■以前、
「職員が同じ方向を向いて力を発揮する組織をつくるためには、
『情報の共有』が大事だ」
と言われていました。
しかし、同じ情報にふれても、
人の受け止め方は様々です。
「このままじゃ30%の確率で赤字に転落する」
と聞いて、
「赤字に転落したら大惨事だ」
と危機感を持つ人もいれば、
「70%の確率で黒字が出るんだから、しばらくは大丈夫」
と受け止める人もいるのです。
「この件でクレームが入ったら信用が失墜する」
と聞いて、
「信用を取り戻すのはたいへんだ」
くらいにしか思わない人もいれば、
「会社の存続に関わる致命傷だ」
と深刻に受けとめる人もいるのです。
つまり、情報を共有しただけは、
その後の職員の言動はまとまらない、ということです。
■つまり、本当に重要なのは、
「情報の共有」
ではなく、
「価値観の共有」
なのです。
「万が一にも赤字に転落しないようにしたいよね」
と言われた時に、
「もちろんだ。絶対にそんなことにならないように手を尽くそう」
という感情になってもらうことです。
あるいは
「絶対に信用を損ないたくないよね」
と言われた時に、
「当たり前だ。できる限りのことをして信用を守り抜こう」
という感情を共有することです。
そうなるためには、
思考に訴えても効果がありません。
指示、命令、教育、研修、指導、管理、データや説明、理論は、
思考に訴えるだけなので、
感情にアプローチすることはありません。
■では、同じ感情になってもらいたい場合には、
どうすれば良いでしょうか?
「周囲に力を貸してもらえる人は、
普段、人の力になっている」
ということが言えるでしょう。
それがヒントです。