■昭和の時代には、
「働くのは大変なこと」
「無理をするのが仕事」
「我慢できることが素晴らしい」
という文化がありました。

今以上にセクハラ・パワハラがあり、
そんな中でも、
40年間勤め続けることができるような、
「理不尽なことに対する耐性がある人ほど立派」
という時代でした。

その文化で最も恵まれていたのは、
経営者・管理職でした。

自分たちの価値観を解放したい放題だったからです。

それでも部下たちが辞めない時代だったからです。

しかし、いまは、理不尽なことを押し付ければ、部下は辞めてしまいます。

辞めなくても、しばらくすると病んでしまいます。

つまり、
こんにちでは、
本当に
「働くのは大変なこと」
「無理をするのが仕事」
「我慢できることが素晴らしい」
でいいのか?
という時代になったということです。

■いまこそ、
「本当にそれでいいの?」
という素朴な感覚を大事にし、
正しい組織観、人間観、仕事観を取り戻すほうが良いでしょう。

言い換えれば、
「人間はそんな風にできているのか?」
「人間のデフォルト設定がどうなっていのか?」
を、正しく見抜かなければならないということです。

昭和の時代の、勝手な精神論を前提にしていると、
正しい人間観を見誤り、
職員を病ませてしまったり、辞めさせてしまうことになりかねません。

※なお、「デフォルト」とは、コンピューターなどの機械における
出荷時の初期設定のことです。

顕著な例をあげましょう。

従来は、
「ラッシュの電車に乗って90分もかけて通勤するのが当り前。
それくらいできないというのは、働くことを軽く考えている」
というのが良識でしたが、

今年になって、それは変わり、
「体力をストレスと時間を通勤に費やすよりも、
それをせずに仕事に集中できるライフ・スタイルを見出す視点を
持てる方が賢明で、有能だ」
という価値観になりました。

旧来の
「べき論」
は、
いま通用するとは限りません。

「以前の常識は、いまの非常識」
です。

■さて、人間観で言えば、
これまで、経営者や管理職から
よく聞かれていた意見を上げれば、以下のようなものがあるでしょうか。

たとえば、
「やる気の乏しい職員に、仕事を任せてみる」
という考え。

たとえば、
「大仕事を成し遂げれば、自信がつきモチベーションが上がる」
という考え。

「新たな施策を始める場合、リーダーは管理職に任せる」
という考え。

「懇親会をやれば職員同士のコミュニケーションが増え業務が円滑になる」
という考え。

「自分勝手な意見が上がらないよう、職員が自由に意見を言えるようにしないほうが良い」
という考え。

「職員から上がった要望は、叶えてやらなければモチベーションが下がってしまう」
という考え。

「現場から上がってくる待遇改善の要望を聞き入れれば、モチベーションは上がる」
という考え。

これらはごく一部ですが、
こうした、
誤った人間観にとらわれてはいないか?
振り返ることをお勧めします。

■では、どうすれば、
人間のデフォルト設定、
正しい人間の心理構造がわかるでしょうか?

それは、昭和の人間観にとらわれず、
「自分自身はどうか?」
を振り返れば見えてくるでしょう。

「自分がやる気がないときに、仕事を任されて、やる気が出るか?」

「大仕事を成し遂げたら、必ず次にチャレンジしたくなるのか?」

「管理職ならば、いかなることについてもリーダーにふさわしいのか?」

「懇親会があれば、仕事の幅が広がることに必ず繋がるか?」

「意見を聞かれたとき、つねに自分勝手なことを言うか?」

「あげた意見が叶わなければ、つねにモチベーションが下がるのか?」

「待遇が良くなれば必ずモチベーションが上がるのか?」

このように、
「本当にそうだったか?」
自分自身の胸に手を当てて考えてみれば、
正しい人間感が見えてくることでしょう。

旧来の組織観・人間観・仕事観にとらわれて、
無理を強いてしまえば、
職員は、病んだり辞めたりしてしまいます。

一日も早く、
昭和の時代の「べき論」「精神論」を卒業して、
正しい人間観を振り返ることをお勧めします。