■患者サービス研究所では、
約6ヶ月間の組織改革プログラム
「HIT-Bitプログラム」
を提供しています。
このHIT-Bitプログラムであれ、
その他の様々な組織改善プログラムであれ、
導入するにあたっては、
病院・組織側のさまざまな状況を踏まえて進める必要があります。
具体的には、
組織の膠着度によって、
およそ4つのステージに分けることができ、
それに応じた進め方を講じることになると考えられます。
■4つのステージとは以下の通りです。
ステージ①
トップが号令をかければ、おおむね前向きにプログラムが始まると思われる病院
ステージ②
トップの号令で、表向きはプログラムが始まるが、密かに形骸化してしまう病院
ステージ③
トップが号令をかけると一部に反発が起こり、始まる部署と始まらない部署が生まれる病院
ステージ④
そもそもトップが号令をかける気になっていない病院
■ステージ①のような組織であれば、
すでにさまざまな施策を積極的に取り入れており、
多くの成果を上げていることでしょう。
反対に、ステージ④のような組織は、
「どうやって新たな施策を導入するか」
という悩みを持つことはありません。
したがって、問題は
ステージ②、ステージ③にある組織が、
充分な成果を出せるような前提のもとで
プログラムを導入できるようにすることが、
組織改革の大きなテーマであると言えるでしょう。
どんな組織でも、一部には膠着している部署があるもので、
プログラムを導入した際に、
軌道に乗らない部署が全くない、ということはありません。
また、プログラム導入にあたって、
反発する職員が一切ない、ということも稀です。
つまり、多くの場合において、
潜在的・顕在的を問わず、
新しい取組にネガティブな部署があることは珍しいことではなく、
そうした部署も巻き込んで組織全体が前進するように運ぶことが、
必要となる、ということです。
■ただし、この課題や解決の本質は、たった一つで、
つまるところ、
プログラム開始を宣言する前の段階で、
「どのようにして、同じ問題意識を持ってもらうか」
に尽きます。
というのも、
対象者を集めた正式な会議で議題にあげて、
「このような問題がある。
そこで、プログラムを導入したいけれど、どう思うか?」
と諮ってしまっては、
まだ問題意識を共有していない人からの反対意見を誘発するだけになってしまい、
否決されてしまうからです。
ということは、重要なのは
正式な会議で議題にあげる前の段階であり、
事前に、
いかにネガティブな意見を持つ方々に理解を取り付けてゆくか、
が重要になるということです。
■このグラウンドワーク(基礎工事)に当たる施策が丁寧であるほど、
プログラムが開始した時には、円滑で効果的に進みます。
優れた展開の場合には、
グラウンドワークをしているうちに、
問題意識が充分に高まり、
みずからプログラムの導入を希望するようになる、ということすらあります。
このように、グラウンドワークを充分にすれば、
多くの施策が円滑に進むだけでなく、
大きな効果を上げることにつながります。
そして、このことは、
患者サービス研究所のプログラムに限ったことではありません。
あらゆる新しい施策を導入する場合に、同じことが言えるでしょう。
スポットで行なう研修ひとつをとってみても、
受講者が気持ちを向けて参加するよう事前準備が整って行なうのと、
日時やタイトルだけを告知して集めて行なうのとでは、
効果がまったく異なります。
後者の場合には、
「こんな研修が必要だったのか?」
と完全否定するような感想が上がることさえあります。
それは、わたしたちが何の事前情報もなしにただ集められた受講者であったならば、と
想像してみれば、当然の帰結だと思えることでしょう。
したがって、
会議であれ、ミーティングであれ、強化月間であれ、TQC活動であれ、
さらには、目標管理制度であれ、懇親会であれ、
およそすべての新しい施策を実施する場合には、
その意義・必要性が充分に理解されるように
グラウンドワークをしっかりとした上で、開かれることをお勧めします。
グラウンドワークが成功して、問題意識が充分に刺さると、
対象者は、解決策を求め出し、
みずから積極的に、プログラムを導入しようと動き出すようになります。
そんな状況でスタートしたプログラムが、効果を上げないはずはありません。
驚くほどの前進を遂げて、
経営者・上層部が予期しなかった展開が生まれることも珍しくありません。
グラウンドワークの段階で、
自律進化組織づくりが始まってしまう、とも言えます。
■もし、外部業者を使って、
研修や調査、組織改革などの施策を実施する場合には、
このグラウンドワークを提案してくれるコンサルタントを選ぶことをお勧めします。
むしろ、グラウンドワークに関心を持たないコンサルタントは、
受託する施策が充分な効果を上げることに真剣ではない、ということでしょう。
グラウンドワークの大切さを充分に熟知し、
最も効果的と思われるグラウンドワークを設計し、
提案してくれるコンサルタントと、
・新しい施策の推進者のうちの誰が、
・いつ、
・誰に(どんな順番で)、
・どのような建前で
・どのような形で接触し、
・どのようなアングルから問題意識を喚起するか、
……について、充分に相談されることをお勧めします。