■植物は、
つねに根から水や栄養を取り込み、葉から陽の光や二酸化炭素を取り込み、
成長しては、
枯葉や実を落としています。
こうして、
常に代謝をしていることが、生きていることであり、
この代謝を止めることは、その植物は死ぬということを意味するのでしょう。
■植物と同じように、動物の身体は、
つねに栄養を取り込み、
成長しては、
運動エネルギーや体温エネルギーを発散したり、
汗や爪や髪などを排出したりしています。
こうして、
常に代謝をしていることが、生きていることであり、
この代謝を止めることは、その動物の身体は死ぬということを意味するのでしょう。
■身体と同じように、精神は、
つねにさまざまな譲歩や刺激を取り込み、
成長しては、
考えたり思ったり、喜んだり悲しんだり、安心したり怒ったり、その結果、さまざまな態度や行動を現したりしています。
こうして、
常に代謝していることが、生きていることであり、
この代謝を止めることは、その精神は死ぬということを意味すると言えるでしょう。
■このように、生命のあるものはすべて、
つねに、なにかを吸収しては、何かを排出して生きています。
その代謝することは、生理現象であり、生きている証なのです。
もし、植物が、枝葉を伸ばすことも実をつけることも酸素を排出することもできなくなったら、
その植物はたちまち死んでしまいます。
同じように、もし動物が、髪や爪が伸びることが許されず、汗や分泌物や排泄物を排出することができなくなったら、
その身体はたちまち死んでしまいます。
同じように、人の精神が、考えたり思ったりすることを許されず、喜びも悲しみも現せず、安心する気持ちも怒りも表に出せず、さらには態度にも行動にも表すことができなければ、
その心はたちまち死んでしまうことでしょう。
このように考えると、
自由に考え、思い、それを口にしたり、
嬉しい時に喜んだり、
悲しい時に泣いたり、
安心してホッとしたり、
理不尽なことに怒ったり、
そんな態度や行動をすることは、
本来、人間の心が生きる上では必要不可欠な生理現象であるはずです。
自分が大事だと思うことを大事にしたり、
自分の感情や思考を口に出して言ったり、
自分が信じる取りに行動することが、
その人の「心が生きている」ということではないでしょうか?
その反対に、
自分が大事だと思うことを言えず、
感情や思考を押さえつけられ、
信じる通りに行動することが許されなければ、
わたしたちも、
「自分の心が生きている」
と言うことはできないのではないでしょうか?
■ここからが本題です。
このように考えてみると、
わたしたちは、
いかに職場で心が生きていないことでしょうか?
自分が大事だと思うことを言わず、
感情や思考を表現する機会もなく、
どんなに信念があってもそれとは別に行動することを求められ、
いつ、心が生きていると言えるのでしょうか?
そんな職場では、
心が悲鳴をあげて、病んでしまうのも当然でしょう。
■人間は、自分の価値観を解放され、
言いたいことが言えて、やりたいことがやれることによって、
他のどんな条件下よりも、
心が明るく元気になるものです。
その前提にあるメカニズムは、
上述したような、
「代謝することが心の生理現象であり、
吸収したものに応じて、充分に代謝することが
心が生きていること」
だから、だと言えるのではないでしょうか。
「本当はどう思うのか?」
「本当は、何を大事にしたいのか?」
「本当は、どんなことをしたいのか?」
「本当は何が気にかかっているのか?」
そんな、職員の価値観を聞くことがない職場において職員の目が死んでゆくのは、
考えてみれば当り前のこと、と感じられるのではないでしょうか?
■では、みなさんの現場では、
普段、職員の方々が、
どれだけ、自分の思いや考えを吐き出しているでしょうか?
「本当はこう思う」
「本当は、こんなことを大事にしたい」
「本当は、あんなことをしたい」
「本当はあのことが気にかかっている」
といった、自分の価値観を解放する言葉を、
どれだけ部下職員から聞き出しているでしょうか?
価値観の解放なくして、
どんなに残業を減らし有休を義務にし福利厚生を厚くしても、
職員の心の健康をつくることはできません。
つまり、
職員を元気にし、
職場を活性化し、
組織の生産性を上げたければ、
なによりも、
職員が自分の価値観を解放できる職場にすることが不可欠です。
そのためには、
価値観を解放できる関係性(心理的安全性)が必要です。
また、そんな関係性を築き維持するためには、価値観を解放するための機会が必要です。
価値観を解放するための機会を設けるとともに関係性を築くためには、
もちろん、一過性の研修では不可能です。
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