■病院界にも、
いよいよ待った無しに組織改革が必要な時機が
訪れたことを、
みなさんの多くが感じていることでしょう。
とりわけ、
昨年2019年の9月26日には、
再編を検討するべき424の自治体病院・公的病院の
リストが突如公表されたことは、
その状況を示していると考えられます。
もはや、猶予はありません。
どんな改革が必要か?といえば、職員一人ひとりが、
みずから気づき考え話し合い行動する、
「自律進化組織」
となること、
それぞれが今、病院と地域のためにできる限りのことをする
全員参加の総力経営であることは、
改めて言うまでもないでしょう。
■ところが、
しきりに多くの病院の上層部から聞かれるのは、
「医者も看護師も資格職だから、経営には関心を持ってくれない」
「病院が潰れても、自分たちは他にいくらでも働き口があるからだ」
「協力してくれない」
「無理を言ったら辞めてしまう」
……といった言葉です。
たしかに、
そういう資格職の方々もいるでしょう。
世の中全体が医師不足であることに便乗して、
医師が
「救急を見てくれない」
「難しい患者は受け付けない」
という例も、実際に見受けられます。
そのため、
職場に失望した看護師の方々が、
モチベーションを損なったり、離職したりして、
病院が
地域からの信頼を失っています。
このまま病院では、
当然ながら、再編の波に飲まれて
存在そのものが危ぶまれるのも当然でしょう。
しかし、
「医師や看護師がわがままだから仕方ない」
と、黙って再編に応じて良いのでしょうか?
いつまで遠慮しているのでしょうか?
■これからの病院は、いよいよ
「ダメなものはダメ」
「必要なものは必要」
と言い切れなければなりません。
さもなければ、
そんな理不尽な、報われない職場は、
他の職員から愛想をつかされてしまうことでしょう。
もはや
「医師は動いてくれない」
「資格職は気難しい」
といって諦めていられる時代ではないのです。
これ以上、緩やかににやっていて、
病院を維持・存続できる時代はもう終わっているのです。
病院経営の軒先に、火がついていることに
気づかなければなりません。
■そもそも、遠慮している方々は、
一部に非協力的な医師・看護師・職員がいることで、
全部の医師・看護師・職員が非協力的だと思い込んで
勝手に萎縮しているだけではないでしょうか?
▶︎第一、そのように萎縮していることが
「医師や看護師に失礼」
だということに気づかなければなりません。
話してみれば、
同じ問題意識を持っている医師・看護師・職員も
たくさんいるはずです。
医師・看護師・職員のすべてがみな、
「病院がつぶれようと、改革したくない」
と考えているわけではありません。
資格職にも、非資格職にも、
「変えてゆこう」
と改革に賛同的な人もいれば、そうでない人もいる、
それだけのことです。
▶︎また、
組織改革の手を打たなければ、
「遅かれ早かれ潰れてしまう」
ことが事実なのです。
この客観的事実を直視すれば、
協力してもらえようともらえまいと、
できる限りのことをした方が良いのではないでしょうか。
これまでV字回復を遂げてきた病院の多くも、
やはり、
危機感を共有した職員全員が
できる限りのことをしたからこそ、
立て直しに成功してきたことを見ればわかるでしょう。
▶︎なによりも、
「情報を出さずに悩んでいても、危機感が伝わるわけがない」
のです。
どんな組織であれ、相手が誰であれ、
経営陣・管理職が情報を伝えていなければ、
他の医師・看護師・職員が
危機感を抱くことはできないのです。
「わたしがどう思っているかではなく、
これは客観的な事実なのだ」
と、情報を開示すればよいはずです。
勝手に萎縮して、情報も開示していなければ、
やがて経営が傾いた時に、
「なぜ、これまで開示してこなかったのだ?」
とかえって責められるだけです。
組織運営においては、
耳の痛い情報であれ、
冷静に淡々と共有しておくことが大切です。
■もう、
医者も看護師も資格職だから、経営には関心を持ってくれない」
「病院が潰れても、自分たちは他にいくらでも働き口があるからだ」
「協力してくれない」
「無理を言ったら辞めてしまう」
といった声に対して、
「それ、もう聞き飽きた!このままじゃ潰れるよ」
と、
みなさんが
痺れを切らさなければならない時機です。
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p>せめて、民間の企業が当り前にやっている経営努力を
しましょう。
▶︎たとえば、
人事評価制度が入っていないなどということは、
企業からすれば、考えられません。
もし、社長から経営を任された幹部職員が、
社員の評価制度を設けていなければ、
社長から
「職務放棄だからクビ」
とされても、文句は言えない。
それが世間の感覚です。
▶︎一刻も早く、
みなさんの病院だけでも、
公正公平な人事評価制度を導入して、
「ここは、頑張った人が報われる病院だ」
と思ってもらえる病院をつくることです。
そうすれば、
いまいる職員も、働き続けてくれるでしょう。
また、何よりも、
そうでない病院から医師も看護師も集まるはずです。
さらに、頑張っただけ報われるならば、
「もっと頑張ろう!」
という前向きな職員が、
ますます力を発揮してくれるはずです。
こうして、
全員参加の総力経営を実現した病院では
人が集まり生産性が向上する一方、
そうでない病院からは
人が去り、残る職員の生産性も下がります。
つまり、
これからは、急速に二極化してゆくことになります。
勇気を持って、組織改革に乗り出し、
生き残れる活性化した病院になるのか?
ますます苦しい病院になるのか?
いまなら、選択することができます。
■なお、現場職員の間から、
このような
「組織改革をしよう」
といった話が湧き上がることはありません。
なので、
経営陣が決断するか、
もしくは、毅然とした信念のある一部の幹部職員が
集まって改革に乗り出すしかありません。
みなさんの病院では、
生き残るために抜本的な組織改革に着手するのか?
従来の延長上で茹でガエルになるのか?
「いま選択してください」
……と、お勧めします。