組織づくりが成功する病院の、もう1つのカギ

組織づくりが成功する病院の、もう1つのカギ

■病院の組織づくりが成功している病院には、

2つの共通点があることが見えてきました。

 

第一には、昨日お伝えした通り、

何と言っても

「トップの信念が明確であること」

です。

 

夫婦や親子であっても、

伝えたはずのことが伝わっていない、ということが
珍しくありません。
 
したがって、
何かを伝えるならば、
少なくとも、その主旨を明確にしていなければなりません。
 
まして、多くの職員を巻き込み、
組織を一枚岩にして
総力を発揮してもらうためには、
強い信念が明確に示されることが必要であることは、明らかでしょう。
 
なお、この点については、
ひところ
「ビジョンが大事」
と言われるなど、
多くの企業・組織が気づいてきたことでしょう。
 
リッツ・カールトンが
最高級のホスピタリティを実現している背景には
「クレド」
という行動指針を定めていることがある、と言われ、
多くの企業・組織がそれを真似て、クレドをつくってみた、という時期もありました。
 
また、それを勧めるクレドづくりのコンサルタントが
あちこちに登場していたようです。
 
その点、ほぼすべての医療機関には、
「理念」
が定められていることでしょう。
 
■では、もう1つのポイントとは何か?
 

病院の組織づくりが成功している病院には、

もう1つ、明らかにしていることがあります。

 

それは、業務においては、

当り前になっていることなのですが、

なぜか、組織づくりにおいては、行なわれていません。

 

では、

組織づくりが成功している病院では、

何を明確にしているでしょうか?

 

それは、

「期限」

です。

 

どんなに明確なゴールを示していても、

そこに期限が設けられていなければ、

それは単なる

「理想」

にすぎません。

 

「いつかそのうち」

「実現できた時が実現した時」

では、ゴールに近づくことはないからです。

 

「このようなゴール像を実現してほしい」

という思いに期限がなければ、それは

「憧れ」

「祈り」

でしかありません。

 

誰かがそれを実現する責任を負うこともないのです。

 

「徐々に変わればいい」

「少しずつ理解されれば良い」

は、永遠に変わらないのです。

 

■いかがでしょうか?

 

みなさんの現場では、

定められている理念について、

具体的に、

「いつまでに、誰が、何をすることで、

目指すべきゴール像へと近づこうとするのか?」

と、

期限つきで明示しているでしょうか?

 

とくに、

「組織づくり」

について、

「今年度は、どこまで必ず実現する」

という具体的な目標や指標を設けているでしょうか?

 

■「目標とか指標といっても…」

と戸惑うでしょうか?

 

実は、組織づくりにおいて

立てていかなければならない指標はたくさんあります。

 

制度をつくるといった

客観的な施策だけでもいくつもあるので、

以下に、

参考を挙げましょう。

 

たとえば、

評価制度がない、ということが珍しくありません。

 

評価制度がなければ、

頑張っている人は虚しくなって辞めてしまい、

頑張らない人ばかりが居心地が良いので残ります。

 

たとえば、

それぞれの現場の理念を実現するための管理職教育が、

整備されていない、ということも珍しくなく、

管理職教育をそもそもしていないとか、

自治体や業界団体のコースを受講させて済ませているということが多いのが実情です。

 

そこで何が教えられているのか、について

確認もしていなければ、

「当病院では、管理職にこれを求めている」

ということが伝えられることにもなっていないでしょう。

 

そんなことで組織づくりができるはずもありません。

 

さらに、たとえば、

教育制度や評価制度を設けていたとしても、

それが適正に行なわれているかどうかの

進捗状況を測定する方法を講じていないことが、

(これは病院だけでなく、多くの企業でも)

多いでしょう。

 

評価の時には、

「計画性を持って進めたか」

「責任感をもって臨んだか」

「協調性をもって働いたか」

「報告連絡相談を密にしたか」

「コミュニケーションをとっているか」

「自発的に取り組んだか」

などなどの項目にそって、5段階などで点をつけることが多いにも関わらず、

「では、何をもって5ではなく4とするのか」

「なぜ4ではなく3なのか」

の基準を明確に言語化し、公正に評価できるようにしている例はまず聞きません。

 

制度設計はしていても、

「運用は感覚で」

ということが多い状況です。

 

これでは、

組織づくりが進んでいるのかどうか、

目指すべきゴール像に近づいているのかどうか、について

定量評価することなどできません。

 

このように、どれだけ進捗しているのかがわからないということは、

「0点ではないけれど、100点でもない」

ということだけは言えるとしても、

「では、いつ100点にたどり着くのか?」

は皆目わからず、

永遠に、目指すべき組織像を実現することはできない

ということなのです。

 

■組織づくりを実現するならば、

いつまでに、という

「期限」

を明確にすることが必要となるのです。

 

期限を設けた組織では、

進捗状況を測定するための指標が必要となります。

 

指標を持つ組織では、

必要とされる具体的な行動が定まってくるので、

初めて、職員の意識が変わり、現場が変わるようになります。

 

期限が明示されていないことについては、

ささいな用事であっても、

日常の業務に追われる忙しい中で、

職員が、

「なんとか実現しよう」

と頑張ってくれることはない、

ということはみなさんもご存知でしょう。

 

■みなさんの現場でも、

理念や、明確な目指すべきゴール像を

お持ちのことでしょう。

 

とすれば、

それが絵に描いた餅ではならない、と思われるならば、

ぜひ、

「それをいつまでに実現するのか」

その

「期限」

をいますぐ定めることをお勧めします。