■「理念から現場の行動を考えることが大事」
ということは、
昨今、社会に浸透してきたように感じます。
看護部長、事務長といった役職者の方々が、
「やはり、理念を基礎に目的から考えなければいけない」
とお聞きすることが増えてきているからです。
しかし、
「理念」
は、明確な文言であっても、
「現場の言動」
は、定型的なものではないため、
なかなか、
「理念が実践される組織になった」
という状況にまではたどり着いていないようです。
その原因は、端的に言えば、
「対話が足りない」
ということができるでしょう。
では、どうすれば良いか?
■定型的でないものを、ある方向性に沿って実践してもらうためには、
以下のような例を想像していただけると良いでしょう。
たとえば、みなさんがカメラマンで、
カメラマン見習いの方々を指導する立場にあって
「良い写真を撮ってもらう」
場合、
「この場合、良い写真とは、臨場感のある写真である。
写真の中の音や声が聞こえてきそうな写真、
写真の中の空間の温度や湿度が伝わってきそうな写真、
写真の中の空間の匂いが漂ってきそうな写真、
写真の中の風景の風が肌に当たる感触が感じられそうな写真を
撮りましょう」
と呼びかけるとします。
伝えられた側は、
言われた通りに、さまざまに考えたり工夫して写真を撮ることになります。
しかし、そこで頭をもたげてくるのが、
「本当にこんな写真で良いのだろうか?」
「言われた通りに心がけて撮ってみたものの、これが正解かどうかわからない」
という疑問です。
このような場面では、みなさんならば、
「どれ、見せてごらん。良いかどうか、コメントするからね」
と関わってゆくことでしょう。
そして、良い例があれば、
「みんな、この作品を見てごらん。
この写真の、この部分がとても良いので参考にしてほしい」
と、ごく自然に、情報共有するのではないでしょうか。
つまり、
(1)教える側が「こんな写真を撮ってほしい」という指示をする
↓
(2)教わった方が、写真の撮影をしてみる
↓
(3)教える側が作品を見て、良し悪しを検証する
↓
(4)教える側が良い作品を、教わる人達全体に情報共有して、参考にしてもらうようにする
↓
(5)教わった方は、正しい情報を参考に、より良い写真を撮影できるようになる
↓
(3)→(4)→(5)→(3)→………
というサイクルを循環することによって、
教わっている方もポイントがわかって安心して実践することができるので、
事例が増えるとともに、
クオリティが向上してゆく、という構造です。
これは、みなさんも、
内容や場面によっては、ごく当たり前のように行なっていることではないでしょうか。
上記の
(3)→(4)→(5)→(3)→(4)→(5)→(3)→(4)→(5)→………
のサイクルが、冒頭でお伝えした
「対話」
にほかなりません。
■さて、理念を浸透することも、
定型的ではないものを、ある方向性に沿って実践してもらうことであり、
同じようなプロセスを想定すると良いでしょう。
すなわち、
(1)上層部が「こんな理念を実践してほしい」という意思表示をする
↓
(2)現場職員が、理念に沿った実践をしてみる
↓
(3)上層部が実践の事例の報告を受けて、理念に適っているかどうかを検証する
↓
(4)上層部が良い事例を、現場職員全員に情報共有して、参考にしてもらうようにする
↓
(5)組織全体の職員は、共有された事例を参考に、より理念に適った実践をできるようになる
↓
(3)→(4)→(5)→(3)→………
という「対話」のプロセスです。
こうした対話をせずに
「理念がなかなか浸透しない」
というのは、横着以外のなにものでもありません。
このように、経営者・上層部が、
現場における実践事例を検証して、
理念に適っている事例を組織全体に発信して情報共有をする、
という
上層部と現場の
「これでいいのかな?」
「それでいいよ」
という
「対話」
がなければ、
理念にうたわれた文言の意味が伝わることはないのです。
■ただし、このように対話するためには、
両者が対話に向き合うことが不可欠なので、
2つの要件が重要となります。
1つは、
「上層部が」事例を検証して、良い事例を組織全体に発信すること。
もう1つは、
「現場職員」が良い事例をつねに、上層部へと発信することを習慣にしていること。
とはいうものの、後者は、
「良い事例を報告しなさい」
という指示をしても、なかなか習慣化することはないことを
みなさんはご存知でしょう。
では、どうすれば良いか?
■最も大きなポイントは、
とりもなおさず、
「組織体質づくりの要は管理職」
だということです。
各部署の管理職が、
部下職員が、日々、良い事例をどんどん挙げてくれるようにすることです。
そもそも、職員が発信する習慣がなければなりません。
定時に出勤し、定時に帰り、業務の話しかしない現場では、
職員が発信する習慣がないでしょう。
では、どうすれば、発信する習慣を築くことができるのでしょうか?
それは、
「なにかあれば、発言してもらう」
のではなく、
「毎日、何か発言することが当たり前」
というコミュニケーション・モデルを定常化することでしょう。
■患者サービス研究所では、
1日5分のコミュニケーション・モデル
「HIT-Bit」
を提唱しています。
部下職員から発信する習慣が築かれ、
良い事例がどんどん上がってくることが当たり前の組織体質になります。
理念の実践のみならず、
上層部が予期しなかった問題提起や改善提案が上がってくるようになります。
経営者・上層部の方々は、
「そんなことが現場で行われたのか!」
「そんなことが現場で始まったのか!」
「そんなことが部署を超えて行われたのか!」
「そんなことが他の施設と協力して実現したのか!」
と、新しい事例を聞くことを楽しみにすればよいのです。
患者サービス研究所の6ヶ月間のコンサルティングである
「HIT-Bitプログラム」
の最終日に行なう成果発表会では、
各部署からの事例報告を、
経営者・上層部が感心したり、驚いたり、感謝したりしながら聞いています。
「HIT-Bitプログラム」
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なお、以下の方は無料でご参加いただけます。
これまでに
・東京・大阪その他のHIT-Bitセミナーに参加したことがある
・2016年11月以降のSSKセミナーでHIT-Bitについて聞いた
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・2017年8/6のメディカルコンソーシアムでHIT-Bitについて聞いた
……に該当(リピート)する方。
また、リピートの方が
上席者の方を伴って参加される場合は、
ご同席者の方も無料でご参加いただけます。
というのも、
本当に現場を自律進化組織へと変え、
結果を出していただきたいからです。