エンパワーメントよりも現場を活性化するには?

エンパワーメントよりも現場を活性化するには?

■自走組織をつくるためには、

あるいは、

ボトムアップ型の組織にするためには、

「エンパワーメントが大事」

と言われて久しいのですが、

どうもしっくりこないと感じている方も少なくないのではないでしょうか。

 

というのも、

「パワー」は「権限」であり、

「エンパワーメント」は

「権限移譲」

と訳されているからかもしれません。

 

つまり、

「本来は上層部や上司が持っている権限を、

部下に対して、

人や物やお金を使って、君がやっていいよ、と渡す」

という構造です。

 

この、

「権限を君に授けよう」

という構造自体に、

「上下の関係」

がありませんか?

というのが、みなさんの違和感の原因の一つではないでしょうか。

 

そして、もう一つ、

自走組織・ボトムアップ型組織を目指すにあたっての

決定的な致命傷があります。

 

それは、

「移譲される権限だけが前提とされている」

ということです。

 

言い換えれば、

経営者・上層部・誰もが思いもかけなかった事柄については、

それを進める権限は、

誰からも移譲してもらえないため、

現場から生まれようがないのです。

 

そうなると、

トップダウンの域を出ないということです。

 

つまり

「エンパワーメント」

という言葉が使われている時点で、現場職員は、

「権限は降りてくるもの」

「権限を与えてもらったら頑張る」

という受け身の体質になってしまう恐れがあるのです。

 

権限を移譲されてもいないことは

してはならない、

とさえ考えてしまうのではないでしょうか。

 

■反対に、

本当にボトムアップが当り前の組織であれば、

誰かが権限を移譲しようとしまいと、

そこに権限があろうとなかろうと、

 

そして誰も思いもよらなかったことについても、

現場職員の一人が

「この指と〜まれ!」

と仲間を集め、

敷かれていなかったレールをみずから敷いて、

どんどん開拓してゆくのです。

 

そして、その職員もまた、

周囲を権限で動かすことはせず、

賛同してくれる仲間と協力し応援しあうという関係性を築くことになります。

 

もし、そんな

「この指と〜まれ!」

が当り前の組織になって欲しいならば、

「権限」という言葉も、

「移譲」という言葉も要りません。

 

「エンパワーメント」

という言葉もニュアンスの誤解を招くので、

やめたほうが良いでしょう。

 

その代わりに、

「仲間を巻き込む在り方」

ということを

「ジョイナス・シップ ( Join Us Ship ) 」

といった言葉でも使ったほうが良いのではないでしょうか。

 

「いっしょにやろうよ!」

という意味です。

 

■もし

「当院では、エンパワーメントを進めています」

と言われると、

権限と責任が降ろされてくるイメージを抱く可能性がありますが、

 

「当院では、ジョイナス・シップを大切にしています」

と言われた方が、

「いっしょにやろうよ!」

という言葉が現場に飛び交っている様子が想像され、

楽しそうで、面白そうに感じられるのではないでしょうか。

 

そして、

何より

「既存の権限を超えることを期待されているのだ!」

という印象を持つことができるのではないでしょうか。

 

そうなってこそ、

「既存の権限を超え、

これまで経営者や上層部が予期しなかった気づきや取組が

現場から飛び出す」

徹底したボトムアップ型の組織が実現するでしょう。

 

指示されたことをボトムアップでする組織ではなく、

指示してもいないことまでボトムアップで始まる

本当のボトムアップ型の組織を創りたいならば、

「Join Us !」

「いっしょにやろうよ!」

が当り前の組織体質を創ることです。