「それは私の仕事じゃありません」を無くす方法

「それは私の仕事じゃありません」を無くす方法

■「どんな組織が成長するか?」

といえば、ある意味では、

「人のために、と思える人が多い組織」

と言えるのではないでしょうか。

 

組織ではなく、個人でも、

「人のために」

と思える人は、

誰からも頼られ、力になるので、

周囲も、喜んで力を貸してくれるようになり、

豊かな人生になることでしょう。

 

逆に、

「人よりも自分のために」

と思う人は、

周囲を頼り、力を借りることになるので、

徐々に人が離れてしまい、

孤独で、広がりのない人生になることでしょう。

 

なお、ここで言う

「人のために」

は「患者さんのために」という意味だけではありません。

 

むしろ、

職員同士における

「お互いのために」

「一緒に働く仲間のために」

の方が重要です。

 

医療現場では、

「患者さんのために」

と思わない職員はいませんが、

「一緒に働く仲間のために」

と思える職員ばかりとなれば、素晴らしい職場になるのではないでしょうか?

 

「Give & Take」

という言葉がありますが、

 

「Give & Give &Take」

の人には、周囲に人が集まり、人生が豊かになり、

「Take & Take & Giv」

の人からは、週の人が離れ、寂しい人生になる、

……というシンプルな原理です。

 

余談ですが、

「Give」と「Take」がバランスしている人の中にも、

「Much Give & Much Take」

したい、世話焼きな分甘えん坊なタイプの人や、

「Less Give & Less Take」

したい、関わりたくも関わられたくもない独り好きなタイプの人もいますが、

バランスしているので、

Muchをとるか、Lessをとるか、は

その人の個性と言えるでしょう。

 

問題は、

「人に力を貸して欲しいが、貸すのは嫌」

というタイプです(時々いますね)。

 

ともあれ、

「まずは人の役に立ちたい」

というタイプの人が、

周囲から好かれ、結局は本人の人生も豊かになる

と、言えることと思います。

 

■というわけで、

そんな人ばかりの組織だったら、

どんなに豊かで

お互いの力を発揮しあい、

素晴らしい成長を遂げることができるでしょうか?

 

▶︎要するに、

「人のためにと思える人が多ければ、組織は成長する」

ということではないでしょうか。

 

一方、

成長できない組織には、

「人のために」

と思える人が少ない傾向が見受けられます。

 

「それは私の仕事じゃありません」

と言い放つ人、

みなさんの人生の中でも何人か登場したのではないでしょうか。

 

▶︎では、

「人のために」

と思える人は、なぜ、そう思えるのか?

 

そこには、

「人が大事」

という心が必ずあるはずです。

 

「人のために」

と思えない人は、人が大事という心がないので、

「なぜ人のために?」

と思ってしまうのです。

 

▶︎では、

「人が大事」

と思える人は、なぜ、そう思えるのか?

 

それは、

今の状況に感謝できているからに他なりません。

 

いま、

この職場で、

この仕事に就き、

日々働けていることに感謝できていれば、

周囲の人もまた大事に思えるはずです。

 

一方、

人が大事と思えない人は、

自分で、どうにでもできると

自惚れているということでしょう。

 

▶︎また、

いまの状況に感謝できる人は、

「いまの状況が、当り前に与えられているものではない」

と理解できている人です。

 

いまを

「恵まれている」

と思える人は、

不満があった時に、

「なぜ、こうなんだ!もっと変わって欲しい」

と周囲に要望するのではなく、

自分でできることを探すようになります。

 

いわゆる「自律思考」です。

 

一方、

感謝できない人は、

「いまの状況が当り前」

と思っている人です。

 

そこが基準なので、つねになにか起これば、

不満を感じることになります。

 

それは、いわゆる「他責発想」と呼ばれる思考です。

 

▶︎ではなぜ、

「いまが当り前でない。恵まれている」

と思えるのでしょうか?

