■一般に、
「組織を良くするには社員を教育することだ」
と考えられているでしょう。
しかし、本当に「教育」が最良の方法でしょうか?
たとえば、みなさんは、
勤務先や上司から
「きみを教育する」
と言われて、嬉しいでしょうか?
「なんの教育?」
「なんで自分が?」
「なぜ今?」
「必要あるの?」
という思いが頭をよぎるでしょう。
それでも教え、判らせ、行動させようとするのが
「教育」
です。
そんな教育によって、
社員が、
想像以上に技能を貪欲に吸収し、
その技能を想像以上に現場で発揮しきって
活躍してくれる、
・・・ということは、およそ起こらないことが目に見えているでしょう。
まして、
課題を解消するところまで
徹底してやり抜いてくれる、ということにはならないので、
経営者・管理職から、
進捗をチェックし、
さらに教育するなどの強化策を講じなければならない事態になります。
同時に、
自分が部下の立場だった場合を想定してみれば、
「教育の押し付けは鬱陶しい」
と改めて思うことでしょう。
■これまでの、昭和の時代は、
高度経済成長に支えられた安定の時代でしたから、
経営者・管理職側の、
「教育した」
という自己満足で組織は前進してゆきました。
しかし、
これからは、
社員が真剣に学び、
身につけた力をいかんなく発揮してくれるような
実質的な前進につながる施策を行わなければなりません。
では、どうすれば良いか?
最も重要なのは、
「教育すること」
ではありません。
その川上にアプローチすることです。
すなわち、
「課題を共有する」
ことに尽きます。
社員が、
経営者・管理職とまったく同じように
しっかりと課題を感じ、
大きな問題意識や危機感を抱いたならば、
その社員は、みずから、
「今の自分にどんな学びが必要か」
を理解するので、
「自分から必要な学びを得られる場や方法を調べ、
みずから学びにゆくでしょう。
さらに、その学びを活かして確実に行動し、
課題を解消するまで取り組んでくれるはずです。
■しっかりと課題を共有すれば、
教育は不要となるのです。
言い換えれば、
教育をしなければならないということは、
社員に課題を共有させることができていない証拠
だということができるでしょう。
■みなさんの組織では、
まだ
「教育」
しようとしているでしょうか?
それとも
「課題の共有」
に力を注ぐことで、
社員一人ひとりがみずから学び行動するようにして、
経営者・管理職が教育を施す必要のない組織を
実現しようとしているでしょうか?