■組織運営の一つに、政治があります。
そして、それには2種類のスタイルがあります。
1つは、「密室政治」。
ある意味で密教化するので、
「カルトクラシー」
とでも名付けられるでしょうか。
すなわち、
外部の情報を遮断して、
独善、自己美化によって、統治する方法です。
情報統制によって市民の武器を奪い(刀狩り)、
資産管理によって市民から搾取する(検地)という
特徴があります。
思想教育に注力したり、
大事故があっても捜査を非公開にしたり、
そもそも調査・検証もしない、ということもあります。
(速やかに廃棄します、調査もしません、とか)
ルールがあると自縄自縛してしまうので、
ルールはなるべく無くし、
(急に、反社会勢力の定義がわかりません、と言い出したりしたのも、ルール破壊ですね)
緊急事態条項のような、集権的仕組みを好むので、
いわゆる
「人の支配」
とに近づいてゆく性質があります。
また、市民の不満をそらすためには、
外部に仮想敵をつくると都合が良いので、
しばしば民族主義、選民思想を活用するのも
典型的な手法です。
右派左派とか宗教とは関係なく、
政権が独裁を目指す場合、必ず
「カルトクラシー」
となる傾向があります。
こうしてみると、
今の日本もカルトクラシーへと大きく舵を切っていることが
わかります。
■そして、もう1つは、
「透明政治」です。
「クリアクラシー」
とでも名付けられるでしょうか。
情報公開を原則として、
思想も歴史観も、外部からの意見もすべて聞き、
他国からどう見られているか?
さまざまに受けている評価を
自分たちはどう見ているか?
という自己評価と付き合わせて、
比較を通じて、みずからを客観視する方法です。
過去の歴史や伝統を美化して独善に陥る必要がないので、
民族主義や選民思想にとらわれず、
現在の意義と将来の展望について協議することになります。
情報統制ではなく情報公開、
資産管理ではなく技能や思想の平準化(無格差化)を
旨とするので、
民主化、責任の明確化、ルール前提の「法の支配」との
親和性が高くなります。
人間関係も国家関係も同じで、
独善に陥ると対話が成立しなくなるので、
独善を徹底して排するようになる結果、
一定の価値観のもとでの思想教育ではなく、
多角的・多面的に考察する
価値観比較・思想比較がなにより重視されます。
もし、大事故があった場合にも、
官民双方が調査に乗り出し、競って調査・検証する、
といった多角的介入を美徳とすることとなります。
■さて、ここからが本題の、組織論となります。
たとえば、みなさんの現場にも、
上記のように
「カルトクラシー(密室政治)」
が敷かれている病棟や部署などがあるのではないでしょうか?
そんな病棟・部署では、以下のようなことが
散見されることになるでしょう。
▶︎中途入職者には
「前の病院のやり方は忘れて、ここのやり方でやって」
▶︎研究会や学会への参加や発表には関心を持たず、
鎖国状態が長いので、
衛生管理までが時代遅れになっていて、
新しく入ってきた職員が驚いている。
▶︎それでも上層部からは、よく働いていると思われたいので、
他部署からの依頼や新しい取組には、必ず一度
「忙しいので無理です」
と断ってみせて、つい、
「頑張っています」
アピールをする傾向があります。
▶︎ベテランが幅を利かせているので、
ローカル・ルールがたくさんあり、
本人たちにはとても居心地が良い職場となっています。
▶︎クレームやミスは、大きなものほど上がってこないのは、
報告しないからです。
▶︎ヒヤリ・ハットがあまり上がらず、
上がってきてもパターンが同じなのも、
現場だけで済ませているからです。
▶︎部下の不満が聞こえてこないのに退職が後を絶ちませんが、
辞めるのは、もちろん、ベテランではなく、
新しく入った職員です。
▶︎職員の責任分担が不明確だったり、
休みの取り方が不公平になっています。
▶︎名指しのクレームがあるが指導しても一向に治りません。
▶︎その職員たちは、異動を好みません。
▶︎また、リーダーが、姿が見えないことが多々ある、
