■各部署がそれぞれの異なった視点を持つことには長所もあります。
一方、全体最適を見失うため、できるはずの協力ができず、組織が総力を発揮できないこともあります。
そこで、「縦割りの組織に横串を通したい」という声をしばしば聞きます。

では、どうすれば良いでしょうか?

  1. プロジェクトチームを作るときは部署横断的に人選する
  2. 部署横断的な委員会をたくさん設ける
  3. 部署横断的な会議をたくさん設ける
  4. 複数部署合同のイベントを催す
  5. 複数部署合同で一緒に作業をさせる
  6. 部署間で互いに見学や体験入職をさせる
  7. 職員自身を横串にする

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■たとえば、製造販売をしている会社では、
製造部門には、
「精度の高いメーカーであるべき」
というポリシーがあるのが一般的です。

製品のクオリティが
自分の存在価値だと思うからです。

一方、
販売部門では、
「顧客の要望に柔軟に答える会社であるべき」
というポリシーが強く働きます。

顧客に対して全責任を負うのが
自分の役割だと思うからです。

そのため、
しばしば
「無理な納期に応じてやってほしい」
という販売部門の要望と、
「精度を損なわないためには余裕ある契約を取ってきてほしい」
という製造部門の要望とが、
対立することとなり、

その結果、
普段から互いに
「簡単に要望に応じられると思われてはいけない」
と非協力的な関係が生まれてしまうというわけです。

これが、
全体最適を見失った状態です。

同様に、医療現場でも、
職種間で異なった視点を持つために、
「分かり合えない」
「協力できない」
という、好ましくない関係性になってしまうことがよく見られます。

俗に言う
「サイロ・エフェクト」
という現象です。

同様のことは、個人レベルでも生じ、
まるでトンネルの中を猛スピードで疾走している時に
進行方向の一点だけしか見えなくなり、
危険と不安で苦しむことになるのと似ていて、
「トンネリング」
とも呼ばれている現象です。

各人・各部署が部分最適にとらわれるあまり
全体最適を見失ってしまうことは、
ビジネスの現場においても日常茶飯事でしょう。

このような縦割りの弊害に直面したとき、
経営陣は、
「横串を通さなければならない」
と考えることになります。

■では、横串を通すとはどういうことでしょうか?

それは、お互いに

  • いつでも訊きたいことを訊ける
  • いつでも言いたいことを言える
  • いつでも頼みたいことを頼める

・・・そんな関係をつくるということでしょう。

そんな関係は、もちろん、

  • 訊きたいときに訊く
  • 言いたいときに言う
  • 頼みたいときに頼む

・・・といったことをしていては築けません。

ではどうするか?

  • いつ訊かれても答える
  • いつ言われても受けとめる
  • いつ頼まれてもできる限り応じる

・・・といった「承認的対応」をすることでしょう。

全職員がいっせいにそうなることは難しいので、
現実的なのは、
各部署のリーダーが「承認的対応」をすることです。

つまり、
管理職自身が横串になるということです。

管理職がつねに

  • いつ訊かれても答える
  • いつ言われても受けとめる
  • いつ頼まれてもできる限り応じる

・・・といった「承認的な対応」をしていれば、

おおよそ、すべてのスタッフが、部署の枠を超えて

  • いつでも訊きたいことを訊ける
  • いつでも言いたいことを言える
  • いつでも頼みたいことを頼める

・・・といったことができるようになるでしょう。

■したがって、
そのようにすれば、冒頭のクイズの
[1]の「プロジェクトチームを作るときは部署横断的に人選する」
[2]の「部署横断的な委員会をたくさん設ける」
[3]の「部署横断的な会議をたくさん設ける」
[4]の「複数部署合同のイベントを催す」
[5]の「複数部署合同で一緒に作業をさせる」
[6]の「部署間で互いに見学や体験入職をさせる」
といった施策を講じる必要は無くなります。

各部署の管理職自身がつねに承認的な対応をしていれば
[7]の「職員自身を横串にする」
ことが実現するので、
トップが[1]から[6]のようにあれこれ部署を超えた施策を講じなくても、
積極的に部署間協力が旺盛な組織になることができるのです。

■なお、
「管理職が承認的対応をできるようにするにはどうすればよいか?」
という疑問もあるでしょう。

その答えは、つまるところ、
「全体最適とは何かを、管理職が理解すること」
となります。

さらに究極的には、
「全体最適とは何かを理解している人だけを管理職にする」
ことです。

厳密に言えば、
「全体最適を理解できていない人を管理職にしてはならない」
ですが。
このような組織になると、明らかな変化が現れます。

その一つが、
「担当でもない者が、口出しをするな」
という言葉が組織から無くなる、ということです。

そして、
「担当でもないのに、指摘してくれてありがとう」
という言葉が聞かれるようになります。

なぜなら、全体最適のためには、
お互いが立場にとらわれず、
なんでも言い合えることが不可欠だという
組織文化となるからです。

管理職がつねに「承認的対応」をするようになるための
この具体的な方法は、別の機会に述べます。

正確にいうと、
管理職だけが承認的対応をするようになる方法は存在せず、
「職員全員が承認的対応をするようになる方法」

つまり、
組織全体から縦割りの壁が消え、
全ての職員自身が横串となる方法、となります。