■時として、医療現場を改革することが必要なこともあるでしょう。
しかし、
「改革するうえでは、現場の声を無視できない」
と考えてしまい、現場からも
「忙しいので、新たな取組はしたくない」
と言われ、
結局なにも変えられない、というケースが多々あります。
しかし、現場の
「変えたくない」
という声を尊重していては、何も変えることができません。
ところが、
現場の声を尊重しようとすれば、
「うちの部署は、これを購入して欲しい」
「あの部署には、こんな風にしてもらいたい」
などの要望ばかりが挙がってきます。
つまり、手段についての各論となってしまうのです。
これでは、組織を抜本的に変えたり、
これまでにない新たな取組にチャレンジすることなど、
話題にも上がらなければ、
実現することは不可能になってしまいます。
■では、どう進めればよいか?
それは、「手段」の話の前に、
「どんな病院にしたいのか?」
「どんな病院だと言われるようになりたいのか?」
といった
「ゴール像」
すなわち、
「目的」
の話をしなければならないのです。
■「なんとしても、こんな病院にしたい」
「なんとしても、こんな病院にしなければならない」
と目的が明確になっていて、
それが各職員に浸透していれば、
あとは、おのずと、その目的のために、
職員一人ひとりが、みずから考え、動き出すからです。
管理者研修にせよ、接遇研修やコミュニケーション研修にせよ、
「どんな病院にしてゆきたい」
というゴール像・目的を明確にしてから取り組んでいる、という
事例を聞いたことがありません。
これでは、一貫した改革にもなりません。
場当たり的な研修をしても、根付くはずもありません。
現場は、
「今度は何が始まるのですか?」
と傍観者化してしまう一方です。
本当に効果的な改革をするのであれば、
「何をするか?」という「各論」を相談するのではなく、
まずは、
「目的」を明確にすることから始めることです。