議論以前のコミュニケーションが重要

議論以前のコミュニケーションが重要

■「大事なものは目に見えないんだよ」とは、
サン・テグジュペリの『星の王子さま』の言葉。

職場では、議論をして内容のやりとりをする以前に、
実は位置関係づくりが適正に行なわれる必要がります。

関係性は目に見えないので、
対話という価値観のやりとりを、
大切な大切な宝物の受け渡しだと考えると良いでしょう。

「意味」の世界を、
「もの」の世界に置き換えて
ビジュアルな理解をするということです。

■たとえば・・・

自分の宝物の箱を渡そうとしても、相手が受け取ろうとしない。

片手で受け取る。

受け取ってもぞんざいに足元に置く。

受け取りもせず、見向きもしない。

それより自分の箱を渡そうとばかりする。

いつまでも自分の箱を渡す所作を続け、相手に順番を返さない。

こちらが渡したいと思っていない箱を、渡すように強要する。

こちらがいま箱を渡したくないのに、いま渡すように強要する。

こちらが渡そうとしているのを押し退けて自分の箱を先に渡そうとしてくる。

同じ箱を繰り返し差し出して、何度も受け取るよう強要する。

■こうしてビジュアル化してみれば、
「ふだん、わたしたちは、
相手が渡した箱を、
そんなに乱暴に地面に置くだろうか?」
と驚くようなことを、

言葉の世界では、
しばしばやっていることに気づきます。

そして、
こんな相手に不快感を与えるようなことが行われていれば、
必然的に位置関係が悪くなり、
「互いに敬意を持って
相手の箱の中身を見て、
尊重し合いながら建設的な話をできる」
とは誰も思わないでしょう。

内容に及ぶ以前に、対話は始まりさえしません。

■そんな重大なコミュニケーションが行われているにもかかわらず、
心や言葉のやりとりが目に見えないため、
会議や日常会話の中で、
自分がどんなにひどいことをしているか、
わたしたちは見落としがちです。

わたし自身、
「その話のどこが大事なのだ」
と思うあまり、
相手の差し出した箱をその場で投げるように地面に置いてしまい、
相手を傷つけた
・・・ということが何度もあっただろう、と反省しています。

だからこそ、
「自己開示が宝物の箱の受け渡しだったら?」
と想定することにしています。

「相手の差し出した箱をどのように受け取っているだろうか?」
と、
日頃から、
意味の世界のコミュニケーションを、
物理の世界のコミュニケーションへと、
ビジュアルに置き換えてとらえてみる習慣を持つと良いのです。