■突然ですが、
『スパイ大作戦』(原題「Mission Impossible」)
の冒頭での、ボスからの指令なら、次のどちらが良いでしょうか?

自律進化組織を創る上で、重要なポイントがわかります。

1.「おはようフェルプス君。
国際テロ組織の一味が、
宇宙開発の先端技術を対立国に売り渡すため、
国防総省に潜入して、サイバー攻撃を試みていると言う情報が入った。
そこで、今回のミッションだが、
3日後に国連で開かれる宇宙開発条約会議までに、
何としても、サイバーテロを一人残らず倒し、
大統領が平和裡に条約締結できるよう、
先端技術の漏洩を絶対に阻止してもらいたい。

なお、例によって、君もしくは君のメンバーが
とらえられ、あるいは殺されても、
当局は一切関知しないから、そのつもりで。

なおこの録音は自動的に消滅する。
成功を祈る。」


2.「おはようフェルプス君。
〜中略〜
そこで、今回のミッションだが、
近々、国連で開かれるらしい宇宙開発系の会議までに、
できるだけ、サイバーテロを突き止めたり、倒したりして、
大統領が平和裡に条約締結できるよう、
先端技術が漏洩しないようやってみてもらえると嬉しい。
そのために、
国防総省のゴードン准将にはわたしから連絡を入れておこう。
サイバーテロのブラックリストは、
FBIのバーンズ情報局長からもらえるように話してある。
また、サイバーテロの捜査は、
CIAのマッコーエン長官に頼んで、
コードネーム「スコルピオン」という1000人規模の専門部隊が
本事案を最優先に
協力してくれることになっている。
捜査を海外に展開する場合のことを想定して、
各国大使館・領事館を拠点に活動している
国際諜報部員がいつでも強権的に動けるよう、
大統領には、すでに教書を準備してもらっている。
あとは、
きみが順番に相談して動いてもらうだけで、
ミッションは無事に完了しないはずがないだろう。

なお、例によって、君もしくは君のメンバーが
とらえられ、あるいは殺されても、
労災扱いはしないと思うので、そのつもりで。

なおこの録音は自動的に消滅する。
成功を祈る。」

さて、1.と2.のうち、どちらが良いでしょうか?

=====

■みなさんは、
1960年代、日本でも毎週放送されていた
『スパイ大作戦』
を覚えているでしょうか?

このYouTubeの通り、
毎回、ボスから、不可能と思えるようなミッションを指令され、
それを成し遂げてゆくチームの活躍が描かれています。

独裁者を倒したり、
要人暗殺を防いだり、
内紛を企てるクーデター組織を壊滅したりと、
無理難題に立ち向かうストーリーに、

視聴者は、毎週、
「そんなのできっこない!(Mission Impossibleだ)」
と思いつつも、
「今回は、どんな奇想天外な方法で、その苦難を乗り切るんだろう?」
とワクワクしながら観ていました。

■ではなぜ、
指令のシーンを観ただけで、視聴者は胸躍るのか?

それは、言うまでもなく、
「指令」
そのものの中に、最も面白くなる、モチベーションが上がる要素が埋め込まれているからです。

そして実は、
職場では、まったくその逆が行なわれていることが多いので、
「仕事に胸踊ることがない」
ということが起きているのです。

では、面白くなる要素、
モチベーションが上がる要素とは何でしょうか?

■それは、選択肢の1にあるように、
「ミッションのゴールだけは揺るがないものが課せられていて、
プロセスは一切の助言も応援も与えられていない」
ということです。

「何としても、いつまでになにを成し遂げなければならない」
という明確なゴールが与えられており、
「どのようにするか?」
というプロセスについては、まったく自由です。

そして、そのゴールに到達することが自分事となり、
目的が心に刺さった人は、
目的達成のために、
あらゆる手段を講じて、
ミッションを果たそうとするので、
それを一緒に体験しながら視聴する側もワクワクするというわけです。

これは、
ゴールには揺るがない執着、
プロセスには感知しないので自由、
というミッションの与え方、

つまり、
「ハードゴール、ソフトプロセス」
です。

目的に執着し、手段は放任なので、
「執的放手」
と言っても良いでしょう。

■この逆に、選択肢の2にあるように、
「ミッションのゴールが鮮明でなく、
プロセスについて細かく指示が与えられている」
となるとどうでしょうか?

