研修で組織は変わらない – 組織づくりの全体像を知れ!

研修で組織は変わらない – 組織づくりの全体像を知れ!

■「組織を変えるには研修だ」
という発想が、まだまだ主流かもしれません。

しかし、
「研修の効果が持続しない」
「研修で組織は変わらない」
といった悩みの声もしばしば聞きます。

こうしてみると、
「研修には、組織を変える効果はない」
と考えた方が良いでしょう。

なぜか?

実は、
研修とは、組織づくりの、ごく一部に過ぎないからです。

場合によっては、
研修をしない方が良い場合すらあるのです。

しかし、
多くの研修会社やコンサルタントは、
「研修をしてお金をもらえる」
「研修後に責任を持たなくて良い」
という理由で、
こうした真実を打ち明けることはありません。

もし、
研修会社やコンサルタントに騙されず、
本当に効果のある組織づくりをしようと思うならば、
組織づくりの全体像を明確にしておかなければなりません。

では、組織づくりの全体像とはどんなものか?

■まず、最も重要なのは、最上段にあるように、
「組織づくりとは、
ゴール像(目的)の明確化に始まり、
ゴール像(目的)の永続化に終わる」
ということです。

およそ仕事とは、
「こうして欲しい」とゴールを示し、
「できたかどうか」と結果を確認するものだからです。

そのため、
研修などの施策を行なう場合には、
実はその前に
周到な「事前準備」をすることが、その成否を分けます。

その最初は、
⑴トップによる、ゴールの明確化です。

ゴールだけは、トップの揺るがない毅然とした信念が必要です。

なぜなら、人はみずから無理をして成長しようとは思わないからです。

次に、
⑵そのゴールを、
首脳陣で相談して理解を深めつつ、
伝えやすくわかりやすい言葉にします。

ただし、それをそのまま、全体に伝えても、
当事者意識を高めることはできません。

⑶そこで、
リーダーを対象に課題共有をします。

この課題を、リーダーの方々が
鋭い痛み(Sting)として捉えれば、
必ずその後の行動につながります。

なので、この「課題共有」が
この組織づくりの全体像の中で、最も重要となります。

リーダーの方々が痛みを感じれば、
次は、
⑷では、どうするか?と手段を模索し始めます。

そこで、勉強会や説明会をすることで、
リーダーは、
「では、どんどん進めよう」
というモードになります。

■ここで、
「それを首尾よく進めるために学ぶ研修をしよう」
とすれば、
参加者は、明確な目的意識のもとで学ぶので、
最良の学びの場となるのです。

ただし、学んだ後、
それを行動に移すこと、
さらには、
それを継続して、
どこまでも向上し続けようとするには、
それなりの仕組みが必要となります。

大抵の従業員は、
トップほどの執念を持っているわけではないからです。

そのため、
研修を意味のあるものにするためには、
「事後設計」
も必要となるのです。

■「研修後に誰が何を行ない続けるのか?」
を明確にしておかなければ、
研修が終わった時点で、
「やれやれ」
と、社員の意識が止まってしまいます。

そこで、
⑸研修後には、
誰が、いつ、どのような行動をするのか?
を、事前に、明確に決めておく必要があり、

それは研修の中で、
当然のこととして伝えられなければなりません。

くれぐれも、研修後に、
思い出したように言い出しても意味がないことを
覚えておくことです。

しかも、その行動は、
⑹現場での習慣にしてゆかなければなりません。

そのため、シンプルで負担が少ない行動であることが
必要となります。

さらに、
⑺その行動がどのように行なわれているか?を
必ず検証することが不可欠です。

そして、
行動しては検証する習慣を
サイクルにして、ひたすら続けることです。

これによって、従業員が
「行動すること」
に馴れてきます。

とはいえ、多忙な現場では、
せっかくの習慣も、もろくも風化しやすいのが実情です。

そこで、
そもそも、
「この組織がなんとしても変わるのだ」
という、
トップの揺るぎない執念から始まったことに鑑みれば、
なんとしても永続する仕掛けを設けるべきでしょう。

それが、
⑻「人事評価との連動」
です。

さまざまな成果や取組の情報をすべて蓄積しておけば、
それを客観的な評価の材料とすることができます。

そして、毎年度、
「人事評価の対象となる」
ということが明らかになれば、

すべての従業員が、
「この行動と検証は、この組織にいる以上、
至上命題として取り組まなければならない」
と理解するので、
二度と風化することはありません。

■研修とは、
組織づくりのごく一部に過ぎないということが
明らかになったのではないでしょうか?

[1] そもそも、
研修というIN-Putで組織を変える発想が間違いです。

できるかぎりOUT-Putをさせる取組を選ばなければ、
従業員の魂が身を乗り出すことがないので、
組織が変わることもありません。

また、
[2] 研修という手段にばかり注目していては、
「本来はどこを目指したかったのか?」
という目的を見失っているので、
本当に意味のある取組にはつながりません。

「組織づくりとは、
ゴール像(目的)の明確化に始まり、
ゴール像(目的)の永続化に終わる」
ということです。

さらに、
[3] 組織づくりとは、
研修のような一時的なSpecial Eventでは、
実現できません。

持続的・日常的・波状的なDaily Remindでなければ、
人の行動習慣を変えることはできません。

思考習慣を変えるならば、なおさらです。

「いかに、研修だけを見ていては、
組織づくりを実現できないか」
を、感じ取ることができたのではないでしょうか。

■もしみなさんが、研修を検討されているならば、
その研修が本当に意味のあるもとなるよう、
組織づくりの全体像をしっかりと明らかにしてくれるコンサルタントと
相談されることをお勧めします。

さもなければ、
数時間の研修をするものの
組織が変わらないにも関わらず、
研修会社やコンサルタントに多額の費用を支払うことに
なってしまうからです。