革プログラムなどについてです。

たとえば、
人事評価制度や目標管理制度の導入においては、
「導入します。説明会をします」
とアナウンスした時点で、

現場からは、
「忙しいのに」
「すでに一生懸命やっているのに、もっと監視される」
「こんなことでちゃんと見てもらえるのか?」
などの不満の声が噴出している、という例は
枚挙にいとまがありません。

それは、職員の方々のマインドを整えるといった
周到な準備をしていないからに他なりません。

進め方が雑、もしくは、乱暴なのです。

なので、摩擦が起きるのは必然です。

不満にとどまらず、
将来への不安や組織への不信が高じて、
退職者が出るということすらあります。

■こうした現場の否定的な反応を見ると、
「なぜ、理解がないのだ?」
と不可解に思うかもしれません。

そこで、心理構造を
身体に置き換えて考えてみれば良いでしょう。

もし、患者さんが、
「回復したくない」
「手術も受けたくない」
と思っているのに、
説得して同意を取り付けて手術をしたら、
どうなるでしょうか?

術前の身体のコンディションを整えることにも
協力的でないので、
万全の体力で手術を受けることはできません。

予後も芳しくないことでしょう。

リハビリテーションに苦痛を感じれば、
「なぜ手術を勧めたのですか?」
と患者さんから恨み言を言われる、
と言うことにもなりかねません。

一方、患者さんが心から
「何としても回復して行動したい。
だから回復したい。
だからぜひ、手術を受けたい」
と願い、
患者さんの方から、
「どうか、手術をお願いします」
と頼んで来た場合には、

最良のコンディションの下での手術ができ、
もちろん、
リハビリテーションにも、
前向きに取り組んで
順調に早く回復してゆくことでしょう。

このように身体になぞらえて心理を考えれば、
いかに事前に前向きなマインドになるよう整えておくことが重大か、
むしろ
「そうするのが当り前だ」
とさえ感じるでしょう。

重大どころか、
成否を分けるポイントと言っても過言ではありません。

■ところが、
驚くことに、
そうしたことが、組織運営においては
さっぱり配慮されていないのが
現実ではないでしょうか?

研修をする場合、
担当者が、
「日にちを決めて、告知します」
とだけ。

これでは、良い研修にはなりません。

なぜなら、職員の方々が、
「ぜひ研修に出たい」
と思っていなければ、
会場に来た時点で
「忙しいのに」
という不満でいっぱいで、
どんなに内容が良くても、
心に響かないからです。

「ぜひ研修に出たい」
と思って出てもらうには、
「学ぶことが必要だ」
と感じてもらうことが必要です。

「学ぶことが必要だ」
と感じるには、
「いまの現場には(自分には)課題がある」
と気づいてもらわなければなりません。

こうした心境で研修に参加した職員は、
必ず
学んだことを現場で実践することでしょう。

このように、周到に準備をして、
マインドを整えてから研修を行なえば、
研修はとてつもなく効果的なものとなるのですが、

みなさんの現場ではいかがでしょうか?

■「人が動かない」
「組織が動かない」
と感じたときには、
心理構造を考えることをお勧めします。

そして、その際には、
心理構造について、
身体構造になぞらえて考えることです。

心のわかりにくい部分が氷解して、
ポイントがクリアに見えて来るものです。