■「職員が新しいことには拒絶反応を示す」
「提案が通りにくい」
と、組織の腰の重さに悩む人は、少なくないことでしょう。
そこで、そんな組織体質の原因を明らかにします。
さて、みなさんの現場では、
「承認」
は行われているでしょうか?
承認とは、いわゆる承認欲求の承認のことで、
言い換えれば、
「無条件に理解し応援すること」
です。
一方、対概念は、
「評価」
であり、
「組織や上司のものさしに照らして判定すること」
です。
そのため、マイナス評価という言葉もあります。
そして、一般に
職場では、
「業務を遂行する責任を果たすために集まっているのだから
責任が果たされたかどうかの評価をすることが必要であり、
結果を問わない承認をするべきではない」
と考えられていることでしょう。
■しかし、
結果だけを求められてしまう現場においては、
チャレンジングなことは、生まれません。
マイナス評価を恐れて、萎縮してしまうからです。
もちろん、誰しも、
結果を出した時には、
その成果に対して評価もしてもらいたいという心情もあります。
しかし、一方、
評価しかされない現場では、
つねに結果を求められているため、
すべてにプレッシャーがかかると同時に、
結果を出すための利用価値しか見られていない、と
感じられるため、
職員は疲弊してゆきます。
逆に、
「うまくいかなくてもいいから、
お前が信じる通りにやってみろ!」
と、結果は二の次にして、
自分の意欲と考えに任せてもらえれば、
人は、
「人として期待してくれている」
と感じて、
萎縮することなく、
それまでにない底力を発揮することができます。
そして、
自分の周囲が、
上司も同僚もそんな味方ばかりだったら、
人間関係に悩むこともなく、
こんなに勇気と元気に恵まれた環境はないでしょう。
日々、チャレンジングなことに取り組むことができるはずです。
皮肉なことに、
結果を追及する「評価」だけの組織よりも、
無条件に応援する「承認」が当たり前になされている組織の方が
はるかに生産性が高くなるのです。
科学的なエビデンスが欲しいと思う方は、
ご自身の部署で、
「評価しかしない」
「承認をする」
の両方を実験してみれば、
1週間もしないうちに明らかな差が実証されるはずです。
■もし、
指示・命令をしなくても、
現場職員がみずから気づき、考え、行動するといった
『自律進化組織』
になることを望むのであれば、
論理必然的に、
「承認」
が当たり前のカルチャーでなければなりません。
■多くの組織で、
職員が疲弊したり、
病んだり、辞めたりする背景には、
この
「承認がなく評価だけの組織風土」
が根底にあることが多いように見受けられます。
さて、みなさんの現場では、
「承認」
は、どれくらい行われているでしょうか
そして、もちろん
職員が口頭で応援するだけでは、
限界があります。
組織としても、
結果が出なくても、
チャレンジングな取り組みをしたことを
人事考課においてもきちんと認める
「承認の人事考課」
を講じているでしょうか?