結果(一面)しか見なければ、組織(実態)は見えない。

結果(一面)しか見なければ、組織(実態)は見えない。

■「こんな組織にしていきたい」

「組織の体質を変えたい」

という声をよく聞きますが、

「さまざまに施策を導入しても、どうしても形骸化してしまう」

とも言われます。

 

その原因の一つは、

「検証の仕方が間違っているから」

です。

 

大雑把に言うと、

「プロセスを変えたいのに、結果しか検証しないから」

ということです。

 

変えたいのは

「組織の体質」

であり、

「組織の日常の様子」

つまり、プロセスであるはずです。

 

にも関わらず、経営者や管理職の多くが、

全時代の組織管理の横着な感覚からいまだに卒業できず、

「結果だけを検証」

しようとしてはいないでしょうか?

 

たしかに、昭和の時代には、結果だけを検証すれば済んだものです。

 

大量生産の時代でしたから、

社員が忠実に働けば、

製品が製造され、売上が上がったので、

経営者や管理職は、その結果あがった数字だけを見ていれば済んだのです。

 

これは、実に楽な管理です。

 

ところが、こんにちでは、

決められたことをやっていれば必ず結果がついてくるという単純な時代ではなくなりましたから、

現場の職員が、みずから仮説を立て、トライ・アンド・エラーをする中で、

より良い結果が出る方法を見出してゆくことが必要となりました。

 

いま結果が出ていなくても、

より多くのトライ・アンド・エラーをしていること、

多くのチャレンジとそれに比例した失敗があることが、

重要となります。

 

そのため、経営者・管理職は、

結果だけを見るのではなく、

「より質の良いトライ・アンド・エラーをしているか?」

というプロセスを見ることが必要となったいるのです。

 

これは、実は、手間のかかる管理です。

 

■このように、

「結果だけを検証している」

のでは、組織が前進しない時代となり、

「プロセスを検証し、より質の良い旺盛なトライ・アンド・エラーができているかどうか」

を検証することが必要な時代となったのです。

 

経営者や管理職が、このことに気づかなければなりません。

 

もしみなさんがサッカーチームの監督で、

「強いチームを作りたい」

と思っていたら、ゲーム後の点数だけ(結果だけ)を見に来る、ということはないでしょう。

 

ゲーム中に、質の良いトライ・アンド・エラーを、

どのプレイヤーがどれだけしているか?

といったプロセスを見に来なければ、

強いチームへと成長しているのかどうかわからないからです。

 

「点」しか見ないことは楽かもしれませんが、

それでは現場の実情はわかりません。

 

手間はかかりますが、「線」で見ることによって、

結果に現れない良いところ、

つまり強さや柔軟さ、

意欲・姿勢・努力といった水面下の価値が

わかるようになります。

 

■しかし、

「これまで結果として上がった数字だけを見れば済んだのに、

誰がどんなトライ・アンド・エラーをしているかを

つぶさに見ることなんて、とても不可能だ」

と思う方も少なくないでしょう。

 

確かに、物理的にも、そこまでプロセスを掌握することは難しいでしょう。

 

ではどうすればよいか?

 

■なので、これからの経営者・管理職は、

これまでの発想を、もう切り替えなければなりません。

 

みなさんのような経営者・管理職が、

「情報を取りに行く」

という発想を捨てることです。

 

つまり、職員の方から、

「自分はこんなことに気づいた」

「こんなことを提案した」

「それを実践した」

「いまも継続中だ」

「うまくいかなかったので別の方法に切り替えている」

「それなりに結果が出つつある」

など、さまざまにトライ・アンド・エラーを旺盛にしているということを、

みずからアピールさせるということです。

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部下職員が、みずから主張するので、

多角的な情報が飛び込んでくるでしょう。

 

しかし、経営者・管理職は、

それを捌けば良いだけです。

 

自分が予想もしなかったような課題を見つけ、

予想もしなかったような対策を立案し、

みずから取り組んでくれている部下職員もいるでしょう。

 

そんな自発的で創造的で、

素晴らしい取組にかんする情報は、

経営者や管理職が取りにゆこうと思って把握できるものではありません。

 

むしろ、経営者・管理職が予想もしなかったことを

やってくれているほど、望ましい組織だと言えるでしょう。

 

とすれば、もはや、経営者・管理職が

「自分たちにとって気になる数字だけを取りに行く」

というトップ・ダウンの横着な発想を捨てて、

「予想もしなかった情報を、部下職員から上げさせる」

というボトム・アップの発想へと切り替えることが必要な時代になったということではないでしょうか。

 

■では、

「部下職員から、日々の様子についての情報が上がってくるようにする方法があるのか?」

が問題となるでしょう。

 

患者サービス研究所は、

まさに、職員が日々の行動や想いについての情報を

定常的に挙げてくるコミュニケーション・モデルを提唱しています。

 

これによって、

職員にも日々の行動や想いを発信する習慣が身につくので、

経営者・管理職は、

現場の情報を日々把握することが可能となります。

 

そのことによって、

結果だけを検証するのではなく、

プロセスを検証することができるようになるので、

本当に

「組織の体質を変える」

ということが可能となるのです。

 

■これからの組織運営をしてゆくためには、

結果だけを検証する横着な管理を卒業し、

部下職員からあらゆる情報を挙げさせてつぶさにプロセスを検証する管理へと進化することが必要なのです。

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