「風通しが良い」を科学的に創れ

「風通しが良い」を科学的に創れ

■多くの企業が、採用の場面では
「うちは、なんでも話し合える風通しの良い職場です」
と言いますが、

そうでもないことが多々あると感じているのは、
私だけではないでしょう。

また、
多くの現場で管理職やリーダーの話を聞くと、
「みんな、何かあれば話し合って改善していますよ」
と言います。

しかしながら、
必ずしも離職が少ないわけでもなければ、
素晴らしい成果を上げているとも限りません。

何をもって
「風通しが良い」
と言えるのでしょうか?

ゴールが明確でなければ、
組織が臨むような「風通しの良さ」が実現されることは
決してありません。

そこで、表にそって
「風通しの良さ」
について改めて明らかにしておきたいと思います。

■まず、レベル1

これは、風通しどころか、
コミュニケーションがまったくとれていない関係性です。

部署の全員が挨拶も返事もしないということは稀ですが、
ときどき、そういう人がいることがあり、
周囲の方々のパフォーマンスを大いに下げてしまいます。

■レベル2

これは、業務に支障のない最低限度のコミュニケーションだけはある、
という状態です。

人と人が一緒に働いている長所は
まったく生まれない状態です。

■レベル3

「世間話くらいはする」
となれば、多少なりとも
「関係性がある」
ということもできるでしょう。

しかし、
業務にはまったく貢献しない状態です。

■レベル4

ようやく、
「実は、わたしはこう思う」
といった発言で、
個性が出し合える関係性となります。

この
「実は、わたしはこう思う」
が言えないうちは、
風通しが存在しない状況といっても過言ではないので、
これが言えることはとても大きな一歩となります。

ただし、
愚痴や不満などを言い合って同調するという状態なので、
業務上の価値はほとんどありません。

しかし、
現場でつらいことがあった時に、
その感情を出し合えることは、
モチベーションの修復には効果があるかもしれません。

■レベル5

現場でのコミュニケーションが、
「実は、わたしはこう思う」
という個性の表出であることは良いことですが、

とは言っても、
愚痴や不満ばかりであれば、
生産的な視点はないことになります。

一方、
業務における問題意識や、環境に対する要望などが挙がることは、
業務に関する変化をもたらす契機となります。

価値ある話し合いに進展する可能性がある点で、
「ある程度、風通しが良い」
と言えるかもしれません。

■レベル6

レベル4、5では、
「実は、わたしはこう思う」
といった個性が出せるという点では
変化につながる可能性があるという価値がありましたが、

必ずしも業務の向上につながる生産的なコミュニケーションに
なるとは限りませんでした。

このレベル6では、
いよいよ、
「実は、わたしはこのように良くしようと思う」
といった相談ができる関係性となるので、
現実に改善が実現するようになります。

「わたしは改善しようと思う」
が気兼ねなく言える職場では、
一人ひとりが、じぶんなりに進化することができるので、
組織の向上に寄与する生産的な
「風通しの良さ」
があると言って良いでしょう。

■レベル7

ただし、人と人が同じ職場で働く最大の長所は、
おたがいに協力し合い、
何倍も生産的な、ダイナミックな改善や向上が可能となる点です。

それが実現できるのが、このレベル7です。

すなわち、
相手に負荷がかかることは一切言い出せない職場では、
個々の職員の力が相乗効果を生み出すことはありませんが、

もし、
自分以外の同僚に負荷がかかることであっても、
「それでも、良くなるのだから、やりませんか?」
と提案できる関係性となれば、
思いがけない連鎖効果や強力体制が生まれ、
予期しなかったダイナミックな成果が生まれるようになります。

■多くの組織が求めているのは、
「実は、わたしはこう思う」
といった個性を出せるだけの関係性でもなければ、

一人ひとりが自分なりの改善をできる関係性でもなく、

相手に負荷がかかることであっても
あえて提案して、
実践につながる余地があり、
それによって組織の強みを最大限に引き出すことができるだけの
「風通しの良さ」
ではないでしょうか?

さて、
みなさんの現場の風通しの良さは、
どのレベルに近いでしょうか?

そして、
いつまでに
レベル7へと前進する見通しでしょうか?