 

それは、

「恵まれていない他の状況が、たくさん存在する」

ということを知っているからです。

 

過去や未来、他の組織、外部環境など、

「世の中には、もっと恵まれていない状況がたくさんある」

と知っていれば、

いかに自分が恵まれているか、わかります。

 

一方、

他の状況があることを知らず、想像できない人は、

どうしても、幸せなのが当り前なのに、

「なぜ、そうならない時があるのだ?』

と不満を感じることになります。

 

▶︎実際、わたしたちも、

自分の日常の情報の中で生きていると、

ついそれが当り前になってしまい、

「半日も連絡がつかない」

「周囲にコンビニしかない」

「エアコンが効かない」

といったことに、大いに不満を感じてしまいます。

 

しかし、

世の中には、1日1ドルで生活している国もあり、

そこでは、新生児の1割が亡くなってしまい、

学校にも行けない子どもたちが、

毎日、雨の日でも、井戸のあるところに水を汲みに行き、

ポリタンクを4キロも歩いて帰ってきたり、

親が病気で身体が悪くても医療を受けられず、

子どもが裸足のままゴミの山を歩き回り、

金属類を拾い集めて生活費に充てている、

といった状況も存在しています。

 

わたしたちは、

そうした情報に触れず、

先進国の豊かな社会の情報にだけ触れているのです。

 

▶︎このように、

視野を広げれば、

「いまが当り前ではない」

ということがわかり、

「今の状況に感謝すること」

ができるでしょう。

 

したがって、

「いまの状況が当り前ではない」

「恵まれている」

と知り、

「人が大事」>

と感じることができ、

「人のために」

と思うことができるようになるためには、

「視野を広げること」

に尽きると言えるでしょう。

 

■「視野を広げる」

と聞いて、

「漠然としていて、どうすれば良いかわからない」

という人もいるでしょう。

 

最も簡単にできるのは、

「因果関係をたどる」

ということです。

 

自分の業務や言動の因果関係です。

 

まず、1つには、

因果関係の川下を見てみることです。

 

自分の業務や言動が原因となって、

「どのような結果を、いつ、誰に、どのようにもたらすのか?」

を考えれば、

いましていることの意味がわかります。

 

「そんなに喜ばれるならば、もっとちゃんとやろう」

「そんなに手間をかけているなら、少し工夫してあげよう」

「そんなに社会のためになるなら、やりがいがある」

と、思えるはずです。

 

「それは私の仕事じゃありません」

という言葉は、

自分の業務や言動が原因となって、

「どのような結果を、いつ、誰に、どのようにもたらすのか?」

が見えていない、

視野の狭さからくるものなのです。
 
もう1つには、
因果関係の川上を見てみることです。
 
自分の業務や言動は、
「誰の何が原因となって生まれた結果なのか?」

を考えれば、

今後を変えることができます。

 

良い結果を生み出した原因を知れば、

良い結果を再生産することができます。

 

悪い結果を生み出した原因を知れば、

治したり、予防することができます。

 

「そんな事情があって頼まれたことだったなら、

もっとちゃんとやろう」

と思うこともできるでしょう。

 

「自分でこの仕事を選び、

自分でここに就職し、

自分で毎日出勤しているのだから、

働く以上、人を恨むのをやめよう」

と考えることもできるようになります。

 

ぜひ、

いまの自分の因果関係について川下や川上を辿ることで、

視野を広げるところから始めてみることをお勧めします。

 

■ただし、

視野が狭い人は、

「視野を広げる必要性も感じない」

という重症患者であることも多いのが実状です。

 

視野が狭い人だったからこそ、

さらに視野が狭くなっているからです。

 

ということは、

本人の意思を尊重して

「大人なのだから」

と言っていては、その職員は何も変わりません。

 

ということは組織も成長しません。

では、どうするか?

 

無理矢理に視野を広げることが必要です。

 

ただし、最初は、

「業務連絡以外に、なにか一言。

何でも良いから話してみて」

ということから始めることです。

 

テーマを決めて話をさせたり、

なにか行動させることは、

本には負担に感じてしまうからです。

 

さりとて、

「一言も話したくない」

という職員に遠慮していては、

永遠にコミュニケーションが取れず、

組織を変えることはできません。

 

「何でも良いので一言」

は、これ以上ない、最低限のコミュニケーションでしょう。

 

それを定常的に行なうのが、

「HIT-Bit」

です。

 

■ぜひ、

「人のために」

が当り前の集団になり、

「一緒に働く仲間のために」

と思える職員ばかりとなれば、

素晴らしい職場になるのではないでしょうか?

 

つねに

「何でも言って!力になるよ!」

という言葉が交わされている組織を

実現されることをお勧めします。