負責病の事例(17) 「部下の長所を見極める」

負責病の事例(17) 「部下の長所を見極める」

■多くの経営者・管理職は、
「自分の組織を自走組織にしたい」「そのためにも部下に成長してもらいたい」
と考えていることでしょう。

以下のうち、どれが効果的でしょうか?

  1. 部下をしっかり教育する
  2. 部下をしっかり評価する
  3. 部下にしっかり勉強させる
  4. 部下に「自走しろ」と指示する
  5. 部下にできるだけ介入しない

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■ある大学教授のリーダー・シップの本では、
「部下の長所短所を見極める力が必要」

「人望が必要」
など・・・、

同じようなことが書かれているリーダー・シップの本は、
他にも挙げればキリがありません。

なので、
みなさんもさほど違和感を覚えないかも知れません。

しかし、この昭和の発想では、
本当に、活力があり生産性の高い組織になるのは極めて難しいと
考えられます。

これでは、
離職もメンタル疾患もハラスメントも、
自浄できる組織になることは難しいでしょう。

■なぜなら、冒頭のような、
リーダーが現場を把握しコントロールしようとする
トップ・ダウン体質は、
部下の面従腹背を生み出す温床となるからです。

部下がみずから気が進まないことを
上司が指示命令すれば、
部下は死角に逃げ込んでしまい、独善に陥る傾向があるからです。

そして、
「現場の人間関係が悪化する」
という状況が生まれるのは、
まさにそういう時です。

上司はもとより周囲の目の行き届かない死角が生まれた時に、
ハラスメントが起きやすく、
メンタル疾患の原因となり、
果ては離職につながるからです。

■さて、こうしてみると、
部下の長所短所を見極めるのは良いことでしょうか?

結論は、
「過保護」
です。

上が決めて下は従うトップ・ダウンの文化そのものだからです。

トップ・ダウンの文化のもとでは、
上司の意見に部下は
萎縮したり諦めたりして
個性を出せないので、
ますます社内引きこもりとなってしまいます。

トップ・ダウンの文化では、
上司はそれでも部下を牽引しなければならないので、
「人望を身につけよ」
と言う話になるのです。

ことごとく、
昭和のトップ・ダウンの文化の異物に他なりません。

■しかし、
いまや
「理不尽なことがあっても
我慢して働いていれば充実した待遇に恵まれる」
高度経済成長期ではありません。

現場のストレスが
待遇面で解消される時代ではなくなったのです。

そのため、
その一方で多くの組織の経営者は、
人間関係を良くする方法がないことに悩み、
メンタル疾患、
ハラスメント、
離職を防止したいと言っているのです。

しかし、
経営者・管理職が、
冒頭のように
管理、教育、指導したい気持ちでいっぱいでは、
現場は疲弊するばかりで、
ますますスタッフの目の輝きが失われるだけでしょう。

みなさん自身も、
自分が頼んでもいないのに
管理され、教育され、指導される状況を思い浮かべれば、
スタッフの目の輝きが失われてゆくことが
想像に易いでしょう。

こうした昭和の時代のトップ・ダウン体質の中にいては、
組織が病んでゆくのを
ますます止められないことが目に見えています。

■一方、
ボトム・アップの文化の組織では、
ことごとくその逆となります。

ボトム・アップ体質は、
密室に逃げ込むことを許しません。

ボトム・アップがないチームのリーダーは、
存在しないのと同じです。

ただし、その代わり、
ボトム・アップの文化では、
どんな価値観でも承認します。

なんでも話せる環境を整えて、
自発的に上がった意見には
感謝、敬意、賞賛、驚き、労い、喜びもって
承認するのがリーダーの役割となります。

こうした現場では、
部下は上司の死角に逃げ込む必要がなく、
むしろオープンにした方が快適な組織となります。

このような、いかなる自己開示も承認される環境は、
まさに
「心理的安全性」
の確保された環境であり、
人間がもっとも自然体でいられる居心地の良い環境だからです。

部下は、自分の長所短所を
自分で見極め、
必要な学びはみずから手に入れにゆけばよいのです。

なので、
組織は部下それぞれの言動を応援するだけで良いのです。

現場から頼まれてもいない研修を開いて
「参加者のモチベーションが低い」
とか
「行動につながっていない」
と嘆く必要もありません。

上司は、
部下たちの意欲を応援し、
手助けするだけなので
結果的に部下から尊ばれる存在になります。

もとより、人望は必要ありません。

■ボトム・アップの文化とは、
みんなが承認し合う文化なので、
人間関係に悩む理由もなければ、
メンタル疾患、
ハラスメント、
離職問題が発生する原因がありません。

これからは、経営者・管理職が、
管理、教育、指導を徹底してやめ、
部下の心を放流してやることです。

そうすれば、
あっという間にスタッフの目に輝きが戻るでしょう。

それは、
みなさん自身も、
「お前のやりたいようにやってみろ!応援するよ!」
と承認されることを思い浮かべれば、
想像に易いでしょう。

もし、
これからの時代に向けて、
組織が心身ともに健全にスタッフとともに成長し、
最大限のパフォーマンスを発揮してゆく組織を
創りたいと思うならば、
ボトム・アップの文化に切り替えられるか?が、
生命線であることが目に見えることでしょう。

それには、
トップ・ダウンの文化が染み付いた従来の常識を
自分自身や自分の組織から
徹底して取り除くことです。

時々研修で学んだのでは、
文化は書き換えられません。

毎日リマインドされることが不可欠です。

そのための最もシンプルな方法が
1日5分で、
スタッフが互いにリマインドし合う
コミュニケーション・モデル
『HIT-Bit®︎』
です。

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