粘着質になれ!

粘着質になれ!

■さまざまな医療機関・福祉施設の研修や組織開発に関わらせていただいて、

最近は、

研修や組織開発を通じて

「本当に現場が変わる組織かどうか」

が、かなりわかるようになってきました。

 

たとえば、

研修をコンサルタントにやらせるけれど、

その施策が終わった後に、

担当者が計画的に動いていない病院では、

研修の効果が上がることはありません。

 

そうした現場では、

研修後に行なう受講者アンケートも

「こんなの必要なのか?」

というような惨憺たるものであることが多々あります。

 

具体的には、

価格交渉はすることはあっても、

「研修で学んだことを現場で継続する執念がない」

というようなケースです。

 

これは、考えてみれば一貫性のある行動です。

 

担当者自身が、組織改善について傍観者的で、

関心が高くないので、

研修を良いものにし、良い時間にしたいと真剣に考えていないため、

そんな無意味な研修にお金を払う価値を感じないことから、

内容と関係なく

「もっと安くできないか?」

と交渉したくなるというわけです。

 

しかし、

そんな研修はまさに時間と費用と労力の無駄でしかなく、

組織が変わることはありません。

 

本当に現場を変えたいと思えば、

検討に検討を重ねて施策を選び、

実施する以上は徹底して継続することになるはずです。

 

しかし、しばしば、現場から、

「うちはいろいろやるけど、続かないんですよね〜」

「またやめるまでやるだけだと思います〜」

という職員の声が聞こえてくることもあります。

 

流行りの施策をやってはやめる、という組織は、

商売だけがしたいコンサルタントにとっては、

とても好都合です。

 

結果の責任を負わされることがなく、

ただ、流行りの施策を教えれば良いのですから、

気楽なものです。

 

やれ

コア・コンピタンスだの、

アンガー・マネジメントだの、

バランスト・スコアカードだの、

クレド作成だの、

SL(シチュエーショナル・リーダーシップ)だの、

……いったい、これまでいくつの流行りを試してはやめてきたことでしょうか?

 

そして、はたして組織が明らかに変わったでしょうか?

 

そして、誰が喜んでいるかと言えば、

結果を出さなくても、

いつまでも商品を買ってもらっているコンサルタントだけが

笑っているのです。

 

やれ

リンゴ・ダイエットだの、

ビリーズ・ブート・キャンプだの、

ボクササイズだの、

糖質制限ダイエットだの、

TRFのダンスDVDだの、

……いったい、これまでいくつの流行りを試してはやめてきたことでしょうか?

 

そして、はたして体重が明らかに減ったでしょうか?

 

そして、誰が喜んでいるかと言えば、

痩せても痩せなくても、

いつまでも商品を買ってもらっているダイエット商材業者だけが

笑っているのです。

 

コンサルタントは、

次はこれ、次はこれ、と話題のテーマやメソッドを持ち込めば、

どんどん買ってもらえることを知っています。
 
治らない薬を売り続けるようなものです。
 
こんな商売に振り回されていては組織は絶対に変わりません。
 
というのも、現場の職員も組織が
「本気なのかどうか?」
を見ているのですから。
 
■そこで、患者サービス研究所では、
いつも、
プログラム終了後も、
必ず施策を継続していただきたいと依頼しています。
 
むしろ、重要なのは、施策そのものではなく、
「施策後の現場がどうなるか?」
「施策後に、現場が何をどうするか?」
なのですから。
 
ところが、上記のように話しているにも関わらず、
プログラム終了後に、現場から
「まだ続けなければいけないんですか?」
と言われると、
上層部までもが、
「現場に負担をかけるのは望ましくない」
と及び腰になって、
結局、施策が立ち消えになってしまう、という例も見受けられます。
 
「続かなければ意味がない」
と誰もが言いつつも、
結局、
続ける執念は誰も持っていなかったということがあるのです。
 
現場職員は、目先の業務に追われているので、
なかなか新たな施策を習慣化することはできないのが普通です。
 
一般には、現場職員は、
責任を持って業務をこなすことがミッションとされていて、
その固定観念から簡単には抜けきれないので、
それ以上のことを地道に続けるのは至難の技です。
 
また、
「それでも、一度始めたことはきちんと続けよう」
と経営者・上層部が真剣に呼びかけてくれれば、
初めて、現場は
「どうやら本気らしい。では、継続しようか」
と考えることができるようになりますが、
経営者・上層部が
「負担に感じるというのを、無理強いすることはできない」
などと遠慮していれば、
 
成長には負荷がかかることが前提である以上、
何一つ成長できるはずがありません。
 
プログラム終了後に継続できないのであれば、
結局、最初からやらなかったのと同じでしょう。
 
■というわけで、
「本当に現場が変わる組織かどうか」
は、たったひとつ、
経営者・上層部に
「絶対に変えるのだ」
という執念があるかどうか?に尽きる、ということです。
 
良い意味で、
「粘着質」
であることが、実はとても重要なのです。
 
成長に伴い、現場からは必ず
「負担だ」
という声が上がることはわかりきっています。
 
経営者・上層部は、そこを、毅然として続けさせなければ、
何も残りません。
 
現場から、
「負担だ」
という声が出たならば、
「方法は変えても良いが、代案を出させる」
ことです。
 
目的を譲歩してはなりません。
 
そこを詰めなければ、経営者や上層部が現場から侮られるだけです。
 
現場は、
「経営者・上層部が本気かどうか」
を見ているのですから。
 
■ちなみに、経営者・上層部・担当者が真剣な病院は、
そうでない病院との間に、
明らかな違いがあります。
 
それは、一言で言えば、
「提案」
です。
 
真剣さが弱い病院では、
病院から提案されることは、ほぼありません。
 
一方、真剣な病院は、わたしたちコンサルタント以上に
さまざまに提案を上げてきてくださいます。
 
これは
「あくまで、病院を変えるのは自分たちであり、
一部に、コンサルタントを使っている」
というスタンスだからでしょう。
 
真剣な病院と取り組むプロジェクトは、
大きな効果が見込まれる(というより、必ず効果を出すつもりな)ので、
コンサルタントにとってもつねに刺激的です。