■研修の打合せに伺うと、
ご担当者から、
「管理職が、部下との信頼関係を築けるように、
コーチングを学ばせたい」
という要望をお聞きすることが、多々あります。
しかし、これでは、
費用と時間と労力を無駄にしてしまうことになります。
というのも、
「コーチングで信頼関係を築ける」
ということが間違いだからです。
因果関係が逆で、
「コーチングは信頼関係があれば効果が高まる」
のです。
つまり、
「信頼関係がないところではコーチングの効果が上がらない」
のです。
■そもそも、コーチングは、
「本人の中に答えがある」
という考え方です。
セッション(対話)を通じて、
本人の口から、
課題を引き出し、
対策を引き出して、
実践を促すのがコーチングです。
なので、
本人がコーチである上司を信頼していなければ、
たとえば、
「自分にこんな至らないところがある」
とか、
「先輩職員の、こんなことで悩んでいる」
といった、
心当たりの問題点を口にすることができません。
したがって、
「その問題をどのように改善したら良いか」
について話し合うこともできません。
表面的なやりとりだけで終われば、
問題解決に進むことはなく、
部下が
「この上司とのコーチングの時間は意味がない」
という体験を重ねるだけです。
これで、上司との信頼関係を築けるはずがないのです。
■したがって、コーチングを活かしたければ、
その前に、
「日頃から信頼関係を築いておくこと」
が必要となります。
そして、皮肉なことに、
日頃から信頼関係が築けていれば、
コーチングを知らなくても
大きな問題は無い、ということも言えます。
信頼関係があれば、
日頃からどんなことでも話し合えるので、
どんどん協力して問題を解決して行けるからです。
■とかく、研修ご担当者や現場職員は、
「これさえあれば全部解決する」
というテクニックを知りたがる傾向があります。
しかし、ご存知の通り、
コミュニケーションとは相手があることであり、
自分だけがコミュニケーション・テクニックを学んでも、
相手との関係性が整っていなければ、
そのテクニックは無駄になってしまうものです。
スポーツで、
どんなに技を身につけて試合に臨んでも、
チームメイトが協力して良いプレーをする気がなければ、
チームの力がいかんなく発揮されることも
ゲームに勝利することもできないのは明らかでしょう。
それでも、このようなテクニックを学ぶ研修に
何十万円もの費用や、
何時間もの職員の給与を支払い続けることはお勧めできません。
本当に現場が変わる研修を選ばなければなりません。