■いつも組織づくりのセミナーや管理職研修で話すことですが、
日本では、
「まだ、人事評価は行われていなかった」
と言っても過言ではないと思っています。
というのも、
昭和の大量生産の時代は高度経済成長期でもあり、
続く平成においても、トップダウンの文化を捨てられず、
だましだまし組織運営をしてきた、
という歴史があるため、
本当に人事評価を必要としていなかったからです。
■昭和時代は、
一言で言えば、日本中が工場だったようなもので、
工場があり、
機械が用意され、
部品が供給され、
社員はひたすら組み立てれば良い時代でした。
もちろん、自分で工夫して改善してはなりませんから、
個性やボトムアップを求めたこともありません。
画一的な学校教育が敷かれたのもこの時代で、
いまだにその文化から脱却できていません。
「しかし、
だれがどれだけ頑張ったか?を測定して
人事評価しなければならなかったのではないか?」
と思うかもしれません。
ところが、その必要はありませんでした。
製造の現場では、誰がどんな思いで働こうと、
出来上がった製品を見れば、
成果は一目瞭然だったからです。
さらに、日本では、それまでなかったものが作られ、
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、クルマ、クーラー、と
作れば作っただけ売れ、
会社は右肩上がりで成長してゆきました。
そのため、多少頑張らない人がいようといまいと、
全員でその恩恵を分配することができたのです。
その名残が、
春闘とかベースアップというならわしです。
みんなが儲かって山分けすればよかったので、
人を評価する必要はなかったのです。
とはいうものの、
「多少は評価しましょう」
ということになり、
大手企業などを中心に、
きめ細かな(だれがそんなに部下のことを把握できているの?というような)人事評価表が、作られました。
しかし、企業も管理職も、
「人を見る」
ということなどできなかった歴史が長いので、
項目ばかりが細かくても、最後は主観評価となってしまいます。
「主観評価はまずい。好き嫌いが働いて不公平になってしまう」
という意見もあります。
そこで、多くの組織では、
「直属の上司が一次評価をした後、
その上の上司が二次評価をする」
ということになっていることはご存知の通りです。
直属の上司がちゃんと評価できないところへ、
もっと見えていないその上の上司が出てきて
評価に関与するのですから、
より正確な評価になろうはずがありませんが、
誰も異論を唱えないのが、笑えない笑い話だと
みなさんもお気づきでしょう。
そして、せっかく一次評価者が、
頑張った部下を大いに高評価したり、
どうしようもない部下を大いに低く評価したりと、
あえてダイナミックに差をつけて評価しているのに、
多くの場合、
二次評価者は、評価の極端なものを平準化するという役割を
果たしています。
せっかく、
「良いものを良い、悪いものを悪いと評価しましょう」
としているのに、
わざわざ二次評価者が(わかりもしないのに、というよりわからないから、かも知れませんが)平準化しにくるのです。
「何のためにやっているのか?」
訊きたくなりますが、
そんな、茶番のような評価をみんなで大真面目にやってきたのが
日本の人事評価の実態です。
つまり、
みんなで同じように働き、
みんなで同じように給与を分配していればよい時代だったということです。
そして、そんな時代には、
本当に人を見て、
働きぶりを客観的に把握して、
報酬に反映する評価をつけることは必要ではなかったのです。
その結果、
人事評価の真似ごとが行なわれてきた、
ということにほかなりません。
■そのため、こんにちにおいても、
「職員が、上司から指示・命令をされていないことにまで、
みずから気づき考え話し合い行動したか?」
を評価することができている組織はほぼありません。
「目標管理制度があるじゃないか」
と思うでしょうか?
その目標は上から降りてきたものを、
みんなで分けているのではないでしょうか?
その時点で、トップダウンの、ノルマ管理制度となっています。
本当に自発性を重んじ、自発性を評価したいならば、
「目標管理制度の適用を受けたい社員だけが
目標管理シートを提出する」
としなければならないはずです。
また、
「360度評価で、多角的に評価しようとしている」
と思うでしょうか?