という声が聞こえてくることがあります。
……といったところでしょう。
■このように考えてみれば、
どんな組織においても、
「カルトクラシー(密室政治)」
を徹底して排し、
「クリアクラシー(透明政治)」
を敷かなければならないことは明らかでしょう。
つまり、
なにごとも第三者からも見えるようにする(クリアにする)ことです。
具体的には、
部内の情報をどんどん公開して、
できていないことは周囲を積極的に巻き込んで
スピーディに解決してゆくようにします。
もし見えていないことがあれば、
職員を遣わして、どんどん見にゆかせます。
会議もできるかぎり公開にして、
参加したい職員は、いつでも参加できるようにします。
ミスやクレームがあれば、
その構造を明らかにしますが、
個人の責任を問うのではなく、
みんなの責任において、
再発しない方法をつくることとします。
■しかし、風紀委員がするように、
個々の問題を指摘して回って是正しようとしても、
おおもとの組織体質が治ることはありません。
たとえ躾のような教育や研修をしても、
「それが守られているか?実践されているか?」
を、検証し介入できなければ、
現場は、結局は、無法地帯のままです。
では、どうするか?
わた
くしども患者サービス研究所は、
「どれだけみずから進化しているか?」
を評価指標にすること、
つまり、自律進化が当り前の組織にすることをお勧めしています。
自律進化が当り前になるということは、
つねに変化しなければならず、
そのためには常にみんなが話し合わなければならず、
つねに生産性を上げなければなりません。
むしろ、自律進化を妨げるものがあれば、
それも自律進化によって取り除いて行けるくらいの
進化力を発揮してもらいたいものです。
患者サービス研究所が提唱する
「HIT-Bit」
は、まさに自律進化組織づくりのための最もシンプルな方法です。
HIT-Bitを行なうと、
現場で、
どれだけ多くの新たな問題提起がなされているか、
どれだけ多くの新たな改善提案が上がっているか、
どれだけ多くの新たな取組が始まっているか、
どれだけ多くのこれまでにない成果が上がっているか、
……が、如実に数字になって現れます。
「カルトクラシー(密室政治)」
に陥り、
蛸壺の中に収まっていると、
その、まったく進化が生まれていない実態が、
如実に数字になって現れてしまうので、
誤魔化しようがありません。
むしろ、
どれだけ自分たちがこれまでにない動きをしているかを
アピールしなければなりませんから、
「クリアクラシー(透明政治)」
にならざるを得ないのです。
医療現場では、職員の方々は、
日々、眼前の患者さんから感謝されるので、
「充分貢献している」
と感じられる傾向があるため、
「病院はこのままではよくない!」
といった危機感を感じにくく、
「昨日と同じように今日もつつがなく終えられれば、
それ以上、何が問題なのか?」
という思考に陥りやすいものです。
しかし今は、
どんどん進化できる柔軟性が必要になってきていることは、
これを読んでくださっているみなさんなら
改めて言うまでもなくご存知のことでしょう。
みなさんの現場においても、
外からの情報をどんどん入れて、
自分の施設や自分自身の立ち位置を客観視することによって、
「どんどん変わるのが当り前」
という文化を醸成した方が良いのではないでしょうか。
そのための最もシンプルな方法が、
「HIT-Bit」
です。
「HIT-Bit」
については、1Dayセミナーを行なっています。
本当に効果が永続する組織づくりを実現したい方は、
ぜひご参加ください。
◆ 2020年2月1日(土)13:30〜16:30【東京】
◆ 2020年3月1日(日)13:30〜16:30【東京】
◆ 2020年3月29日(日)13:30〜16:30【東京】
◆参加費:1人当り4,000円
■自律進化組織が6ヶ月で生まれる方程式「HIT-Bitプログラム」
については、
ブックレットで概略をお読みいただくことも可能です。
A5判、76ページ
1部800円となります。