◾️質問です。
プロジェクトを立ち上げるとき、
あなたは
何を基準にメンバーを選びますか?
役職、経験年数、保有資格…
そんな
プロフィール的な情報やスペックで
「彼ならやれるだろう」
と、判断していることが多くありませんか?
例えば、
「DX推進の件、部長会議で決めよう」
というようなことがあるでしょう。
ところが、全部長を集めたものの、
部長の中にもいろいろいるもので、
自部門の業務で手一杯の人、
ITに関心のない人、
巻き込まれたくない人…
結果、会議では
「時期尚早では?」
「もっとリスクの確認を」
などの後ろ向きな発言で前に進まなかった。
そんな心当たりがあるのではないでしょうか?
実は、それこそが
プロジェクトが
うまくいかない原因なのです。
◾️大切なのは、
「やれる人より、やりたい人」
です。
いくらスキルや権限があっても、
本人に
「やりたい」
という気持ちがなければ、
かえってブレーキになってしまいます。
にもかかわらず、スキルや権限などの
プロフィール的な情報やスキルで
人選しようとしてしまう考え方を、
「Role-Focused」
と呼びます。
そして、
役割で人を見たり、書面で判断する
そんな見方を
「Read-Eye」
と言います。
昭和・平成の時代のマネジメントは、
「この仕事、誰にやらせたらできるか?」
と考えがちな、
まさにRole-Focusedの思考が
当たり前でした。
そのため、経営者・管理職も
職員を見る時には、
そのプロフィールやスキルを見る
Read-Eyeだったと言えるでしょう。
◾️ところで、
ある会社での事例です。
一人の若手社員が
「顧客対応の仕組みを変えたい」
と熱く語っていました。
役職もない、経験も浅い社員でしたが、
実は、
コールセンターで
理不尽なクレームを受け続けたことがあり、
彼女には
このテーマに、
強い執着があったのです。
「改善しない会社に不信感がある。
このままなら、退職する」
という考えでした。
たまたま、
他部署の上席者が彼女の話を聞き、
サポートしたところ、
彼女のその情熱が、
社内の有識者を動かし、
外部の専門家とも繋がり、
半年後には新システムが稼働していました。
◾️また別の企業の事例です。
ベテラン課長が率いていたプロジェクトは、
キックオフこそ行なったものの、
その後、
グランドビジョンがいまだに描けていません。
これまで同じようなプロジェクトを
何度も立ち上げてきた課長でしたが、
このテーマについては関心が薄く、
同期の課長には、
「本当は面倒だ」
と本音をもらしていたそうです。
◾️どんなに優れている社員でも、
「その技能を取組に活かそう」
という気持ちがなければ
その技能は持っていないのと同じです。
逆に、技能はなくても、
「どうにかして変えたい」
という執着があれば、
指示命令されなくても、
みずから行動して解決へと進むのです。
なので、
スキルや権限があるかどうかではなく、
熱意があるかどうかで、
成果に雲泥の差が生まれる、
それが現実なのです。
このように、熱意の有無を重視し、
その情熱を解き放つことで
課題解決へと進めてゆく考え方を
「Heat-Driven」
と呼びます。
熱意は解放すれば、
大きな全身エネルギーとなって
前進するからです。
また、社員を見るときに、
肩書きではなく、
本人の価値観や関心、情熱を感じ取る見方を
「Thermo-Eye」
と言います。
何らかのチームや組織、部署を作るとき、
最初の顔ぶれだけで
何も始まっていなくても、
その成否が決まってしまっているのです。
熱意のある人たちが集結していれば、
ほぼ成功です。
なぜなら、いかなる課題も、
自分たちでどんどん解決してゆくからです。
顔ぶれというより
「熱意ぶれ」
と言った方が良いかもしれません。
◾️なお、Heatは、
必ずしも前向きな熱意でなくても良いことを
述べておきましょう。
例えば、
不満や不審が鬱積したフラストレーション、
苦い経験やトラウマなどでも
まったく問題ありません。
なぜなら、そうした痛みの方が、
場合によっては、
むしろ強い執着であり、
強烈な行動エネルギーを生み出すからです。
◾️ところで、
Role-FocusedからHeat-Drivenへ
Read -EyeからThermo-Eyeへ
今すぐ転換することをお勧めします。
いますでに、
「検討した方が良い」
という暢気な事態ではないkらです。
いまは、
激変の時代とも
予測不能の時代とも言われます。
誰の担当でもない問題や
誰も答えを知らない課題が
次々と降りかかってくるのが当たり前に
なっています。
このような状況の中では、
これまでの知識や技術を持っていても
使おうとしない人は、
まったく通用しないのです。
一方、昨今は
インターネット、SNS、AIなどを
駆使すれば、
あらゆる情報が瞬時に手に入ります。
同じ課題を持つ人たちと
コミュニティを組成することも
簡単にできます。
また、
海外に住んでいる専門分野の権威とも
今すぐリモートで話ができます。
英語が話せなくても、
同時通訳システムを使って
リアルタイムで会話ができます。
つまり、
熱意さえあれば、
可能性を
いくらでも広げられるのです。
そのため、
課題に関心がある人なのか・ない人なのか、
つまり、
行動する人なのか・しない人なのか、
最後までなし遂げたい人なのか?
