■最近、「ぺこぱ」という2人組の芸人が人気を博していることは、
ご存知でしょうか?
(これが、その2人です)
彼らが、なぜ、好かれるのか?
その分析は、後半の結論で述べたいと思います。
■ところで、
みなさんは、親しい人たちとカラオケに行くことはありますか?
(カラオケに行くのは、だいたい親しい人とですね…笑)
では、頼んでもいないのに、
歌った後に、
誰かに
「はい、76点ですね」
と採点されたら、どう感じるでしょうか?
「何が足りなくて、マイナス24点なんだ?」
とフラストレーションを感じるのではないでしょうか?
そして、歌うたびに、
勝手に採点されたら?
毎回、フラストレーションを感じることでしょう。
このように、
人は、誰でも、
他者の価値観のものさしで測られると苦しくなるものなのです。
他人の眼鏡に適うために生きているわけではないからです。
■というと、
「いや、好んでスポーツの大会に出て、
順位づけられようとする人がいるではないか」
という思う人もいるでしょう。
それは、他者のものさしで測られることに
自分なりの価値を感じていて、
みずからコミットしている時には、問題ありません。
むしろ、
測ってあげて順位をつけてあげなければ、
フラストレーションを感じさせてしまうことになります。
したがって、
自分が望む時には他者のものさしで測ってもらえて、
自分が望まない時には他者のものさしで測られない、
・・・そんな環境だったら、ストレスがないでしょう。
■ここからが本題です。
では、職場はどうでしょうか?
「仕事には責任を持つべき」
なので、
つねに結果を見られていて、
それが良い出来だったかそうでなかったか、
組織や上司のものさしに照らして測られているのが、職場でしょう。
もちろん、良い成果を出せた時には、
ちゃんと測られて、褒められたいものですが、
それほど測って欲しいと思っていない時間の方が多いのではないでしょうか?
プロ野球の試合でも、2回に1回は負け、
優秀な3割打者でも、残りの7割は不発で、
結果が出ず、あまりあれこれ言われたくない場面の方が多いのが実情でしょう。
しかし、職場では、
好むと好まざるとにかかわらず、
つねに働きぶりや仕事の成果を測られています。
昼休みでさえ、上司の目がある場合もあります。
心が、
「息がつまるよ!」
と言っているのではないでしょうか?
■このように、
「他者のものさしにあてはめて、
良い・悪いを判定すること」
が、
「評価」
です。
悪いと判定されたときのことを
「マイナス評価」
と呼ぶこと、しかりです。
頼んでもいないのに評価されることは
窮屈極まりないことですが、
我が国の、ほとんどの職場では、つねに
「評価」
されています。
そして、つねに評価されていると、
これまで積み上げてきたプラスの評価を損ないたくないあまり、
チャレンジする勇気を持てなくなる傾向があります。
まして、周囲を巻き込んで
ダイナミックな取組にトライすることなど、
怖くてできません。
もしうまくいかなかった時、
巻き込んだ同僚にまでマイナス評価が及んでしまえば、
その責任はとりようがないからです。
日本で、イノベーションが生まれにくいのは、
こういう構造があるからです。
一方、
他者のものさしを突きつけることなく、
「無条件に理解し応援すること」
を
「承認」
と言います。
結果が出ても、出なくても、
やる気があっても、なくても、
「誰にだってそういう波がある。
それが人間だ」
という前提で、
「どんな時も、君の味方だからね」
と無条件に理解し応援する。
そんな承認してくれる人が身近にいたら、
どんなに心が明るくなり、
元気と勇気を得られることでしょうか?
そして、
「決して見捨てられない」
と感じられるので、
大胆なチャレンジにも挑戦できるのです。
イノベーションが生まれる組織にしたければ、
「承認してくれる組織」
を創ることが不可欠です。
■しかし、日本は永年、
「評価だけの文化」
を続けてきたので、
「仕事はつらいもの」
「息苦しくても認められたいなら頑張れ」
というムードがいまだに蔓延しています。
これでは、職員が元気になることも、
職場が活性化することも、
イノベーティブな取組が始まることもありません。
まず、経営者や管理職が、
「まず承認する」
という思考習慣、
そして、言動習慣を身につけることが必要です。
そこで、
「つい評価しがちだが、
がんばって承認してみる」
つまり、
「そうじゃないだろう!と言いたいが、
それも良いかもね、と言ってみる」
ということを身に付けたいならば、
冒頭に挙げたお笑い芸人の「ぺこぱ」を
参考にしてみることをお勧めします。
YouTubeにもたくさんアップされています。
こんな、
「承認」
に満ちた職場だったら、
みなさんも現場の職員の方々も、
さまざまなチャレンジをしてみたくなるのではないでしょうか?
組織の活性化とは、
待遇や施設設備を変えてあげることではありません。
心が明るくなり、元気と勇気を得られる関係性を
実現することに他ならないのです。