■みなさんの現場で、部下職員に意見を求めれば、
まったく挙がらないということはないでしょう。
恐る恐る、手を上げてくれるはずです。
「上司がどう言うか?」
「同僚がどんな顔をするか?」
恐いので、おっかなびっくりで、
スッと挙手できることはないにしても、
肩ほどの高さにまでは手を挙げてくれる部下が何人かはいるのではないでしょうか?
あるいは、
「みんなの前では恐い」
という心理が働いているため、
個別に聞いて回れば、
「実は、こう考えていました」
と打ち明けてくれることもあるでしょう。
実は、部下職員は、それぞれいろいろな考えを持ってくれています。
みなさんが熱弁をふるっても、
「そんなところに感動したの?」
と驚くような受け取り方をする部下すらいる通りで、
まさに十人十色ですから、
さまざまな意見を引き出すことが可能です。
にもかかわらず、
なぜ、多くの組織の管理職は
「ボトムアップの組織体質にならない!」
と嘆いているのでしょうか?
■それは、ズバリ、
「管理職が発言してしまうから」
です。
たしかに、
「管理職の発言は重いので、部下が発言できなくなってしまう」
と説明する人もいます。
それも間違いではありません。
しかし、実は、管理職が発言することによる傷は、
「部下職員が、本当は発言したい自分の意見を持っているにも関わらず、発言することを我慢してしまう」
というほど、浅いものではありません。
実は、もっと大きな損失を生み出しているのは、
「上司が発言したなら、上司の責任になる。
その瞬間、自分が発言して自分が責任を負わなくても済む。
部下はいとも簡単に、みずから責任を負うことを放棄し、
楽な方を選ぶ」
ということが起きている、ということです。
上司が発言するということは、部下職員にとっては、
「自分から発言して責任を負わなくていいよ。
ぜんぶ上司が責任を負うから、
きみたちは、言われた通りにやりなさい。
その方が楽でしょう?」
というメッセージが届いていることなのです。
こうして部下職員を
「責任を負わず発言をしない」職員に育てているという、
恐ろしいことが起きているのです。
そして、そんな部下職員を育てているのは、
発言している上司にほかならないのです。
部下職員に、
「手を上げたいが悔しいながら発言できなかった」
と前向きな怒りがあるなら、
まだ今後につながるという救いがありますが、
逆に、
「手を上げない方が楽で助かる。
そちらの責任でやってもらった方が楽。
これからもその調子でよろしく」
という学習をさせてしまっているのは、
実は上司本人だ、ということです。
こんなに愚かなことはないでしょう。
しかし、みなさんの現場や多くの組織に、
この構図が、どれだけあることでしょうか。
というより、
「うちの役員会議は、まさにこれだ」
「毎月の管理職会議など、誰も手を上げない。まさにこの状況だ」
「いま参加している委員会も・・・」
「自分がリーダーをしているこのチームも」
と、挙げれば、ほぼすべてではないでしょうか。
■さて、この構造、
みなさんもテレビでよく見かけていることと思います。
こんな場面です。
「これ、誰がやるんだ?
誰もやらないのか?!」
とみんなに呼びかける者。
しばらくは誰も何も言いだしませんが、
繰り返し催促されると、やがて
「じゃ、じゃあ、オレが」
と、一人が恐る恐る手をあげ、
「じゃ、オレも・・・」
と、もう一人がゆっくりと手を上げ、
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「ぼくも、わたしも・・・」
と、みんなが手を上げたころ、
けしかけた本人が、みんなの最後に
「それなら、わたしも」
と手を上げたところで、
その他の全員が一斉に手を下ろして、
「では、どうぞ!」
と、言いだした本人にその役を譲る、
・・・・・・というあの場面です。
そう、
そんなダチョウ倶楽部のコントのようなことが、
今日も多くの職場で行われているのです。
部下たちが恐る恐る手を上げているのに、
上司がみずから手を上げて、
部下たちからはその責任を喜んで譲られているという場面が、
みなさんの現場でも
珍しくないことはお判りでしょう。
このように、
上司がみずから責任を負うことを買って出て、
部下たちは喜んで依存しているのですから、
ボトムアップ型の組織になるはずがないことは、
むしろ当然の帰結だということがお判りになったと思います。
みなさんの現場では、
このダチョウ倶楽部のコントを、
いったいいつまで、やり続けますか?
そろそろ、本気で
職員自身が当事者意識を持ち、
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