■医療現場の中には、
「接遇」というと
お辞儀や笑顔や言葉遣いなどの、いわゆるビジネスマナーのことだと
考えているところが少なくありません。
元CAなどのマナー講師を呼んだり、
各部署で接遇マニュアルを作らせたり、
チェックリストを作って、各自、セルフチェックをさせたり、
接遇委員が院内巡視をして指摘して廻ったり・・・・・・。
しかし、実は、
「医療現場で、いわゆるビジネスマナーが必要な場面はほとんどない」
ということをご存知の医療従事者の方が多いことも実情です。
たとえば、
午前中の来院者でごった返している外来で、
45度のお辞儀をすることはほぼないでしょう。
体調がすぐれず駆け込んできた患者さんに、
口角を上げた笑顔で対応すれば、クレームになるでしょう。
患者さんの要望にお応えできないことを
正しい言葉使いで説明しても、
かえって慇懃無礼な印象を与えかねません。
医療従事者の方々が、この違和感を持っているからこそ、
「接遇」が現場から歓迎されないばかりか、
職員の方々に負担を感じさせていることさえあります。
■医療現場で、
ビジネスマナーが必要な場面は、ごくわずかに過ぎません。
むしろ、ビジネスマナーが不要な場面の方が、
医療現場では、圧倒的に多いのです。
ということは、
ビジネスマナーよりも、
「ビジネスマナーが不要な場面における接遇」
の方が、何十倍も、重要なのではないでしょうか?
こんにち、こうしたミスマッチが医療業界に多発しているのは、
医療現場を知らない接遇コンサルタントが
現場にビジネスマナーを売り込んできた結果です。
■では、
「日々の医療現場のほとんどを占める
『ビジネスマナーが不要な場面』で、
いったいどのような接遇をすれば良いのか?」
それを明確にしなければ、
いくらビジネスマナーの形ばかりを学んでも、
接遇については、何ひとつ始まりません。