こそが重要な時代になったのです。
だから、
スキルや役職で人を見る
Role ~Focusedをやめて、
熱意があるかどうかを感じ取る
Heat-Drivenに
一日も早く切り替えることが重要です。
あなたの目も、
経歴書を読むRead-Eyeから、
温度を感じ取るThermo-Eyeへと
アップグレードすることです。
◾️あなたの現場には、
Heat ~Drivenを急ぐべき予兆が
あるでしょうか?
たとえば、週次ミーティング。
全員出席しているのに、
発言するのはいつも同じ2〜3人。
他のメンバーは
スマホを見ていたり、相槌を打つだけ。
「忙しいから早く終わってほしい」
そんな空気を感じたことはないでしょうか?
あるいは、
新しい取り組みを提案したときに、
「前例がない」
「うちには合わない」
「リソースが足りない」
…そんな言葉で潰されてしまう。
これらは全て、
Heatが乏しいことの現れです。
◾️では、
Heatをどうやって探し、
解放するのか?
その実践方法を簡単に紹介します。
まず、最初は
(1) 発掘してスカウトする
ことから。
あるテーマについて、
賛否問わず多くを語る人に声をかける
例えば研修で、
批判的な質問をしてきた営業マン。
あるいは、
「このやり方では現場が困る」
という主張。
実はそういう人こそ、
現場改善のHeatを持っている人です。
(2)次に、
公募制
です。
例えば、
「働き方改革プロジェクトメンバー募集」
などの告知に、
「面白そう」
「週1時間なら」
という自発的な参加があれば、
それが熱意です。
その結果、人数が思いの外
少なければ、
本人たちが追加募集するでしょう。
多過ぎれば、
自然と減ってゆくか
あるいは分科会を設けて運営するでしょう。
本人たちの関心と熱意に任せます。
さらに上層部は、
(3) 活動状況を組織全体に発信
します。
社内報、チャット、朝礼などで
報告します。
また、
「次回ミーティングは来週水曜14時、
B棟の中会議室で。
今回は、◯◯◯について掘り下げます。
関心ある方はどうぞ!
ドタ参、大歓迎です!」
また、実施後には、
「前回は、
◯◯◯についての議論が白熱しました!
そのあとは、都合のつく人たちで、
居酒屋へ!」
と写真付きでアップするなどします。
こうした告知を続けると、
Heatがある人が吸い寄せられてきます。
◾️さて、あなたは、
人と話すとき、
その人が何にどんな熱を持っているか
感じ取るようにしていますか?
その熱エネルギーを
解放し、応援していますか?
今は、知見を
「知っている人」や
「できる人」よりも
「実践したい人」が
遥かに生産的で
活躍する価値のある時代です。
◾️ぜひ今日から、
Role-Focusedの
「Read-Eye」から、
Heat-Drivenを実現する
「Thermo-Eye」へ。
目に入るすべての人を
温度で見るように
切り替えてみませんか?
あなたの視界が、
サーモグラフィのように、
カラフルな映像になっているでしょうか?
では、その映像の中で、
あるテーマについて、
いま最も赤い(熱を帯びた)人は誰ですか?
