関係性の創り方・終え方にこそ、「コミュニケーション能力」が現れる

関係性の創り方・終え方にこそ、「コミュニケーション能力」が現れる

■ちかごろは、

「退職を代行する会社」

なるものがあるそうで、すごい時代になりました。

 

これから、ますます

「最後まで相手を尊重することができない人種」

が増えてゆくということです。

 

■たとえば、

会社側がどんなに心を込めて社員を育てていたとしても、

社員自身が、

「面倒臭い」

「話し合うのが怖い」

「時間が惜しい」

などの一方的な理由で、会社に向き合わなくても済む時代なのです。

 

会社とはいえ、上司や同僚にも心があり、

対話もなく一方的に接触を断絶されれば、

誰でも尊厳を傷つけられたと感じることでしょう。

 

本来、

お互いに何度も面接をして雇用関係になったのであれば、

うまくいかないプロセスにおいても、

お互いに意見を出し合い、

譲歩できるところを譲歩するなどして最後まで向き合い、

話を尽くしても折り合えなかった時に初めて、

「折り合えなかった」

と納得できるので、

円満に「折り合えなかった」と感じ、

 

互いに紳士的に、

離れるという結論を受け入れられるようになるのではないでしょうか。

 

その時、どちらも、

「最後まで向き合ってくれて、

最後まで手を尽くしてくれた」

というプロセスがあるので、

尊厳を傷つけられることなく離れることができるでしょう。

 

反対に、

「もう結論は出しました。気持ちは変わりません」

と、一方的に関係を断絶する人は、

「最後まで相手を尊重することができない人種」

だということができるでしょう。

 

■恋愛も同じ構造なのは、ご存知でしょう。

 

うまくいかなくなって、

連絡を疎遠にしたり、

相手をはぐらかして、

相手に向き合うことから逃げることで、幕引きを図ろうとする人は珍しくありません。

 

それは、相手の憎悪を引き起こすという

最悪の展開を選ぶことでもあります。

 

とても、互いに、

「最後まで向き合ってくれて、

最後まで手を尽くしてくれた」

というプロセスがあるので、

尊厳を傷つけられることなく離れることができた、ということにはなりません。

 

憎しみあい傷つけあい、

永い恨みをわざわざ買うやり方を、

選んでいる人は少なくないことでしょう。

 

このように、

「もう結論は出しました。気持ちは変わりません」

と、一方的に関係を断絶してしまう、

「最後まで相手を尊重することができない人種」

が多いので、

昨今は、相手方の激情を煽ってしまい、

殺したり殺されたりといった

事件になってしまうのではないでしょうか。

 

■このように、

異なる価値観を尊重し、

できる限り歩み寄ろうとすることが、

日本人はとても苦手です。

 

そのため、

最後まで相手を尊重することができず、

ある時、突然、

「もう結論は出しました。気持ちは変わりません」

と、バッサリと関係を断絶するタイプの人が、

我が国では、もともと多いのではないでしょうか。

 

相手との価値観が違う時、

「そこは理解するが、ここは賛同できない。

でも、あなたを尊重する。

しかし、あの点はどうにも承服できない」

などといった、

複雑に価値観が入り組んだ相手と

冷静にコミュニケーションをとることが苦手でしょう。

 

議論を好まず、

「そっと退場してくれれば、波風は立たなくなるから、

身を引いて欲しい」

といって、泣き寝入りしてくれるよう促す対処を

選択する組織もすくなくありません。

 

また、

「どちらが正しいとか間違っているとかは、さておき、

あいつを呼ばなければ、摩擦はなくなる」

と、権限に任せてバッサリと接触を断つというパターンもあります。

 

大の大人が集まって運営しているはずの企業や団体でも、

価値観が異なる人とのコミュニケーションが苦手で、

対処がお粗末すぎることは、

NGT48の運営会社AKSや、

日大理事長の件などを見ても、明らかでしょう。

 

先日、

弁護士を目指しているはずの小室圭さんが

母親の元婚約者とのトラブルについて、

本人の意思確認もしないままに

「トラブルは解消済みです」

とマスコミに発表していましたが、

 

相手の尊厳を傷つけることでかえって問題が根深くなるだけですから、

コミュニケーションの初歩を知らず、

弁護士の資質に問題があることを

みずから露呈したと思えてなりません。

 

昨今、

「モンスタークレーマーが増えている」

と言われてはいますが、これも、

 

実態は、

「ここは応じられるが、ここは応じられない。

ここまでは検討するが、これ以上は難しい」

と交渉するコミュニケーション能力がなかったり、

 

「申し訳ございません」

と繰り返すものの、

会って話すことには一切応じないという、

大企業のような「門前払い作戦」しか持っていなかったり、

と、

 

とても

「最後まで相手を尊重しつつ話し合う」

ということができない組織が極めて多いことを露呈している結果ではないでしょうか。

 

そして、そのいずれもが、

「最後まで相手を尊重する」

気がなく、

自分の結論を押し通したい一心なので、

相手を深く傷つけることになるのは言うまでもありません。

 

■というわけで、

すでにその傾向はありますが

今後ますます、

「最後まで相手を尊重することができない人種」

が増え、

その人たちが、

バッサリと一方的に自分の結論を押し通そうとすることは間違いありません。

 

そうしている自分自身も含めて、

他者のそうした対応によって、

尊厳を傷つけられ、心に痛みを負う人も

これからますます激増することでしょう。

 

いかがでしょうか?

 

みなさんの周囲にも、

そんなタイプの人がいるのではないでしょうか。

 

確かに、

「最後まで向き合わなければならない」

という法的責任もありませんから、

本人の良心次第です。

 

また、自分がバッサリと関係を切るということは、

人からバッサリと関係を切られても文句は言えない、

ということもであります。

 

しかし、それでも、

最後まで相手に向き合うかどうかは、

本人の価値観次第で、誰にも強要することはできません。

 

■このような、

「相手との関係性をどのようにつくり、

お互いの価値観が異なるところを、どのように認め合い、

折り合えなかったとしても、

最後はどのように

お互いに尊重し合いながら離れるという結論にいたるのか?」

といった、

「関係性の設計」

をできる人が、これからは、求められる時代になるでしょう。

 

しかし、これは決して難しいことではありません。

 

たった一つ。

 

■「最後まで向き合う」

というポリシーを持つ。

 

それだけです。