■職員のコミュニケーション能力を上げるために
よくコーチング、
アサーション、
アンガーマネジメント、
ファシリテーション、
交流分析、
レジリエンス、
などなど…を研修に組み込むことがあります。
ところが、
コミュニケーション・テクニックの代表格であるコーチングでさえ、
「学んでも、うまく活用できない」
という声もまたよく聞きます。
「コミュニケーションといえばコーチング」
というイメージを持つ人も少なくなく、
多くの組織が、せっかく費用をかけて職員に学ばせても、
結局、現場がそれほど変わっていない…。
なぜか?
それは、そもそもコーチングはじめコミュニケーション・テクニックとは、
相手が対面してくれることが前提で成り立つものだからです。
コーチングのスクールでも、
当然、対話の演習をたくさんしますが、
スクールでの演習では、
クライアント役の受講者がお行儀よく
「相談に乗ってください」
というので、
コーチ役の受講者は、
それを丁寧に傾聴したり、問いかけをして導いてあげれば良い、
という経験をすることになります。
しかし、実生活や職場ではそうはいきません。
コーチングに限らず、
あらゆるコミュニケーション・テクニックについても
同じことが言えます。
最も導いてやりたい職員ほど、
自分との間に気軽に話せる関係性がないので、
そもそも対話することがありません。
まして、スクールで教わった通りに、
二人だけの部屋で、ゆっくりと1時間もセッションをすること
など、相手が望むことがありません。
もし、そんな環境にみなさんが
「ちょっと来てくれ、話そう」
といって、相手が応じてくれるくらいなら、
すでに一定の信頼関係ができているでしょうから、
結局、コーチングもさほど必要ではないことになります。
つまり、コミュニケーション・テクニックは、
対話するつもりが1ある人には、
さらに3、5へと、深い対話をして導いてやることができる
可能性がありますが、
最も肝心の、対話をするつもりが0の人には、
その技能を活かすことができないということです。
このように考えてみれば、
実は、最も重要なのは、
対話をするつもりが0の人を、
対話に応じようという気持ちをまず1だけ、
持ってもらうための方法だということです。
このように、
関心0の人に、まず1の関心を持ってもらうための
0→1モチベーションが最も重要となるのです。
■実は、
これは組織や仕事に対するモチベーションについても
同じことが言えます。
かつての日本では、従業員は定年まで働くのが当り前でした。
なので、
「厳しく鍛えれば、伸びる」
というのが大前提だったのです。
つまり、
1もやる気を、3や5へと導けばよかった時代なのです。
しかし、いまの従業員は、
必ずしも働き続けることが前提ではありません。
つまり、いつでも辞める選択肢があり、
ここでもっと頑張ってゆく気持ちは0、
ということも珍しくないのです。
そのため、
ちょっと指摘しただけで、
病んだり辞めたりしてしまうこともあるのです
「なんとしても頑張り続ける」
というコミットメントがないからです。
なので、
コミットが0の人を、
「大変でもここで頑張ってみよう」と
コミットを1にすることができなければ、
組織が、生産性を上げることができない時代だと言えるでしょう。
こんにちの若い社会人は、
学校でも、
教師の注意を聞かずに帰ることが許される文化の中で
育って来ました。
嫌がる学生を引き止めて、教師が長々と説教すれば、
体罰だのパワハラだのと言われてしまいます。
そんな自由な
「いつでもその場を放棄できるのが当り前」
の生活を経てきた人たちですから、
社会に出ても、
辞めたければ辞めることに違和感はありません。
親の脛をかじって、50歳まで引きこもれる…、
それが今の日本なのです。
このように、
「逃げる自由」
が保証されている時代です。
ということは、
それでも職員をうまく巻き込んで、
全体の生産性を上げようとするならば、
組織は、職員に
「逃げないで向き合ってみよう」
と思わせることができなければならない時代だということを
意味します。
したがって、
コミュニケーションに応じてもらえる関係性を
まず創ること、
つまり、関係性を設計する
「関係性エンジニアリング」
が、
コーチングなどのコミュニケーション・テクニックよりも、
重要となるのです。
■本来、こんにちの日本では、
このように、
向き合うつもりが0の人を、
向き合ってみようかなという1の人にする
「0→1モチベーション」
が研究されなければならない事態になっています。
しかし、これまで、
どんなに叩いてもいじめても
従業員はいずれも
少なくとも1のやる気を持っている者ばかりだったので、
それを3や5にするために、
単純に厳しくすれば良かった時代が何十年も続いて来たので、
組織にも、社会にも、
「0→1モチベーション」
を研究する視点も基礎もありません。
■では、どうすれば職員が
「対話に応じてみよう」
「向き合ってみよう」
と思ってくれるようにできるでしょうか?
実は、考え方はシンプルです。
たとえば、親しくない相手から、
「後でおごりますから、いまおごってください」
と言われておごる人はいないでしょう。
同様に、
「後で力になりますから、まず力を貸してください」
と言われて、力を貸す人はなかなかいないでしょう。
つまり、
「Give&Take」
という言葉の通り、
おごって欲しければ、まず自分がおごること、です。
力になって欲しければ、まず自分が相手の力になることです。
ということからすれば、みなさんが
「組織の言い分を聞いてほしい」
とTakeから話しても伝わらないことは明らかです。
組織の望んでいることを聞いて欲しければ、
まずその前に、
組織側が、職員の望んでいることに耳を傾け理解する
Giveから始めなければなりません。
ということは、ズバリ、
「組織づくりは『聴く』ことから始まる」
ということです。
職員全員がお互いに、この
「聴く」
ということができるチームは、
結束が強くなることは言うまでもないでしょう。
というのも、
職員全員が、お互いにGiveし合うということであり、
お互いに理解し応援し合うチームだということだからです。
そして、この
「聴く」
職員全員がお互いに、自然に、継続してできるための方法、
それが
「HIT-Bit」
です。
そのため、HIT-Bitを行うと、
これまであまり向き合っていなかった職員同士が
対話をするようになり、
協力関係が生まれます。
お互いがつねに
「聴くからね。応援するからね」
とGiveし合うようになるチームの変貌ぶりは、
目を見張るものがあります。
そんなチームには、
もはや、
「どうすれば、コミュニケーション・テクニックを
身につけさせることができるか?」
と悩まされることはありません。
この「HIT-Bit」が、
まさに、意図的・作為的に行なう
「関係性エンジニアリング」
です。
「HIT-Bit」
については、1Dayセミナーを行なっています。
本当に効果が永続する組織づくりを実現したい方は、
ぜひご参加ください。
◆ 2019年12月23日(月)13:30〜16:30【東京】
◆ 2020年2月1日(土)13:30〜16:30【東京】
◆参加費:1人当り4,000円
■自律進化組織が6ヶ月で生まれる方程式「HIT-Bitプログラム」
については、
ブックレットで概略をお読みいただくことも可能です。
A5判、76ページ
1部800円となります。