期限も、着地点も曖昧で、
そもそも、”何としても”ではなく、”できれば”という
漠然としたものであれば、
もう一つ、やる気が出にくいことでしょう。

にも関わらず、
「ああして、こうして、そうすれば、うまくいくはずだ」
と事細かに行動を指示されていれば、
それを聞いた時点で
「ああして、こうして、そうしなければしけないのか」
と感じ、とても胸が躍ることにはなりません。

むしろ、わたしたち視聴者までもが、
いっぺんに
「やらされ感」
に襲われてしまうのではないでしょうか。

これは、
ゴールには緩やかで手放し、
プロセスには微に入り細に入り固執する
というミッションの与え方、

つまり、
「ソフトゴール、ハードプロセス」
です。

目的は放任で、手段に執着しているので、
「放的執手」
と言っても良いでしょう。

■というわけで、
ここからが本題です。

職員に「やらされ感」を抱かせ、
モチベーションを下げようとするならば、
それは極めて簡単です。

ゴールに対する執着を見せず、
プロセスにばかり細かく介入する
「ソフトゴール、ハードプロセス」
で、ミッションを与えることです。

その反対に、
経営者・管理職のゴールへの執念が職員に伝わり、
目的が職員の心に刺さることで
職員がミッションを自分事をしてとらえ、
高いモチベーションで臨むようにするには、
その逆にすることです。

つまり、
ゴールは揺るがないものを毅然とした態度で示し、
プロセスには「自分の信じる通りにやってごらん!」と言って、
一切介入しない、
「ハードゴール、ソフトプロセス」
で、ミッションを与えるということです。

そうすると、その瞬間から、
職員たちは、
『スパイ大作戦』(Mission Impossible)の主人公たちのように、
さまざまに考えを巡らせて、
難題に果敢に立ち向かってゆくことになるのです。

■「職員のモチベーションが高くならないものか?」
と悩む経営者・管理職は少なくないでしょう。

しかし、
世間では、意外に、
その逆をしている人が多いことにお気づきになったのではないでしょうか?

理念はあっても、
数値化して検証できる方法がなかったり、
期日を設けていなかったり、ということが多々あり、
その結果、
「ゴールには柔軟」
である一方、
「ああしろ、こうしろ」

「プロセスには執着して、頑なに意見する」
ということが非常に多く見受けられます。

これが、やらされ感を抱かせてしまう
典型的な
「ソフトゴール、ハードプロセス」
「放的執手」
です。

反対に、職員のモチベーションを最大限に引き出すならば、
上記の逆で、
揺るがないゴールを設定し、
プロセスには関心すら示さない、
まさに『スパイ大作戦』のボスのように
「ハードゴール、ソフトプロセス」
「執的放手」
でなければなりません。

■もしみなさんが、
「職員になんとしても、変えて欲しい」
と言うことがあるならば、
この点を180度、切り替えることをお勧めします。

つまり、具体的には、
「なんとしても、いつまでに、こんな病院にしてゆきたいのだ」
と、ゴールだけを設け、
そのゴールにコミットさせるのです。

そうすると、職員は、
「そのためにどうすれば良いか?」
みずから考えたり、調べたり、協力を取り付けたりして、
不可能だったはずのミッションを成し遂げてくれるはずです。

多くの、優しく、秀れた経営者や管理職は、
ついつい、
「あれをああすればああなり、
これをこうしたらこうなるのだから、
そうすれば出来上がることは明らかじゃないか」
とプロセスに介入しがちです。

親切にも、
「これなら部下たちでもやり遂げられる
という確信が持てなければ、
部下にやらせてはならない」
と思い込んでいる面倒見が良すぎる経営者・管理職もいます。

そのため、いつの間にか
部下職員に考えさせれば良いところを、
部下以上に上司が考え、悩み、答案を用意してしまい、
「こうすればできるだろう」
「このようにやればいいのだ」
答案を示してしまうので、

最初から部下職員に「やらされ感」を抱かせてしまい、
モチベーションを損なっている、という場面をしばしば見かけます。

■わたしたちは、
自分自身が、日頃、どれだけ、
プロセスの話に介入しているか、
振り返ってみた方が良いでしょう。

驚くほど、
「ああしろ、こうしろ」
「ああするな、こうするな」
と介入していることに気づくでしょう。

「ソフトゴール、ハードプロセス」から
「はードゴール、ソフトプロセス」へ。

「放的執手」から
「執的放手」へ、です。

そして、経営者・管理職の方々は、
「どこまで、プロセスへの介入を排除することができるか?」
に挑戦してみることをお勧めします。

■とは言うものの、
急に突き離すようなことをすれば、
これまで上司に介入してもらい助けてもらうのが当り前だと思っていた部下職員からは、
「なんで?」
「冷たい」
「無責任だ」
「できません」
といった不満の声が上がるのではないか、と心配になるかもしれません。

普段のコミュニケーションによって、
信頼関係を築くことが不可欠です。

そのための、
最短最速で組織体質を変える
1日5分のコミュニケーション・モデル、
それが
「HIT-Bit」
です。

HIT-Bitについては、1Dayセミナーを開催しています。