■「人の心はわかりにくい」
と言われます。
しかし、人の心は
「感情」と「思考」で構成されており、
たしかに「思考」はわかりにくいのですが、
私たちを支配し、心の正体とも言えるのは「感情」であり、
さいわいその「感情」の方が、
極めてシンプルだということを見てみると、
非常に人の心が見えてくるのです。
■「思考」とは、
情報を記憶し加工する作用で、
ちょうどパソコンのもっている機能と同じですね。
そして、人はそれぞれ生まれた瞬間から
異なる環境で異なる情報を蓄積し、
異なる体験を通じて異なる情報加工を学習してゆくので、
「思考」
は人それぞれです。
なので、「思考」は実にわかりにくいものです。
■一方、「感情」とは、
欲求によって左右されて起こるシンプルなものです。
患者さんの
「あれはどういうことか!」
というクレームに応じて、
すぐその場で説明して、誤解が解けたにも関わらず
患者さんは不満を訴え続ける、
……ということが珍しくないと思いますが、
それは、
「思考」では理解できたけれど、
「感情」が収まっていないため、
まだ心が明るくなっていない、ということの現れだと言えるでしょう。
では、この「感情」がどんなメカニズムになっているのでしょうか?
これがわかると、
相手が「思考」から繰り出す言葉に惑わされることなく、
その根底にある「感情」が見えてきます。
■一見、
言語化される「思考」の方がわかりやすく、
言語化されない「感情」の方が得体がわからないと思われがちでしょう。
しかし、その逆で、
「思考」の方が、人それぞれの価値観やロジックがあるため
複雑でわかりにくく、
「感情」の方が、シンプルでわかりやすいのです。
というのも、実は
「感情」は、「物理の法則」に則って作用する性質があるからです。
患者サービス研究所では、
「感情物理」
と呼んでいます。
次回以降、詳しくお届けします。