■みなさんの医療機関にも、
これまで、
管理職経験のある人が面接に来たことがあるのではないでしょうか?
そんな時、どんな人だったら
「採用しよう」
と思ったでしょう?
「こんな経験があります。
こんなことができます」
という人を採るでしょうか?
それとも、
「時間と手間とタイミングさえ合えば、やりたいことは山ほどあります。
現場のこのようなことをどんどん変えてゆきたいのです」
というアグレッシブな人を採るでしょうか?
管理職を採るとなれば、
前者のような人は採用しないでしょう。
そして、採るのはもちろん後者でしょう。
■というのも、
医療現場も、
「これまでと同じことをしてくれるだけで良い」
と言っていられる時代ではなくなってきたからです。
気候一つとっても、
これまでになかったような台風や豪雨や洪水が
襲ってくることがわかってきた以上、
「今後、どのような対処をしておけばよいか」
を一緒に考えて、
病院全体および自部署に関して
みずから災害時の対策を講じてくれるような人でなければ、
管理職の意味がありません。
にわかに働き方改革なるものが始まり、
これまで当り前だった労務管理が通用せず、
医師なりとも、
「出勤退勤のタイムカードを押してくれないんです」
では済まない時代となりましたから、
管理職もまた、
限られた人での中で、
充分に職員に休みを与えつつも、
充分に職員を成長させなければならず、
みずから対策を講じてくれなければ、
管理職としての及第点を与えることはできません。
これからは、
障害者雇用だけでなく、
発達障害などの方や
ガンがわかった職員の方なども
一緒に働ける体制をどのように作れば良いか、
企業のみならず、
医療現場でも考えてゆかなければならない時代となり、
もちろん上層部の鶴の一声ではなく、
具体的にどのように受け入れるかは、
管理職が検討してゆかなければなりません。
先日は、突如、
経営の見直しを要するとされる
424の自治体病院・公的病院が発表され、
これまでになく強烈な指摘がなされて、
今後も状況に応じて、
行政からのドラスティックな改善促進が行われることが示唆されていますから、
常に、病院としてどのように改善できるか?を
考えられる管理職でなければならないでしょう。
■このように考えてみれば、
これから新たに管理職を採用するのであれば、
何よりも
「問題発見能力」
つまり、
「自分なりの課題」
を常に持っている人材でなければならないことは、
明らかでしょう。
現場に入ったあかつきには、
「時間と手間とタイミングさえ合えば、やりたいことは山ほどあります。
現場をどんどん変えてゆきたいのです」
と言って、どんどん動いてくれる人でなければ、
採用する価値がないでしょう。
■そして、ここからが本題です。
では、みなさんの現場に今いる管理職の方々は、
そんな人たちでしょうか?
管理職会議では、各人が、
「時間と手間とタイミングさえ合えば、やりたいことは山ほどあります。
現場をどんどん変えてゆきたいのです」
と、アグレッシブな発言が飛び交っているでしょうか?
「決めてもらえればやります」
「特にいまのところ課題はありません」
「早々に改善すべき点は、それほどありません」
「いま落ち着いていて大丈夫ですー」
といった、
「置物のような管理職の方が多い!」
ということは、まさか無いでしょうか?
もし、いまの管理職の方々から、
「時間と手間とタイミングさえ合えば、やりたいことは山ほどあります。
現場をどんどん変えてゆきたいのです」
という声が聞こえてこないならば、
一刻も早く、そのモードを切り替えさせなければなりません。
「災害時の対策は事務長から指示があったら動く」
「職員が残業して学んでいたこともこれからは禁止。
でも、それで職員が育たなくても、
それは病院がなんとかしてくれるのでは」
「障害者雇用とかダイバーシティとか、
総務課から依頼があったら、どう抵抗するか、だ」
「経営を見直すのは、もちろん経営陣の仕事。
方向性が決まったら教えてください」
……こんな管理職ばかりだったら、
これからの荒波の連続に、いとも簡単に転覆してしまうでしょう。
■「時間と手間とタイミングさえ合えば、やりたいことは山ほどあります。
現場をどんどん変えてゆきたいのです」
そう言って、
今でも採用試験をくぐり抜けてくるような精鋭ぞろいでなければなりません。
こんな管理職ばかりであれば、
バランスト・スコアカードの
「期初の目標が浮かばない」
などということは起こり得ません。
そして、今いる現場の管理職の方々を、
そんなアグレッシブな管理職に変えることが
焦眉の急なのではないでしょうか。
そのためには、
まず最初にしなければならない施策があります。
その施策をせずに、組織を変えようとしても、
かえって拒絶反応が起こるだけになってしまいます。
では、何をすれば良いのか?
その施策については、また別の機会にお伝えします。