■組織全体が同じ方向を向き、
力を発揮するためには、
「情報を共有することが大事」
と言われています。
もちろん、情報を共有することも重要なのですが、
情報を共有しているにも関わらず、
組織が一丸とならない、ということが少なくないのが
実情でしょう。
一般に、つい
「情報を共有すれば良い」
と考えてしまうのは、
指示命令体質の名残りに他なりません。
というのも、
指示命令体質の文化とは、
「大事なことは上が決め、下が忠実に従うもの」
という前提があるためです。
なので、
「情報を共有すれば、
聞いた現場職員たちも、伝えた上層部と同じ気持ちになるはず」
と、考えてしまうのです。
しかし、「国民的〇〇」という言葉が流行ったような、
「みんなが好き」
「みんなが大事に思う」
といった、人々の価値観が互いに近かった数十年前とは異なり、
今の時代は、
人の思考も感情も多様化しており、
同じ情報を得ても、受け止め方は人それぞれです。
思いがけない反応をする人もたくさんいるのが、
今の時代なのです。
■というわけで、組織の中においても、
「情報を共有しても、
みんなが同じように感じるとは限らない」
というのが現実なのです。
したがって、
「情報を共有する」
だけでは、組織が一体にはならない、ということです。
たとえば、
「いまのままでは、うちの会社は、
来期には60%の確率で赤字となってしまう」
と聞いて、みなさんはどう感じるでしょうか?
「今日から、抜本的な改革をしなければ、
たいへんなことになる」
と思うでしょうか?
それとも
「近いうちに、みんなを集めて話した方が良い」
と思うでしょうか?
中には、
「赤字があまり続くようなら、
本腰を入れて考えなければならない」
という人もいるでしょう。
また、
「減収になれば、職員の給与に影響する」
と聞いて、
「絶対にそれは困る」
と断固、対処しようとする人もいれば、
「急な改革は副作用をもたらすことがあるので、
まず様子を見てからで良い」
と悠長に考える人もいるのではないでしょうか。
■このように考えれば、
「情報の共有」
では、まったく足りないということがお判りでしょう。
情報の共有をすることは、
組織が一丸となるためのゴールではなく、
端緒に過ぎない、ということです。
では、どうすればよいのか?
重要なのは、
「情報の共有」
ではなく、
「価値観の共有」
だということです。
とはいうものの、
同じ情報を聞いても受け止め方はそれぞれなのは、
それぞれの人生経験が異なるために価値観が異なっているという
結果になっています。
なので、現場では、同じ情報を得てから、
「それをどう思うか?」
「それをどう感じるか?」
という価値観を共有することが必要となるのです。
そして、
「言われてみれば、確かに大きな問題なのかもしれない」
と啓発することが必要となるのです。
この啓発は、
各部署で、対話を通じてのみ可能となります。
言い換えれば
「意味づけ」
ということでもあります。
■組織が一体化するために、
共有した情報をさらに部内で「意味づけ」することが
重要となります。
しかし、
実は、日常の業務に対しても、
「あれで良かったのか?」
「こんな風にしたいのだが、どうか?」
と価値観を出し合い、
「きっと患者さんにとって最良の対応ができたと思う」
「それは社会にとっても重要だ、ぜひみんなで協力しよう」
といった
「意味づけ」をしていることこそが、
柔軟で、強く、フットワークのある組織をつくる最大のカギなのです。
「こういうことが大事だと思う」
という対話を常にしているといことですから、
大事なことに対して、
いざという局面で、当然、みんなが底力を発揮できるというわけです。
■みなさんの現場では、
日常において、職員同士が、互いに
「意味づけ」
をしているでしょうか?
「こんなことが大事だと思う」
「もっとこんな風にしてゆきたい」
「こんな病院にしたい」
「こんな看護を実践したい」
「こんな風に患者さんに応えてあげたい」
などの対話の声が聞かれるでしょうか?
「そんな話をする余裕など、うちにはない」
でしょうか?
「そういう対話がなくはない」
であれば、日常的な習慣になっているとは言えません。
業務で多忙な職員が、
日常的に互いに意味づけをすることが習慣になるには、
現場任せにしていては不可能です。
「意味づけ」のためのコミュニケーション・モデルがなければ、かならず風化してしまうからです。
■患者サービス研究所は、この、
「意味づけ」の習慣化を
1日5分のコミュニケーション・モデルで実現することをお勧めしています。
そのコミュニケーション・モデルが
「HIT-Bit」
です。