評価と承認 (アドラー心理学の用語整理)

評価と承認 (アドラー心理学の用語整理)

■人が、みずから気づき考え、

新しい行動をし、自律的になるには、

「承認される」

環境が必要不可欠です。

 

「承認」

とは、ジャッジせずに相手を認めることです。

 

ジャッジされてしまう環境の中では、

失敗することが恐くなってしまい。

新しい行動をできず、萎縮してしまうからです。

 

自律的にするためには「承認」が必要不可欠ということです。

 

■なお、有名なアドラー心理学では、

「承認欲求はダメ」

と説明されていますので、

混乱している方もあるでしょう。

 

この点も明確にしておきます。

 

■ただし、その最も重要な「承認」について、

改めて明確に説明されていないので、

ここで明らかにしておきます。

 

まず、

「相手を認める」

には2つあるということです。

 

1つは医療現場には馴染みのある

「評価」

です。

 

「評価」

とは

「組織や上司のものさしに照らして、良い・悪いを判断すること」

です。

 

「良いか、悪いかをジャッジされる」

ということです。

 

したがって、言動が組織や上司にとって良くないと判断された場合には、

「マイナス評価」

もあるのです。

 

他人に迷惑をかけることや、他人から悪く思われることに

大きな抵抗を感じる日本人は、

とかくマイナス評価を恐れるあまり、

「良い結果が出る保証のないこと」

にはチャレンジしたがりません。

 

つねに評価される我が国の多くの職場においては、

結果だけを見られてしまうために

職員が萎縮し、

新しい進化が生まれにくいのは、そのためです。

 

また、

「評価」

とは組織や上司の価値観を基準に見られているので、

職員にとっては、自分の

「価値観の抑圧」

が強いられているため、

精神衛生的にも、不健全な状態であり、

心が疲弊することにつながります。

 

ただし、誰でも、結果を出した時には、

結果を出したことを認められたい感情がありますから、

「評価」

は重要です。

 

したがって、

「評価をしてはならない」

ということではありません。

 

「評価」

だけの職場では進化が生まれない、ということです。

 

ただし、評価されたいという

「評価欲求」

に振り回されていると、

それは他者の価値観についていこうとし続けることであり、

当然つねに他者から満点をもらえるわけではないので、

疲弊するばかりとなります。

 

どこまでも自分が満たされないので

精神的には危険ですから、

「評価欲求」

は持たない方が良いでしょう。

 

では、「評価」以外に何が必要か?

 

■それが

「承認」

です。

 

「承認」

とは、

「無条件に、理解し応援すること」

と言ってよいでしょう。

 

母親が、生まれたばかりの赤ちゃんに

愛情を注ぐのは最も大きな

「承認」

だと言えるでしょう。

 

人は、

「承認」

されると、大きな勇気と元気を得られるものです。

 

基本的に認められているという前提があれば、

人は思い切ったチャレンジができます。

 

承認される組織においては、

成功する保証のない新しいことにも

職員がチャレンジしようと思えるので、

進化がどんどん生まれます。

 

また、

「承認」

とは職員本人の存在が基準なので、

職員にとっては、自分の

「価値観の解放」

が容認されているため、

精神衛生的にも、健全であり、

心が明るく活性化します。

 

なお、承認されたいという

「承認欲求」

は生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで持ち続けているものなので、

捨てることができる人はいません。

 

それほど、根源的な欲求だからこそ、

承認された時には、心から活き活きとするのでしょう。

 

■さて、アドラーはそれらを異なる言葉で説明しています。

 

相手を「評価する」ことを、アドラーは

「褒める」

と呼んでおり、

価値観の押し付けで相手を疲弊させることになるので、

「褒めてはならない」

と言っています。

 

また、相手を「承認する」ことを、アドラーは

「勇気づけ」

と呼んでおり、勧奨しています。

 

さらに、

「相手の価値観に答えて認められたい」

という欲求は、本来

「評価されたい」

という欲求ですが、アドラーは、これを

「承認欲求」

と呼んで、否定しています。

 

そして、

「周囲の人と、お互いの価値観を応援し合う」

関係性、つまり

「承認し、承認される関係」

をアドラーは勧奨していますが、

そのことを、

「共同体感覚」

と呼んでいます。

 

このように、

アドラーはアドラー特有の用語を使っているので、

注意が必要でしょう。

 

というわけで、冒頭に挙げた、アドラーの

「承認欲求の否定」

は、

「他者の基準に合わせて生きようとするのは止めましょう」

という意味だということが伝わったでしょうか。

 

■さて、

自律進化組織を創ろうと思うならば、

チャレンジングな組織風土を創ることが必要となりますので、

最も重要なのは

「職員同士が、つねに承認しあう習慣」

ということになるでしょう。

 

そのためには、

「承認しあいなさい」

と教育や研修を施しても意味がありません。

 

関係性を変えるのは、

「実際に承認し合うコミュニケーションの機会があること」

そのものだからです。

 

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