■多くの経営者・管理職が
「ボトム・アップが旺盛で、
変化に強い柔軟さを持った自走組織にしたい」
と願っているにも関わらず、
なかなか実現できないのでしょうか?
それは、
「ボトム・アップが大事だ」
といった教育を時々行なってはいるものの、
それが、
日常と切り離されたSpecial Eventとなってしまっているからです。
文化を変えるのは、
Special Eventではなく、
日常の中におけるコミュニケーションです。
さまざまな日常に交わされる言葉が、
Daily Remindとなり、
着実にその価値観をしんとうさせてゆくのです。
■とは言うものの、
「日常の会話の、どこをどう変えれば良いのか?」
と思うでしょう。
そこで、
「この言葉を変えると良い」
という代表的なパターンを挙げておきましょう。
これによって、
聞いた側も、話す側も、
ついトップ・ダウンの発想になりがちなところを、
ボトム・アップの発想へと
リマインドされることでしょう。
■ポイントは、
「常に、主語を『部下が』にして考える」
ということです。
①まず、多いのが、
「教育」「研修」
です。
部下を主語にしていれば、
「教育」とか「研鑽」という言葉にはならないはずです。
「学習」とか「研鑽」となるでしょう。
②また、
「指導」「管理」
といった言葉も、違和感なく使っているかもしれません。
これも部下を主語にすれば、
「自治」「振り返り」
といった言葉になるでしょう。
③ボトム・アップの発想に近いようで、
トップ・ダウンなのが
「権限移譲」
です。
主語が上司だからです。
目指したいのは、部下が
「その業務、わたしがやります」
と権限を奪い取りにくる組織でしょう。
なので、
「権限奪取」
という言葉が使われている職場の方が良いでしょう。
④人事評価も、
一般的には
上司がするものと考えられているでしょう。
しかし、これからは、部下が
「自己診断」し、
「自己表現」することを
スタンダードにしてこそ、
ボトム・アップできる足腰の強い組織と言えるでしょう。
⑤よく組織全体での
「研究発表会」
なるものを企画しているところがあります。
「ボトム・アップによって、
現場がみずから改善する体質になって欲しい」
と願ってのことであることが多いようです。
ところが、
組織が企画してくれるので、
現場では、その意図とは反対に、
「それまでに何か発表できるようにしておこう」
という受け身の考えが生じがちです。
これを、
現場が問題を感じた時に、
あるいはみんなの関心が高いタイミングで、
もしくは社会の問題意識が高いうちに、
「いま、発表したい」
と考える柔軟な組織であれば、
部下が、
研究発表「会」を待たずに、
みずから
「研究発表」
と称して、情報発信した方が良いでしょう。
⑥そもそも、多くの職場で、
「あとで指示する」
「必要なら指示してください」
など、
「指示」「命令」
という言葉に違和感がないように見受けられます。
指示命令こそ、トップ・ダウンの最たるものでしょう。
「指示」「命令」がなく、
行動の根拠が、つねに
「自律」
であってこそ、ボトム・アップ型の組織でしょう。
■さて、みなさんの現場は、
日頃、どちらの言葉が使われていることが多いでしょうか?
トップ・ダウン型の言葉でしょうか?
ボトム・アップ型の言葉でしょうか?
■このように、
トップ・ダウン型の言葉を日常的に口にしていれば、
せっかく、時々
「ボトム・アップが大事だ」
と、教育や研修をしたり、
人事評価の時に伝えたり、
あるいは新年度を迎えるたびに経営者が話しても、
一向にボトム・アップ型の文化にはならないのです。
なぜなら、
つねに一緒に働いている上司が、
毎日、現場で、直接、何度も、
「うちはトップ・ダウンだ」
というサインを出し続けているからです。
なので、
上に挙げたように、
それぞれ、
「部下が」
を主語にした言葉に置き換えてみることをお勧めします。