🎵本当に現場を変える研修の見抜き方

🎵本当に現場を変える研修の見抜き方

■以前の職場で、
ある時、研修会社が企画した研修を受講しました。

NASAが開発した
「遭難脱出ゲーム」
です。

5名ほどのチームに分かれて競います。

遭難の状況、
手元には
アイテム(ロープとか懐中電灯とか…)が
10点ほど。

それらを何の目的でどうやって使ったら
この状況を脱出できるか?を想定して、
10点のアイテムの重要度の順位をつけます。

まずは、各自一人一人で答案を書きます。

次に、各チームごとに相談して
答案を書きます。

最後に、NASAの宇宙飛行士の方々が
同じワークをした時の答案
(これがいわば正解のようなもの)が
発表されて、
自分たちの答案と比較します。

すると、
不思議なことに、
一人ひとりで出した答案よりも、
チームで相談して出した答案の方が、
ほぼ、
正解に近づいているんです。

要するに、
「何事も、みんなで話し合った方が
正解に近づくんだよ」
ということを
体験を通して学んだというわけです。

で、現場はどうなったか?

相変わらず
「いや、こうかなぁと思って
進めてしまいました」
「そんなことでミーティングする
必要なんてあるんですか』
…という調子。

まるで、
とんでもなく悲しい夢を見たのに、
目が覚めれば
「さ、ご飯の用意!」
とすぐに切り替わるように、

なぜ、研修って、
現場に戻ったら
すぐに風化しちゃうんでしょうね。

ではどんな研修や施策を選んだら
本当に組織が変わるのか?

今回は、その答え、研修の選び方について
私見を書かせていただきます。

■というのも、先週、実は
知人の紹介で、
あるチーム・ワーク研修を受けたんです。

元自衛官の男性が規格構成した、
ラジコン戦車を使った研修です。

私自身は、
迷彩柄にも抵抗感があるほどの
非戦主義なので、
自分からは進んで受講しない企画でしたが、
強いお誘いがあったのと、
「もしや、これもあれか?
受講して、確認してみよう」
と考えるに至り、
参加してみたのです。

受講者は、5人でチームになり、
1人1台ずつラジコン戦車を操縦して、

敵チームの戦車の旗を倒したり、
敵陣の旗を倒したりして、
決着をつけるという
いわゆる仮想体験ゲームの一つです。

講師が、
事前に作戦会議をさせたり、
勝敗がついた後にも
チームごとに振り返りをさせたりして、

受講者たちに
チーム・ワークのあり方を考えさせる
といった構成でした。

ゲーム中は、
もちろん、
大の大人たちが童心に返って
夢中でコントローラーを操作して

ともあれ、
あっという間でした。

楽しかったです。

■ただ、みなさんも、
お気づきでしょう。

ラジコン戦車を使わなくても、
同じような研修は山ほどあります。

例えば、
ストローや輪ゴムやホチキス、
クリップ、セロテープなどが
割り当てられて、
各チームで、
「もっとも背の高いタワーを作って競う」
というチーム・ワーク研修もあります。

あるいは、
チームのみんなが輪になって、
中心に向かって
全員が人差し指一本だけを突き出し、
その上に載せたフラフープを
落とさないようにしながら
どのチームが
「最も速く高く掲げられるかを競う」
という研修もあります。

さらに…
挙げれば、いくらでもあるのですが、

要するに、チーム対抗で競争すれば
「チーム・ワーク研修です」
と言えるわけです。

■しかし、みなさんも、
「これで現場がどう変わるの?」
と思ったことでしょう。

その違和感は正解です。

「楽しかった」
「普段話さない人と話せた」
「協力が大事だとわかった」
と受講者の感想はおおむね好意的ですが、

たいてい、
組織づくりにはつながっていません。

みなさんも、これまで受講してきた
仮想体験ゲームや
ゲーム研修で、
今日まで現場で活用されているものは
あまりないのではないでしょうか。

研修というより、
レクリエーション(福利厚生)としては
たまには良いかもしれません。

つまり、
「もしや、これもあれか?」
は的中したのでした。

■ということで、
何が言いたいかというと、

「組織づくりをするためには、
組織づくりにつながる
研修や施策を選択することを
お勧めします」
ということです。

課題があるなら、
確実にその課題を解消することに
つながる施策だけを見極めて、
選択することが重要でしょう。

いまどき、
期待する効果につながらない施策に
費用や時間や労力を費やすことは
できるかぎり避けるべき、
と考えられるからです。

では、
「本当に組織づくりにつながるか」
はどこで見極めれば良いか?

それは、
「日常の中で行う施策」
を選べば良いということです。

逆にいうと、
「非日常」
つまり、
「特定の日に、
特定の場所で、
普段と異なる顔ぶれで、
普段と異なることをする施策」
は、
現場に戻ったら、
学んだことが
はあっという間に風化してしまうからです。

「現場を変える」
ということは、
「現場の日常を変える」
ということに他なりません。

なので、
「日常の中で、
いつもいる場所で、
いつも一緒に働く顔ぶれで、
いつも実践する施策」
でなければ、
現場は変わらないんです。

■言い方を変えると、
非日常的なことを
スポット的に行うのは、
外科的アプローチ。

研究発表とか、
集合研修はこれです。

これは、
刺激を与えるには効果があります。

しかし、
外科的アプローチで、
組織体質や組織文化や組織風土は
変わりません。

逆に、
日常の中で、
みんなで継続してゆくのが
内科的アプローチ。

継続するためには、
シンプルで負担が極力少ないことが
必要です。

根気が要りますが、
着実に組織体質が変わってゆくのは、
この内科的アプローチです。

自律進化組織研究所で、
いつもHIT-Bitをお勧めしているのは
そういうわけなんです。

1日5分、一人一言ずつ発言する、
これを細く長く続けることで、
職員間に会話や笑顔が増え、
風通しが良くなり、
離職があっけなく止まり、

指示命令をされていないのに、
職員の間から
さまざまな問題提起や改善提案が
上がるようになり、
新たな改善や取組が
次々と飛びだ明日ようになって、

まさに
自律進化組織へと
組織体質が変わってゆきます。

■そういうわけですので、
「ラジコン戦車、面白そう」
「タワーづくりゲーム、面白そう」
「フラフープ競争、楽しそう」
と思っても

レクリエーションの一つだと
思っておいた方が良いでしょう。

もし、
レクリエーションではなく、
離職のない、
生産性の高い組織を
実現したいのであれば、

職員間の関係性が変わり、
職員の方々の話す内容が変わり、
職員の方々の行動や習慣が変わる
施策を導入されることを
お勧めします。

激変の時代なので、
一日も早く
組織づくりに着手することをお勧めします。