誰が誰のどの項目にどんなスコアをつけたかが
公開されないということは、
完全なる主観評価でしかありません。
イメージ選挙と言っても良いでしょう。
せっかく項目がたくさんあっても、
好きな上司は、おしなべてスコアが高くなり、
嫌いな上司は、すべてのスコアが低くなる、
「人気投票」
以外のなにものでもありません。
ならば、管理職は、
「部下に負荷がかかってしまうと嫌われるから」
という理由で、組織にとっては必要な成長を
部下に促すことさえためらってしまうことでしょう。
あるいは、
「人事評価の項目は微細に決められ、
5段階評価できるようになっていて、精緻じゃないか」
と思うでしょうか?
ある項目について、
「高度に力を発揮した」がS、
「相当に力を発揮した」がA、
「充分に力を発揮した」がBとなっているかもしれません。
では、
「何をもって高度と言えるのか?
相当とは?
充分とは?」
は、何をもって判断しているのでしょうか?
これとても、ほぼ、上司の主観となっているのではないでしょうか?
そのため、
「期中に上司が入れ替わると、ガラッと評価が変わってしまう」ということが珍しくありません。
■これは、いずれも、
「これまで、まともに人事評価を研究してこなかった」
結果にほかなりません。
令和になり、いよいよ
「上司から指示・命令をされなくても、
みずから気づき考え話し合い行動する」
自律進化が求められる時代になりましたが、
それどころか、
上記のような主観評価からの卒業すらできていないのが
実情です。
まして、上司が指示・命令をしていないことについて
どれだけ考えてくれたのか、
どれだけ話し合ってくれたのか、
どれだけ挑戦してくれたのか、
どれだけ成果を上げてくれたのか、
……を測定して、評価する方法など、どこにも見当たりません。
そんな方法があるのか?と探している人も見当たりません。
予期していないことがどれだけ行なわれているか?
を測定して評価する方法など、
想像もつかないのではないでしょうか。
この状態では、
これからの、
ボトムアップが当たり前にできる
「自律進化組織」
を創ることなどできないことでしょう。
昭和に始まり、
平成を経て、
いまなお事実上、主観評価となっている時代に別れを告げ、
令和の時代には、
いよいよ、
人の考え、意欲、姿勢、努力、挑戦などの
水面下の言動を見て、
失敗することよりも問題提起と改善提案と行動を評価する
「本当の人事評価」
を始めなければなりません。
実は、ことし、令和元年が
「人事評価元年」
でなければならないのではないでしょうか。
■患者サービス研究所では、
自律進化組織づくりを提唱しているため、
「自律進化できているかどうか?」
を定量評価して、
客観的な事実によって人事評価できる方法をお勧めしています。
目標(ノルマ)管理制度や360度評価や5段階評価のような
つまるところ
「主観評価」
「人気投票」
では、本当に人を活かし、柔軟に変化し成長することも、
組織の生産性を最大化することもできないからです。
これからは、
・客観的な事実に基づいて
・自律進化度を
定量評価して、確実に人事評価に反映することが必要となります。
そのためのシンプルな方法として
「HIT-Bit」
というモデルを提唱しています。
「HIT-Bit」
については、1Dayセミナーを行なっています。
本当に効果が永続する組織づくりを実現したい方は、
ぜひご参加ください。
◆ 2019年11月29日(金)13:30〜16:30【東京】
◆ 2019年12月23日(月)13:30〜16:30【東京】
◆ 2020年2月1日(土)13:30〜16:30【東京】
◆参加費:1人当り4,000円
■自律進化組織が6ヶ月で生まれる方程式「HIT-Bitプログラム」
については、
ブックレットで概略をお読みいただくことも可能です。
A5判、76ページ
1部800円となります。