■管理職に、
「あなたのミッションはこれだ」
ということを伝えているでしょうか?
伝えているとしても、そのミッションを、
「業務を完遂することである」
と伝えてはいないでしょうか?
これでは、基本的に進化が生まれない組織を作ってしまっていることに気づいているでしょうか?
というのも、
「業務を完遂しなさい」
と言われると、
「業務を完遂することに責任をもって、すべてを注いで専念するあまり、
それ以外のことを排除しようという力が働く」
からです。
つまり、大きな変革ばかりでなく小さな変化も
受け入れたくなくなるのです。
特に、一つのミスが人の命に関わることもある医療現場では、
物の場所を変えるのも、
導線を変えるのも、
まして業務の手順を変えるのも、
これまでの形に馴れた職員にとっては、
新しい形に馴れるまでの間は、
ミスが起きる素になってしまうからです。
みなさんの同僚にも、
「これまで馴れてきた通りにしたいので、変えないで欲しい」
という人がいることでしょう。
特に管理者がこうした観念を持っていると、
部署ぐるみで進化を拒絶してしまうことになり、
その部署がより良くなって進化することは金輪際なくなってしまいます。
■したがって、管理職に対しては、
「あなたのミッションは、その部署の部下の総力を発揮させて、
その部署をより良く進化させることだ」
と伝えなければいけません。
またそのように伝えれば、
「より良くする」
ことが、
「効率向上」
「精度向上」
といった業務改善を生むこともあれば、
「接遇向上」
「安全性の向上」
「風通しの良い部署」
それによる
「離職率の低下」
などのさまざまな改善を生み出すことになります。
つまり、
管理職に対して、
「あなたのミッションは業務を完遂することだ」
と伝えるのか、
「あなたのミッションはその部署をいかにより良くするかだ」
と伝えるのか、によって、
できるだけ変化を拒む部署になるか、
何かできることはないかと進化する部署になるか、
180度、逆の組織を創り出してしまうことになってしまうのです。
もし、管理職に、
「あなたの部署をより良くすることがあなたのミッションだ」
と、改めて伝えなければ、
おのずと、管理職は
「業務をこなせば良い」
と理解したまま変わらないことは、明らかでしょう。
したがって、
「自律進化組織」
を目指すならば、
管理職に、
「あなたの部署をより良くすることがあなたのミッションだ」
と、改めて伝えることが必要不可欠なのです。
この宣言無しに、
「もっと自律を」
「もっと進化を」
と言われても、業務をこなせば良いと考えている管理職は、
「余計なことを言われている」
としか思わず、
自律進化が生まれないどころか、
反発を覚えて、関係性までが悪くなってしまうのです。
■なお、
ミッションを伝える以上は、
それが果たされているかどうかを、
きちんと検証し評価することも重要です。
伝えただけで検証も評価もされなければ、
「ミッションを果たしても果たさなくても何も変わらない」
ということを学習してしまい、
その他の指示・命令に対しても
責任を持って受け持つことをしなくなってしまうからです。